『シン・ゴジラ』を観た方々は、すでにお気づきになったでしょう。
あの映画の神道的想像力は、「ヤシオリ作戦」や「アメノハバキリ部隊」だけに現れていない。
『シン・ゴジラ』の神道的想像力は細部に宿っている。
あの映画には、首相官邸がよく舞台として使われている。
だから、総理執務室も出てくる。
内閣官房長官執務室も出てくる。
内閣官房副長官(政務担当)室も出てくる。
それらの執務室のデスクの背後のカウンターには、みな「天照皇大神」のお札が立てかけられている。
大河内総理執務室のデスクの背後のカウンターの「天照皇大神」のお札は、数回ほど画面に出たが、微妙に位置が移動していた。
総理大臣はゴジラ騒ぎの最中にお札を手にしてお祈りでもしたのかな。
日本をお守りくださいって祈ったのかな。
それとも、小道具の記録係の人の記憶の混乱から生じたのかな。
こういうことは、わりとある。
コップに水が半分くらいしかはいってないのがテーブルの上に置いてあったのに、次の場面では、その水がコップに8割ぐらい入ってるとか。
ベッドサイドのテーブルに置かれた物が変わってるとか。
私は、そーいう細かいところを見るのが好きだ。
1972年に放映されていた『木枯らし紋次郎』なんて、チャンバラやってる田んぼの向こうに鉄塔が映ってた。
ゴジラの熱戦攻撃で総理とともに亡くなった官房長官執務室のデスク背後のカウンターは一度しか場面に出なかったので、「天照皇大神」のお札の位置は移動せず。
矢口蘭堂こと内閣官房副長官の執務室は数度出てきたけれど、こちらもお札の移動はなかった。
ただし、蘭堂さんは、「天照皇大神」のお札だけではなく、なんか別のお札も並べて飾ってた。
おそらく選出県の地元の氏神様のお札なんかな。
ネット検索してみると、蘭堂さんは「山口県」選出である。
ここで、「なんだ安倍さんかよ」とか「田布施システムかよ」と突っ込んではいけない。
山口県というのは、総監督・編集・脚本の庵野秀明氏の出身地なのだ。
山口県で由緒正しい神社ってどこなんかな?
「周防一の宮玉祖神社」かな。
「松陰神社」ってのもあるらしいが。
ああいうテロリストの神社ではないような気がする。
ともかく、無造作にさり気なく主要登場人物の執務室には神札が飾られている。
「神棚」はない。
当然だ。
日本は政教分離なんだから、公職に就いている人間の公職のオフィスに神棚は置けない。
でも、神札ならいいんかな。
これ、実際の議員会館の国会議員のオフィスなんかにも、「天照皇大神」とか地元の氏神様のお札が飾られているのだろうか?
『シン・ゴジラ』の神道的なるものへの嗜好は、他にもドサクサに紛れて見つけられる。
第二形態ゴジラの「蒲田くん」が、進化して直立して「品川くん」になったとき。
あのとき、人々が避難した先は「品川神社」だ。
1187年(文治3年)建立の神社。
御祭神は、素戔鳴尊(スサノオノミコト)と、天比理乃ナンタラという神様と、宇賀乃ナンタラという神様。
東海七福神のひとつで大黒天も祀ってるそーだ。
ゴジラ第四形態の「鎌倉くん」を迎え撃つ自衛隊戦車部隊が陣を張ったのが多摩川河川敷で、作戦部隊の本部が設置されたのが、「多摩浅間神社」だ。
タマセンゲンジンジャね。
ほら、あの「タバ作戦」の。
多摩川をはさんで、ゴジラを自衛隊の戦車タイガーが攻撃する作戦。
ほら、あのピエール瀧扮する西郷タバ戦闘団長が、作戦失敗したときに、部下に言うでしょう。
「気落ち不要!攻撃ばかりが華じゃない」って。
あの台詞すっごく良かったですねえ!
気落ち不要!!
あの「多摩浅間神社」は、東京都大田区田園調布にあるんだって。
デンエンチョーフだよ。
多摩浅間神社は、木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)をお祭りしてる。
創建は鎌倉時代初期らしい。
「タバ作戦」は、なんで「タバ作戦」なんだろ?
多摩川の古い古い呼び方は「タバ」だったそうだ。
なんだ、それ。
なんちゅうオタクな……
あの神社は是非とも行かねば。
「聖地巡礼」せねば。
そういえば、鎌倉って、庵野秀明氏と奥様の安野モヨコ氏が家を買ったとこだよね。
ということは、この大田区とかにも庵野氏は住んでらしたのかな?
品川にも、住んでらしたのかな?
なんで、また今頃になって『シン・ゴジラ』かだって?
昨日10月20日は午後7時から、福山駅近くの映画館で『シン・ゴジラ』の「激音上映」というのがあったんよ。
「発声可能上映」というのは聞いたことある。
でも、「激音上映」というのは聞いたことない。
激音だから、すごい高性能のスピーカー使って、音が生々しくすごいんじゃないかな?
ゴジラの足音なんかが凄いんじゃないかな?
と思って、仕事が終わってからテキトーに胡桃パンを3個食ってから、映画館に行った。
映画館に行ったら、意外にもお客さんが多かった。
駅前の映画館は私もたまに行くが、こんなにお客さんがいるのは珍しい。
けっこうな人気作品でもお客さん10人くらいって、ザラだもの。
みな、福山駅近辺ではなく、駐車場の広いシネコン系に行くから。
お客さんの年齢層は中年が多い。
若くても30代最初くらい。
大学生らしいのはいなかった。
ああ、いた。
私の4年生ゼミ生がいた。
イラクの復興支援でバグダッドに派遣されて、休職して行こうと思ったら退職することになってしまった優秀な女性の同僚のゼミ生で、3学期から私のゼミに流入してきた3人の男子学生のひとりが、いた。
彼は、「太平洋戦争期の青少年雑誌のジェンダー研究」が卒論のテーマだ。もう1人の学生のテーマは「人工知能による人間総失業時代の到来」について。もう1人は、「新しい戦争形態」についてだ。すべて私の好きなテーマだわん。
それはさておき、8回目『シン・ゴジラ』は、やはり良かった。
よくぞ、こんな凄い作品を作ることができたなあ……とあらためて感心した。
「終」の字がスクリーンに映し出されたとき、やっぱり私は拍手した。
そしたら、他の観客の方々も盛大に拍手した!!!
長い長い拍手に包まれた『シン・ゴジラ』。
いやああ……幸せな120分でした。
でも不思議だったのは、なんも「激音」ではなかったこと。
普通の上映だったこと。
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「激音上映」というのは、「発声可能上映」のことだと、facebook友だちの方に教えてもらった。
なんだあ……
だったら大騒ぎしたのに。
観客のみなさん、誰も大声なんかあげていなかった。
コスプレもしていなかった。
知らなかった……
ところでですねえ、私が毎日読んでる(毎日更新されてるから)某神道系霊能者のBlogにですねえ、
『シン・ゴジラ』のことを予言映画だと書いておられた。
あの映画は、偶然に製作されたように見えて、神意によって生み出された国策(国魂)映画だと書いておられた。
駿河湾を震源とする地震が起きたら、東京湾からの水が東京都内の河川に流れ込み、川が氾濫する可能性があるって。
川が氾濫して自動車が押し流されて凶器になるって。
予言は教えてくれているのだから、想定して、それに備えておけば最悪の事態は回避できるって。
おろおろと不安と心配を抱えつつ、それでも淡々と状況を受け入れつつ備えて歩き続ける姿勢が大事らしいです。
そういえば、本日10月21日午後2時頃かな、福山にも地震があった。
震度4。
鳥取は震度6。
午後9時くらいでも、かすかな余震を感じる。
うーん、日本列島の地龍さんは、中国地方と山陰地方をお散歩しているようだ。
目に見えないゴジラさんは地下にもぐり、どこに移動しているのか?
「神ゴジラ」は、お怒りだろうなあ……
すみません。だらしのない生き方してます。
「神ゴジラ」に踏み潰されても、しかたないなあ……私は。