[112] 大晦日の大病院

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本日は2016年12月31日土曜日だ。

今までの年末年始は論文の締切があったり、なんやかやでほんとうにユックリノンビリしたことはなかった。

今年はいいなあ〜〜もう退職するしなあ〜〜年末年始ノンビリできていいなあ〜〜〜いいんかしらん、こんなにお気楽で……

と、思ってたら大晦日の午後に(私より2歳下の)妹の夫と長女から電話があった。

妹が吐血したとのことだった。

入院したとのこと。

「胃静脈瘤破裂」だそーである。

!!!!

ということで、自宅から車で高速使って約45分くらいの距離にある名古屋市近郊の公立病院に急いだ。

大きな綺麗な病院だ。

スタッフの教育も行き届いている感じ。

妹は、幸いにも意識不明でもなく、ベッドの上で起きていた。

普通に話せる。

12月30日の夕暮れに吐血して、すぐに病院に行ったので助かったそうである。

放置すると、出血性ショックで死亡していたかもしれなかったそうである。

危なかった……

胃の静脈瘤は、とりあえず「ゴム」で縛ってあるそうだ。

静脈瘤って胃の中にもできるんか……

高齢の女性で静脈瘤で脚に青色の静脈を浮き立たせている例は、たまに見かけるが……

妹は私の顔を見ると、ちょっとメソメソした。

「胃カメラで胃の中を調べられて痛かった〜〜不快だった〜〜気持ち悪かった〜〜あの胃カメラってなんとかならないのかなあ〜〜病院は4日から本格的に機能するので、詳しいことは4日以後にしかわからない〜〜」と、それでも私に説明した。

とはいえ、水も飲んではいけないし、食べてもいけない。

トイレも行ってはいけないということで、病床のそばに白いポータブルトイレが置いてあった。

食べていないので、便は出ないそうだ。

ポータブルトイレの中身は看護師さんが取り替えてくれるそうだ。

30日に病院に行って、そのまま入院だ。

今のところ、お風呂もシャワーもダメだそうだ。

難儀なことだ。

なんで、胃の中に静脈瘤ができて破裂したかというと、これは「肝硬変」に伴う症状だそーだ。

私と遺伝子がほとんど同じだけあって、妹も肝臓が悪い。

とうとう肝硬変に進行してしまっていたらしい。

というわけで、5日に福山に戻るまで、正月も4日も毎日、妹の見舞いに行くことが「お仕事」となった。

親子ほどにも年が離れている年下のFacebook友だちの看護師さんによると、入院した場合に、「大事にされる患者」には3種類あるそーだ。

まず、家族に医者がいたり医療関係者がいる患者は大事に扱われる。

「あ、同業者だ。騙せないぞ。うるさいぞ」となるから。

次に病院に大事にされる患者は、患者本人が有名人だったりする場合。

これは、そりゃそうだろーね、である。

ガッキーが入院してきたら、そりゃ寄ってたかって大事にするよね、病院も。

その次に大事にされる患者は、「家族がその患者をすっごく大事にしているケース」だそーだ。

「うちの家族をないがしろにしたら許さんわよ」と、さり気なくあからさまに家族がアピールしている場合は、監視機能があるから。

入れ替わり立ち代り親族が見舞いに来るというのもいいそうである。

つまり、「この患者をきちんと扱わないと、家族がうるさいかもよ〜〜」というプレッシャーを医師や看護師に与えることが大事だそーだ。

だからして、私も医師や看護師にプレッシャーをさりげなく派手に与えるべく、正月は病院に通う。

当分は入院するであろうから、名古屋に帰るたびに病院に通う。

人材派遣会社は、「ニセ見舞客」を病院に派遣するというサーヴィスを始めるべきである。

これは哀しい事実であるが、見舞客がない患者は、どうしても放置されやすいそうである……

まあ、そんなもんかね……

それはさておき、暮れの病院というのは、1992年2月に癌で亡くなった父が入院していた時以来だ。

父が入院していたのは別の病院ではあったが、最近の病院っておもろいね!!

25年前あたりの病院とは大違いである。

コンビニが病院内にある。

タリーズ・コーヒーが病院内にある。

スタバは、なかった。

昔風の大部屋がない。

せいぜいが、4人部屋である。

パーティッションは、白いプラスチックか樹脂製である。

ペラペラしたカーテンではない。

だから、プライバシーはよく保たれているようである。

枕元には、背の高い木目調のクローゼットが設置されている。

そのクローゼットは、まさに荷物入れのクローゼットと、角度を調節できる液晶テレビと、DVD & CD プレイヤーと、鍵のかかる貴重品入れと、小さな冷蔵庫が組み込まれている。

TVはカードで視聴できる。

分別不要のゴミ箱も、そのクローゼットの側面に取り付けられている。

「映画も観れるんだ!」と私は感心した。

「でも、イヤホンがないから……家から持って来てもらわないと、他の患者さんにうるさいし」と妹は言っていた。

パソコンも使おうと思えば使えるそうである。

看護師さんの制服は、昔風の白衣のワンピースではなく、ブルーの上着とパンツである。

非常に機能的にカッコいい。

ナース・ステイションも、まるでアメリカの医療ドラマみたいだ。

おお〜〜〜♫♫

看護師さんは、パソコンを設置した移動デスクを持って患者をチェックしに来る。

礼儀正しく明るく非常に感じのいい看護師さんたちである。

パソコンのディスプレイに映し出された妹のカルテ・データを見ながら、血圧を測る。

おお〜〜〜♫♫

25年前の病院に、こういう風景はなかった。

インターネットが登場したのは1993年だったからなあ。

私が電子メイルを使うようになったのは1993年だった。

インターネットでamazonから本を購入するようになったのは1995年だった。

妹は、携帯電話で自分の家族に、「明日、私のiPad持って来て」などと話している。

ということは、この病院の病室ではWiFiが使えるということだな。

おお〜〜〜♫♫

日本の病院も快適になってきているようだ。

ありがたいことだ。

ついでに、温泉と書店に図書館に映画館が病院内に設置されるといいねえ。

図書館はなくとも、本棚が並んだラウンジは、ちゃんと用意されていたが。

カフェやレストランばかりでなく、ネットカフェも設置されるといいね。

美容院に理髪店も必要だ。

病人も髪は伸びる。

郵便局も必要だ。

ATMは、コンビニ内にあるな。

ピザの出前とかも頼めるんかな、病院から。

あと、医療費のことで相談できる部署があるといいなあ。

と、「もっと進化できる病院」について思いを巡らす私。

ふと見ると、妹は化粧している。

「病人がメイクしてどーするんよ。顔色がわからないじゃないの」と私が言うと、

「だって、あんまりみっともないから……」と妹が言う。

まあ、そんな洒落っ気があるなら大丈夫だろ……と私は思う。

年末年始なので、一時的に退院している患者さんも多いのだろうが、妹のように退院できない患者さんも多いようだ。

大晦日なのに、家族の見舞いに来ている人々は多い。

駐車場はいっぱいだ。

大晦日もお正月も病院のベッドの上で寝ているしかない人々もいる。

妹が吐血して入院とは、まったく想定していなかった。

妹が肝硬変になっているとは、想定していなかった。

肝硬変になると胃の中に静脈瘤ができるのか。

それは破裂するのか。

人生は、やはり想定外のことが起きる。

それでも静かに穏やかに2016年の大晦日が過ぎていく。

これから、おせち料理代りのおでんを大量に作る。

紅白歌合戦なんか見る気はしない。

家族が大晦日に入院しているとなると、浮かれ騒ぎなどは見る気がしない。

来年の4月からは私も名古屋に定住だ。

少しは、妹の闘病生活にも役にたてるだろう。

みなさま、良いお年をお迎えください。

2016年の本Blogをお読みくださり、アホな拙文をお読みくださり、ありがとうございました。

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