まさか、大人になった自分が「貯金箱」を買うはめになるとは思わなかった。
500円玉貯金箱である。
そして、まさか、その貯金箱に入れた500円玉に救われることになるとは思わなかった。
2011年4月に開設された福山市立大学に赴任して、ショックだったのは、年収が400万円以上も減ったことだった。
今から思うと、いったい私は何を考えていたのだろうかと呆れるのだが、2007年にスカウトされて、生活を変えたくて、待遇も研究条件も良い桃山学院大学を辞めることに決めてしまった。
給与は減ることはわかっていた。公立大学なのだから。
しかし、これほどまでとは。
迂闊も迂闊。白痴的に迂闊であった。
最初に就職した地方の公立女子短大の給与を思い出せば、容易に想像できたのに。
忘れっぽい私は忘れていたのだ、その短大から名古屋市内の私立女子大の短大部に移ったら年収が2倍になったことを。
つまり、それだけ公立は給与が低い! すっかり忘れていたのだ、その厳粛なる事実を。
いったい何のために働くのか。
それはカネのためだ。
生き甲斐とか社会貢献とか自己実現とか、そんなの嘘。綺麗事。
庶民は要するにカネのために働く。
なのに、私は、研究条件は悪く給与はすこぶる低い職場に来てしまったのだ。
愚かとしか言いようがない。
でもまあ、来ちゃったものはしかたない。
後悔するのも阿保らしいほどの自業自得。
まあ、これも大きく見れば厄落としかも。
しかし、ともかく、ガクンと減った収入に慣れるのには時間がかかった。
2016年時点になっても、ほんとうは慣れていない。
慣れていないが、慣れていなくても、収入以上の暮らしはできない。
クレジットカードの支払いを心配するなんて事態が私の身に起きるなんて、ありえなかったのに。
それまでの気楽な浪費体質を矯正するべく、私は大量の節約本を読んだ。
自己啓発本ならぬ節約本だ。アメリカの節約本もKindleで何冊も読んだ。
2008年のリーマンショック以来、アメリカでは節約本が人気となっていたから。
日本のいろんな節約本には、500円玉貯金をせいと書いてあった。
チリも積もれば山となるって。
だから、500円玉貯金を始めた。
いつも素直な私。
貧乏になったのだから、小銭から大事にしないといけない。
家計簿もつけ始めた。自分がいくらカネを使っているのか把握することから始めなければならなかった。
家計簿なんて、結婚後3年間ぐらいしかつけていなかったのに。
ネットには、いろんな家計のサンプルが掲載されている。
いったい、どうして、こんなに少額で暮らせるのか不思議なほどに慎ましい家計のサンプルが。
そういう家計サンプルには「教養費」の項目はない。
私は、それまでは毎月書籍代だけでも10万円くらいは使っていた。新本をバンバン注文していた。
しかし、以後は、amazonでもなるたけ古本で安くなっているものを選んだりするようになった。
ほんとうに読みたいのか?読むんだろうねえ、ほんとに?と自分自身に問うようになった。
「あ!面白そう!」と思ったら即注文でクリックの癖は、なかなか治らないのではあるが。
ある時、なんともならん!カネが足りない!と切羽詰まった事があった。クレジットカードの支払いに口座の残金が足りてない! ウッソ〜〜!
その時に、貯金箱にいっぱい貯まっている500円玉に気がついた。
貯金箱を持つとズッシリと重く、貯金箱を振るとザザザッという重低音が聞こえた。
もう断固として、ひたむきに500円玉は使わずに貯めていた成果だ。
私は、丈夫なキャンパス布のバッグに大量の500円玉を入れた。ズッシリと重かった。
銀行のATMの両替機に、私は運び込んだ500円玉をジャラジャラと入れた。大量の500円玉の換算に時間がかかった。換算が終わるとお札が出てくる。
その作業を数度繰り返した。ああ〜〜〜面倒くさ!
めでたく、クレジットカードの引き落とし口座の残金不足をギリギリ埋めるだけの金額となった。
あの安堵感は忘れられない。あの惨めさは忘れられない。
まあ、これは貧乏人の負け惜しみではあるけれども、おカネについて考えることは、ほんとに人間を鍛えるね。
「考える」つーのは、これはカネを支払うに足るだけのものであるか?ということを思案するということだな。
その他に「考える」なんてことはないよな。
経済の苦労がないと、人間は考えないよ。ほんと。
福山市立大学に来て、私はほんとうに考えるようになった。
無駄使いしないためには、いかほどの自制と自己規律と思考が必要であることか。
今日も私は小銭入れをチェックして、500円玉を見つけると嬉々として、貯金箱に入れる。
あのですね~~大地震とかあった後の生活の買い物においては、1万円札より小銭が役に立つそうですよ。
私は災害避難用リュックサックには、500円玉をいっぱい入れた財布を入れている。
それを使わないですませたいものだが・・・・
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若いころ一万円札を本棚の本の間に挟んでいました。タンス預金のようなものです。金鉱は堀つくしてもうないと思うのですが、古い紙幣がたまに出てくることがあるのです。そうなるともう狂喜乱舞です。
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みんな、おカネのことでは、いろんな思いがありますよねーー!!しみじみ。
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