[9] キャリア官僚初見学–やっぱり、彼らや彼女はエリートだった! 

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昨日の10月24日土曜日に「日本自治体危機管理学会2015年度研究大会」つーのに行って来た。

会場は、「危機管理研究センター」つーのがある明治大学駿河台キャンパスのリバティタワーってところへ。

明治大学は実は行くのが初めて。

立派なキャンパス!!

都心にあるポストモダンなキャンパス!!

「日本自治体危機管理学会」は、2006年に設立されたばかりの学会だ。

危機管理学という学問分野は、まだ新しい。

大学あたりで危機管理学部とか学科を持っているというのも非常に少ない。

しかし、必要とされるし、これから一層に伸びる学問分野である。

私の趣味の一つに、自分が会員でもない学会の研究発表会にもぐりこんで、発表や講演を聴くというのがある。

専門家の話を傾聴すると、本を数冊分読むくらいの情報を得ることができる。

この学会に入る気はないが、そこの研究大会に紛れ込んで、手っ取り早く勉強させてもらうのは、ありがたい。

この学会の研究大会のプログラムをネットで調べてみたら、報告者が中央省庁の官僚さんが多かった。

国土交通省に、総務省に、(元)農林水産省に防衛省に・・・

私は、中央官庁のキャリア官僚さんの実物に会ったことない。

話を聴いたこともない。

高級官僚批判は多い。

でも、私は実物見たこともない。

ならば、行って見て聴いてこようと思い立ったわけだ。

で、このBlogでは、この学会で論議されていた問題のほんの一部を、知的所有権に違反しない範囲で紹介する。

午前10時に始まった「日本自治体危機管理学会2015年度研究大会」のプログラムの最初は、共通論題「危機管理と法整備」だった。

今までにはなかった危機というものが考えられる現代。

1990年代から、平成の時代になってから、日本には想定外の事件や災害が起きるようになった。

サリン事件と神戸淡路大震災を皮切りに、テロまがいの通り魔事件のような人災もいっぱい。自然災害もいっぱい。地震も大小いっぱい。竜巻もあれば、雨が降ればすごい洪水に土砂崩れ。火山の噴火もある。

そのきわめつけが、2011年3月11日に東北大震災と福島東電原子力発電所の事故だった。

危機の時代に突入した日本。

だけど、その危機を未然に防ぎ対処するための法整備も各省庁の連携も、自治体間の連携も、各省庁と自治体の連携も、指揮系統も、十分に構築されていない。

シミュレーションというか訓練もまだまだ。

ということで、「共通論題」では、「無人飛行機の規制」と「広域災害への対処」と「従来の麻薬ではないドラッグの蔓延に対する対処」が、紹介された。

このBlogでは、「共通論題」で報告された「無人飛行機の規制」についての発表を紹介する。

このテーマについては、国土交通省航空局安全部安全企画課の方が「無人航空機に関するルール整備の状況」について25分ほど、パワーポイント資料を使って説明してくださった。

無人航空機ドローンが急速に広まってきた。

撮影や農薬散布やインフラ点検に使用されていることが多いけれども、落下事故も起きている。

非常に新しい現象なんで、ルールが整備されていない。

法整備のために国土交通省がどのような仕事をしてきているかというのが、報告の趣旨だ。

ドローンは、今後、さまざまな分野で活用される。

新たな産業やサーヴィスが生み出される。

ドローンは、「空の産業革命」なんだそーだ。

一方で、犯罪やスパイ活動やテロにも使われる。

警察(公安)や防衛省との連携も必要になる。

ドローンの利用者に対する第三者賠償のための保険加入奨励という課題もあるそーだ。

そうだよな、被害者が出る場合に備えて、保険も必要だ。

今の保険に「無人飛行機事故保険」ってないもんな。

ドローンで撮影した映像のインターネットでの取り扱いもガイドラインが必要だそーだ。

ある土地の上空をドローンが飛行したとして、そこの土地所有者と飛行の関係についても、はっきりさせとかないといけない。

つまりさ、ある土地の所有者は、土地の上空のどこまで所有権を主張できるんかしらね?

そーいう問題もあるわけよ。

200グラム以下の玩具みたいなドローンは規制対象にせずに、約100キロぐらいの産業用無人ヘリコプターとか、数キロのマルチコプターというのを規制をするんだってさ。

どれくらいの上空ならば飛んでいいとか、人口密集地は駄目とか、有人航空機の障害にならないようにするとか、夜は飛んじゃいけないとか、人間や物件から30メートルは離れて飛ぶこととか、いろいろ規則ができあがるらしいよ。

近いうちに法制化されるらしいよ。

200グラム以下の玩具みたいなドローンに、とてつもない装備がされているってことはないのか??

ナノ・テクノロジーでさ、ありえるのになあ・・・

それはさておき、まず、私はここでびっくりしたんだ。

世の中の仕組みの一部が、ありありと見えるような気がした。

ある事物が社会に生まれる。

その存在を認めるとすると、その事物の扱い方のルールというのが作られないと、混乱する。

その事物が事故の原因となる事態が発生すると、法的規制や法的責任を明文化しておかないとまずい。

「法的に問題がなければ、犯罪でなければ、何やってもいいっしょ~~~」と言って、何でもするのが、ある種の人々だからね。

常識的に考えて、倫理的に考えて、これはどうか??と熟慮して、行動を自己規制するということはないんだ、この人々は。

だから、自由放任というわけにはいかなくなる。

テロリストみたいに、はっきりと悪意を持った犯罪者も存在する。

世の人々は、「自由がいい、役所が口出すな」と言いつつ、ひとたび犯罪や事件が起きると、「行政は何をしていたのか?」と言う。

たとえ、みなまっとうな市民であっても、人間が関与するならば、事故が起きることはあり得る。

ガイドラインは、だから、「お役所」が作って、「オーソライズ」しておかないといけない。

「俺が法律だ」ってわけにはいかない。

誰もが認めるオーソリティが必要となる。

それが政府の下部組織である官公庁であり、そこで働く役人だ。

うわああ・・・・・

ひとつの法が整備されていくのに、いかほどの調査と熟慮と会議と手続きが積み重ねられるのだろうか・・・

私は、役所とか官僚の規制とかを胡散臭く思うリバータリアンの心情を共有する者ではある。

だけど、こうも社会が複雑になると、官僚機構というものがどうしても必要になってくるんだよな・・・・

中央官庁のキャリア官僚さんを実物で目撃したのは、今回が生まれて初めてであった私は、その実物の方の明晰な発表を聴いて、「やっぱ、これぐらいの優秀な人間が、ウジャウジャいるのが、中央の官公庁なんだ・・・」と感心した。

「国家公務員」って、やっぱり、「地方公務員」とは大違いだ。

さすが、難解な上級公務員試験と面接を勝ち抜いた人々のひとりである。

このドローンに関する法整備について発表した方の役職名は聞き落とした。

まだ30代くらいのお若い方だった。係長か課長補佐って感じかなああ。

サッサと明解に事実を説明していく。

質疑応答のときも淀みがない。

若いが、決して軽薄ではなく、冷静沈着に簡潔に説明する。

おお~~~やっぱり頭がいい~~~

パワーポイントで作成した資料も非常にわかりやすい。

無駄に「紙芝居」になっていない。

この資料は、ノンキャリアの部下の人が作成するんかなあ?

ご自分で作成したのかなあ?

まさか、アウト・ソーシングってことはないよな。

教授会とか文学系の学会での、しょうもない冗長な論点の明確でない報告とか研究発表を聴いていると、脳が腐る感じがする。

しかし、このキャリア官僚さんの報告は、聴けば聴くほど、脳がクリアになる気がした。

やっぱり、高級官僚ってのは、頭が違う!!!

これが、私の「中央官公庁キャリア官僚初見学ショック」であった!

2件のコメント

  1. 「『自由がいい、役所が口出すな』と言いつつ、ひとたび犯罪や事件が起きると、「行政は何をしていたのか?」と言う。」

    それは、本当の自由主義ではないと思います。政府に飼い慣らされた箱庭的な「自由」らしきものでしかないのでは? 自由主義社会、つまり資本主義の原理が徹底している社会で生きて行くつもりが、そもそもないのではないか。

    いいね

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