[86] 青森を隠すために沖縄は報道される?

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10月15日の午後、東京は専修大学の神田キャンパスで「日本臨床政治学会」のシンポジウムというのが開催された。

題目は、「青森県の軍事基地の現状と課題」だった。

複数の発表者の話も、コメンテイターの方々の話も非常に面白かった。

新幹線で3時間40分もかけて福山から東京まで行った甲斐があった。

昔、日本英文学会とかアメリカ文学会の学会に行くと、非常に寂しい空虚な思いで帰宅したものだった。私にとっては、あまりに無意味な発表ばかりでさ。なんで、もっと早く撤退しなかったんだろう・・・

で、本日は、シンポジウム講師のおひとりの青森県の県民新聞と呼ばれる『東奥日報』の編集委員&論説委員の斉藤光政氏から聞いたお話を、ここに書いておく。

斉藤光政氏は、アメリカでは「東アジア随一の軍事基地の専門家ジャーナリスト」として、2011年には国務省に招聘され、アメリカの軍事基地の見学を許可された方である。

「アメリカに洗脳はされませんでした」と、おっしゃっていた。

斉藤氏は、ご著書も多いので、ご興味のある方々はググってください。「早稲田ジャーナリスト大賞」を受賞した『在日米軍最前線』(新人物文庫、2010)もありまする。これは、読むべし!ですよん。

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シンポジウムで聴いた斉藤氏のお話を、以下にポイントフォームで列挙しておく。

私にとっては、知らないことばかりだったので仰天した。

(以下、斉藤光政氏のお話の「覚え書き」始め)

(1) 日本国内の米軍基地(116基地あるらしい)の70%は沖縄。青森は7%のみ。

(2)それでも青森は、米軍基地の規模において日本において沖縄に次いで第2位。陸・海・空の3自衛隊と米軍の4軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊)の基地が集結しているのは、沖縄と青森のみ。

(3)だけど、沖縄基地ほどには、青森の基地についてはメディアは報道しない。

(4)実は、青森の米軍基地こそが、冷戦時は対ソ封じ込め戦略の基点だった。当時の三沢米軍基地の空軍パイロットは、ひたすら核爆弾投下の演習をしていた。投下地点は、ウラジオストックとハバロフスクと中国のどっか。

出撃時には、米軍パイロットは「青酸カリ」を携帯することになっていた。なぜならば、核攻撃をアメリカがソ連にするときは、ソ連からも核攻撃がアメリカ本土やアメリカの同盟国(日本とか)に対してなされるので、帰る基地が消滅するから、青酸カリで自殺することになってた。

核弾頭は米軍施政下の沖縄の嘉手納基地から搬入していた。核爆弾の本体(component)と核弾頭(core)は別だったので、別なら正式のフルな核兵器ではないので、非核3原則に抵触しないというのが、アメリカの解釈というかトリックだった。

(5)2003年のイラク戦争の時は、青森は三沢基地からF16戦闘機がバグダッドに発った。

(6)2007年のアフガン戦争では、秘密爆撃をしたのは、三沢基地発の爆撃機。この年には、三沢基地に統合戦術ステーション(JTAGS:弾道ミサイル情報処理システム)が配備された。

(7)2014年のシリア内戦では、三沢基地発の爆撃機がISIS(イスラム国)を空爆した。

(8) 2001年9.11から、米軍は再編成された。世界のどこでも48時間以内に空爆し、72時間以内に侵攻できるように軍を再編成した。

(9)沖縄は海兵隊出撃基地に特化し、青森三沢基地は対地攻撃に特化。今や、青森県の三沢基地は、世界有数の攻撃基地。

(10)航空自衛隊三沢基地のF2戦闘機は2017年からF35ステルス戦闘機にグレードアップするが、米軍も同じ。自衛隊と米軍は、戦闘機の整備拠点を共有化する。

(11)三沢基地の無人偵察機グローバル・ホークは北朝鮮から東シナ海まで監視。

(12)実は青森は軍事基地の密集地区。北朝鮮のミサイルは、三沢基地をターゲットにしていた。

(13)2016年の8月3日に北朝鮮が発したミサイルのノドンは、秋田沖に着弾したが、ほんとうの目標は、2006年に配備された米陸軍車力通信所Xバンドレーダー(目標を点ではなく形で把握できるレーダーで、弾道ミサイル防衛システムの目標捕捉、弾頭とオトリの区別、追尾、迎撃ミサイルの誘導に利用される)だったかも?

(14)北朝鮮の国家保衛部脱北将校は、「津軽半島のXバンドレーダーは優先攻撃目標だ」とインタビューで語った。

(15)Xバンドレーダーは、THAAD(終末高高度防衛ミサイルTerminal High Attitude Area Defense Missileで、弾道弾迎撃ミサイルシステム)の一部。韓国が2016年7月に導入決定。日本も続く。つまり、韓国と日本は、北朝鮮からのミサイル防衛情報共有。実質的集団的自衛権の先取り。

(16)2006年に津軽半島に配備された米陸軍車力通信所のXバンドレーダーと、2007年に設置された米軍三沢基地のJTAGS統合戦術ステーションと、2010年に設置されたむつ市の航空自衛隊のFPS5ガメラレーダー(日本の防衛省開発の防空用固定式警戒管制レーダー)も、集団的自衛権の先取り。日米一体化の対空防衛システム。

(17)海上自衛隊八戸基地のP3C哨戒機が東シナ海警備を担っている。海上自衛隊大湊基地の護衛艦も派遣されている。青森の米軍基地と自衛隊基地は連携して対中防衛を強化しつつある。

(18)つまり、遠い中東も、北朝鮮と中国、密かにロシアも意識して、青森の米軍基地と自衛隊は連携協力を強化しつつある。米軍が自衛隊基地内に拡散しつつある。

(19)最近は、青森にイギリス軍が派遣され米軍と共同演習をしている。いずれは、ここにオーストラリア軍が加わり、日米英豪軍事同盟が結ばれるのではないか。

(20)三沢基地のある三沢市の人口は4万人。米軍人口は米軍の家族も入れれば1万人。5人に1人はアメリカ人。三沢市内の飲食店においてアメリカ人の客がいるのは普通の風景。街の商店街もアメリカ式。アメリカ人客の出入りをチェックしていれば、米軍の作戦がわかるのではないかと言われるほど。

(21)三沢市の予算の30%は基地関連による収入。基地の従業員1,000人は地元の三沢市民であるが、準公務員扱い。基地交付金もあり、財政的に豊かなので、三沢市の出生率は高い。青森県第1位。2位は、六ケ所村。使用済み核燃料廃棄所の六ケ所。六ケ所村も財政は豊か。当然。

(22)住民の基地反対運動はあまりない。共産党が仕切っている反対運動はあるが、ほとんどの住民は動かず。

(23)沖縄におけるような兵隊の犯罪はない。なぜならば、海兵隊員中心の沖縄と違って、青森の米軍基地はハイテックな防衛システムの空軍中心で、兵士はインテリが多いから。給料も高い。だから犯罪のような割の悪いことはしない。

(24)アメリカの軍人 にとって、三沢基地に配属されることは出世コース。それだけ、青森は沖縄以上に重要な基地。アジア防衛の真の拠点は青森。

(25)ということで、青森の米軍基地(と自衛隊の連携)は、かくも米軍にとって軍事戦略上の要であるので、日本のメディアは報道しない。

(26)おかげで、ますます、青森の軍事関連施設の機密保持はしやすいし、最新兵器を配備しても注目は浴びない。

(27)沖縄の基地問題はいつもいつも日本のメディアが報道する。これは、青森で進行している米軍と自衛隊の一体化を隠蔽するものである。

(以上、斉藤光政氏の「覚え書き」終わり)

みなさま、ここだけは覚えておいてください。

中東に炸裂する米軍機の爆弾は、かつてはイスラム国、今はシリアに落ちる爆弾は、青森の三沢基地発の爆撃機が落としたもの。

途中で給油はどこでするんかな。

インドの米軍基地あたりかな。

だからさあ、イスラム国のテロが日本に起きても理不尽ではないの。

日本は中東の戦乱に無関係ではないの。

対中国、対北朝鮮の防衛の要は、青森の米軍と自衛隊の基地にある超高性能レーダー。

自衛隊と米軍の集団的自衛権の先取り的一体化は、どんどん進行強化中。

自衛隊の中に米軍が入り込み、米軍の足跡が消えてる。

青森こそ、日本の軍事の真の拠点。

いや、世界の軍事の拠点かもしれない。

ところで、冷戦時、アメリカは、対ソ連戦略として、最前線といいますか、「防衛の最北拠点」は青森県を想定していたそーだ。

北海道は最初から防衛範囲外。見捨てるつもりでいたそーだ。

……

いやあ・・・庶民にとっては、メディアで報道されていないと、存在しないのと同じ。

私の中の日本が、別の貌を見せることになったシンポジウムでありました・・・

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