これは、私的には買って良かったものであるが、人様には勧めない。
全長130センチのホワイト・タイガー白虎のぬいぐるみである。
これだけ大きいと邪魔である。
価格は、10年くらい前でも9000円くらい。今でもそんなもんだろう。
2つ購入した。
ひとつは、名古屋の自宅の私の寝室のベッドの上に置いてある。私がベッドを使用するときはベッドの脇に座らせておく。
実に怖い目をしている。ほんとゾクッとする怖い目だ。ぬいぐるみらしくない。なんも可愛くない。
ベッドの側に置いたぬいぐるみの白虎は、眠っている私を悪夢から守ってくれている(ような気がする)。
名前は「ピーター」だ。
ピーター・パンのピーターじゃない。
「ピュートル大帝」(1672-1725)の英語読みのピーターだ。
私は「ピョートル大帝」が好きだ。
アイン・ランド(Ayn Rand: 1905-1982)の「水源」(The Fountainhead)の主人公のハワード・ロークのモデルになったロシア帝国の初代皇帝だ。
ピュートル大帝は、北ヨーロッパ周辺の田舎であった沼地のサンクト・ペテルブルクを壮麗なロシア帝国の首都にした。
7万人の農奴をロシア中から召喚し酷使した。ヨーロッパ中から才能ある建築家や土木技師を呼びまくった。そうしてパリやウイーンなどのヨーロッパの都のいいとこ取りをした「都のテーマパーク」を造らせた。
その新しい都に貴族も商人も職人も、モスクワから強引に移住させた。
ほんとに能天気に強引な唯我独尊の皇帝であった。
国民の人気は全くなかった。
愚民や庶民に天才的為政者のことは、わからんよ。
民主主義の選挙は、ほんとうに優秀な為政者を選ぶことはできない。
無理無理。
サンクト・ペテルブルクは今でも美しい古都である。ほんとに美しい。
ちょっと一度行ってよ。
どうせヨーロッパは、イスラム教徒の侵攻によって、これから衰退荒廃する。この流れは止められない。だからさ、のん気に不用心に観光旅行に行くとテロに会うぞ。
だからさ、ヨーロッパの都の各エッセンスを寄せ集めたサンクト・ペテルブルクに行けばいいんよ。
現在のロシアの主たる観光資源は帝政時代の遺物だけだ。
エルミタージュ博物館なんかすごいぞ。
財閥の美術コレクションなんか大したことない。
代々のロシア皇帝の美術コレクションはすさまじく超一級品ばかりだ。
それがニューヨークのメトロポリタン美術館とサンクト・ペテルブルクのエルミタージュ美術館の差だ。
日本の美術館は、あれは美術館じゃない。美術品陳列室だ。
サンクト・ペテルブルクを強引に構築させたピョートル大帝は強烈に変人奇人だった。
身分を隠してヨーロッパ中を旅して、大工仕事や建築仕事の修行をした。特に造船技術の習得に専心した。歯科医療にも興味を示した。
身長2メートルと13センチの身体を屈めてカンナで木を削った。
手先が器用で、彼が作った椅子や食器やタバコ入れは今でも残っている。
船大工から花火師まで習得した技術は14に渡る。
前代未聞の皇帝である。
天才だ。
ピョートルさんは、ヨーロッパ修行から帰国後は、自分の宮殿の敷地に「建築作業室」を設けてなんか設計していた。
学んだ歯科医療を実践すべく、廷臣たちの虫歯を麻酔なしに抜くのを趣味にしていた。
無茶苦茶な皇帝だ。
戦争ばっかりしてた。
ロシア正教会をガンガン締め上げ国政に干渉させなかった。
普通は、皇帝だから、ヨーロッパ諸国の王室の王女とか貴族の娘と結婚するのが常である。
最初はピョートルも母親の勧めでそうしたけど、すぐ離婚した。
彼が次に結婚したのは、どっかの貴族の召使いをしていた12歳年下の農民の娘だった。
ピョートルさんは、この娘が気に入って彼女に自分の身の回りの世話をさせた。
身長150センチくらいしかなかったそうだ。
この下女と秘密で結婚し、後に正式に結婚した。
この王妃さまは、夫の死後は「エカテリーナ1世」となったが、この女性は肖像画を見る限りはブスである。
宮廷のお雇い画家つーものはリアリズムの絵は描かない。実物よりは綺麗に描く。
なのにブス。
実物はいかほどの不細工であったことか。
でも、この下女さんは、ほんとうに心を込めて皇帝の身の回りのお世話をしたのだろう。
この下女さんは、ピョートルさんの大ファンだったのだ。
ピョートルさんは、この下女の憧れの大スターであったのだ。
その心根の愚直なまでの健気さよ。
小賢しい女なんか要らんわ。
女は自分の大大ファンであればいい。
これ男の本音。
ピュートルさんと元農民で下女の王妃さんの相性は抜群であった。12人の子どもを作った。
ただし成人できたのは娘2人だけだった。
中年になった元下女の王妃はアルコールに耽溺して一層にブスになり夫婦仲も悪くなっちゃった。
シンデレラ物語は、めでたしめでたしでは終わらなかった。
まあ、そういうもんよ。
それにしても、まっこと、ピュートル大帝は織田信長50人分くらいの天才で、常識破りの変人奇人だ。
私は2005年に初めてロシアに行った。アイン・ランドの生まれた街を見たくて行った。
ロシアに行く前にロシアの歴史について勉強した。
で、「ああ、ハワード・ロークのモデルはピョートル大帝なんだ!」と思った。
よく、ロークのモデルは、有名建築家のフランク・ロイド・ライトだと言われる。
いやいや、ライトの設計した家とかホテルとか見たことありますか?
明治村の帝国ホテルとか、芦屋のヨドコウ迎賓館とか。
隅々まで「フランク・ロイド・ライト」だ。すべての空間が、細部に渡るまでライトだ。
これでもかこれでもかとばかりに全部がライトだ。
しょうもない。
そこまで凝りに凝って自分をセッセと出すような貧乏くささは嫌いだ。
あんな息苦しい矮小な世界を作った建築家が、ハワード・ロークのモデルなんてあり得ない。
あの能天気な天上天下唯我独尊の天才建築家ロークのモデルは、あの能天気な天上天下唯我独尊のピョートル大帝だって。
と思ってたら2009年に出版された(今まで出版された彼女の評伝の中でも最高の)アイン・ランドの評伝Ayn Rand and the World She Madeに、そう書いてあった。
ロークのモデルはピョートル大帝だって、書いてあった。
著者はAnne Hellerという元編集者のユダヤ系アメリカ人女性だ。
ほとんど同時期に、もう一冊アイン・ランドの評伝が出たが、これは読んでもしかたない。
頭の硬い馬鹿優等生が書いた評伝だ。なんの洞察もなかった。
ともかく、現在のロシアの偉大なる観光資源であるサンクト・ペテルブルクを造ったピョートル大帝こそが、「水源」のハワード・ロークのモデルなんだ!!
それはさておき、なんで体調130センチの白虎のぬいぐるみを私は買ったのか?
一匹にはピーターと名づけて名古屋の自宅に置き、もう一匹には「ローク」と名づけて単身赴任先の職場の近くに借りた部屋に置いてる。
やっぱり、その理由は、私にとっての「永遠の男性性」のシンボルを身近に置いておきたかったからかなあ。
そのシンボルはライオンではなく、白虎だった。
なんか、白い虎でなければならなかった。
白虎ってさ、セクシーじゃないですか?
ハリマオでっせ。
かといって、私は私の白虎を抱きしめて寝るとか、いつも側において頬ずりしてるとか、そーいうことは一切ない。
頭をポンポンたたいたり、尻尾をうっかり踏んづけたり、扱いは非常に雑である。
それでも、身近に、私の妄想が紡ぎ出す永遠の男性像の象徴が欲しかった。
それが身長130センチの白虎のぬいぐるみだ。
狭い3LDKのマンションに住んでいるけれども、私の心はアイン・ランドの故郷のサンクト・ペテルブルクにある。
死んだら、私の魂は、いったんはサンクト・ペテルブルクに飛んで行く予定である。
近郊の「夏の宮殿」に飛んで行く予定である。
その時は白虎の背中に乗ろう。
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