[87] 日本列島まるごと米軍基地で、かつ国連軍基地!

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先日の10月15日に聴きに行った「日本臨床政治学会」のシンポジウムで私が確認できたことは、大雑把に言えば、こうだった。

「一般的日本人には見えないようにされているけれども、日本列島は米軍のアジア戦略と中東戦略の大きな軍事拠点であり最前線である」ということだった。

つまり、日本列島はまるごと米軍基地なんよ。

「植民地」って感じでもない。

でもって、安全保障条約が破棄されても、米軍は帰らなくてもいいんだよ。

法的に日本に留まることができるらしいよ……

だって、米軍は国連軍でもあるから……

どーいうことか?

本日は、シンポジウムの講師のおひとりの清水隆雄氏の「日本の米軍基地の実態」というお話について紹介する。

清水隆雄氏は、国立国会図書館専門調査員だった方である。

国立国会図書館の専門調査員というのは、それぞれ調査研究テーマが決まっている。

清水氏のテーマは 、アメリカの軍事史である。在日米軍やアメリカの軍事研究を任されていらした。

国会議員から問い合わせがあると、即座に資料を揃えて提出するのが専門調査員の仕事である。

国会議員が自分で調べるわけではない。

みな国立国会図書館専門調査員が調べる。

そのための資料集めについては、専門調査員の自由裁量。

国会図書館職員であるのだが、専門調査員のしていることは研究者と同じだ。

国のお金でガンガン勉強できる。資料を買い集めることができる。

だから、途中で大学教員に転身する国立国会図書館専門調査員も少なくない。

スカウトされるわけだ。

清水氏のご著書には、『アメリカン・ソルジャー—米国社会と兵役制度史』(志學社、2012)がある。

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これは私も読ませていただいた。非常に面白かった!

特に「民兵」に関する記述は、私も講義で随分と活用させていただいた。

だから、研究はしたいが、学生を教えたり、大学内雑務が嫌いな人は、国立国会図書館専門調査員になればいいね。

ただし、最終的には国会議員(与党ね)のコネとかないと、そういうポストには就けない。

と、元国会図書館専門調査員で、今は某有名私立大学名誉教授である方にうかがったことがある。

まあ、そういうもんだよね……

(以下、清水隆雄氏のお話内容の「覚え書き」始め)

(1)米軍の基地使用についての法的根拠は、日米安全保障条約や日米地位協定。

(2)その運用については、日本側からは、外務大臣と防衛大臣が出て、アメリカ側からは国務長官と国防長官が出て、2人と2人で決定することになっている。

(3)「日米合同委員会」つーのもある。これに出るのは米軍人にとっては出世コースだってさ。

日本側から出席するのは、外務省北米局長、法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米局参事官、財務省大臣官房審議官。

なんで農林水産省が?国土交通省じゃないんだ?

アメリカ側から出席するのは、在日米軍司令部副司令官、在日アメリカ大使館公使、在日米軍司令部第五部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米空軍司令部副司令官、在日米海軍司令部参謀長、在日米海兵隊基地司令部参謀長。

この「日米合同委員会」つーのには35の分科会がある。この委員会は、毎月2回協議してる。会合場所は、ニュー山王米軍センター(広尾のニューサンノー・ホテル)か外務省の指定場所だって。

料亭ではないよね……なんとかシャブシャブでもないよね……

実質的運用は、すべてこの「日米合同委員会」で決める。

毎月2回!!けっこうな頻度だ。新聞に載っていないけれども、大事な会議は開かれているのだ・・・

(4)在日米軍基地の数は、アメリカ国防総省のホームページ2016年10月15日閲覧によると、116基地

陸軍が15。空軍が37。海兵隊48。海軍16。

(5)在日米軍の兵員数はわからない。日本の出入国管理外だから。

兵士ばかりでなく、軍属も家族も旅券やVISAを免除されてる。CIAの諜報関係者も旅券、VISAなしで日本入国可能。

(6)日本側にデータはないけど、アメリカのBase Structure Report(2015) によると、在日米軍の内訳は以下のとおり。

陸軍2,208人。海軍18,344人。空軍11,950人。海兵隊15,935人。合計48,437人。米軍が雇用してる軍属11,548人。ここには日本人従業員は含まれていない。

ここに兵員の家族を含めると、約100,000人の米軍関係者が日本にいると思われる。

(7)米軍の日本国内での移動は、車両については原則自由。「軍務」証明があれば、有料道路の通行料は日本負担。自動車税は免除されてる。この軍務証明は私用にもガンガン乱用されているらしい。

(8)横田基地空域は、関東西部から中部地方東部にかけて、太平洋から日本海まで米軍の排他的管理下にある。日本の民間機は、この空域を回避して飛行する。

日本の空は日本のものじゃない……

(9)日米地位協定の航空特例法により、米軍機は自衛隊機と異なり、航空法の規制は受けない。最低高度規制 も、制限速度も、飛行禁止区域もなし。

あらああ……

(10)極東における国際平和と安全の維持に貢献するという名目があれば、移動は自由。国外も国内でも軍事行動は自由。

あらああ……

(11)米軍は課税されない。米軍兵士が基地外で買物しても消費税は払わなくていいんだよね。

(12)米軍に対する民事の請求権は、米軍によって被害を受けたのが自衛隊やそれ以外の日本の国有財産なら、基本的には日本に請求権はない。

????

(13)民間から米軍に対する請求は法的に馴染まない。日本国政府に請求する。

????

(14)米軍無線局には日本の電波法は適用されない。

ふーん。盗聴も傍受もいいわけだ。

(15)米軍基地内の日本人労働者の時間外労働は、日本の労働基準法関連規定が適用されない。

ふーん。労災の適用外なんかな? 年金は?健康保険は?

(16)交通事故の補償で日本側に過失がなくても、日本政府は賠償金の25%を支払う。

はああ?

(17)米軍基地返還時の原状回復義務はなし。ぶっ壊したまんま帰国してよし。

はああ……

(18)日本は、アメリカの財産の捜索、差し押さえ、検証を行う権利はない。

………

(19)基地内の犯罪は米軍に刑事裁判権あり。基地外の犯罪は、公務であれば米軍に刑事裁判権あり。非公務ならば日本に刑事裁判権があるけれども、基地内に被疑者がもどれば、拘禁権は米軍にあり。

(20)2005年から2013年までの米軍兵士の性犯罪者で、犯罪の詳細が判明した者は244人で、その3分の2は不名誉除隊や罰金の人事処分であった。刑事裁判にかけられなかった。

(21)2016年度に日本が負担する米軍関係経費は以下のとおり。

①在日米軍駐留関係経費  ②防衛省予算(周辺対策、施設借り料、リロケーション、漁業補償) ③防衛省以外(提供普通財産借り上げ)  ④他省庁分(基地交付金) ⑤SACO沖縄基地整備関係経費 ⑥米軍再編関係経費 ⑦特別協定による負担 など、もろもろで9000億円近く。

つまり1兆円か……

「思いやり予算」6500億円どころじゃないね。

日本政府は、2017年度の国防予算を5兆1000億円と計上している。

これは今までで最高額。

在日米軍経費を入れれば、ほんとは、国防費は6兆1000億円なんだな……

(22)実は、驚くべきことだが、安全保障条約が廃止されても、米軍は日本に駐留できる!!

1954年に「国連軍地位協定」が日本政府と国連軍司令部との間にとりきめられた。

これは、朝鮮戦争終了まで戦争への協力を日本がするという協定。

でも、1950年に開始された朝鮮戦争は休戦中であり、法的には終了していない。

国連軍司令部の統一指揮権は米軍の司令官が持っている。ということは、在日米軍は国連軍でもある。

1957年に国連軍司令部は韓国に移動した。

国連軍後方司令部は日本に設置された。

横田、座間、横須賀、佐世保、嘉手納、普天間、ホワイトビーチは、国連軍基地として法的に位置づけられている。

よって、安全保障条約が破棄されても、米軍は国連軍として日本に留まる権利がある。

(以上、清水隆雄氏のお話の「覚え書き」終わり)

みなさま、ここまでくれば、「日本は米軍に好きにされているというより、日本列島そのものが米軍基地なんだ……」という私の苦い感慨をご理解いただけると思います。

こういう事実を知ると、「日本独立!」なんて空想妄想絵空事に思わされる。

こういう状態は、外国人から見れば丸見え。

でも、一般日本人には見えないマトリックス。

あなたも、私も、米軍基地に住んでいるのだよ……

うーん……長い夢から醒めたような気分だ……

で、悪夢のような現実の中に生きている自分に気がつく……

2件のコメント

  1. これまでずっと、なぜ政治家は日本ではなく、アメリカの利益のために働くのか、と疑問でしたが、日米地位協定を知って納得しました。

    細かい点も記録してくださり、ありがとうございます。

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    1. コメントありがとうございます。

      日本人もやっと自分の国の立場がわかってきたんですよね。私のレヴェルでも、こういうことを知るようになったということは。やはり、21世紀は真実が暴露される時代なんですね。

      いいね

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