三重大学工学部大学院「生産管理論特論1」第2回講義「物語コーポレーション」という奇跡

本日は2017年4月22日土曜日である。

体調が悪くて更新が滞っている。

iPadを弄り過ぎの電磁波障害であろうか。

生霊を飛ばされる覚えはないが。

北朝鮮攻撃が始まるかもしれないし、北朝鮮から日本がミサイル攻撃受けるかもしれない。

と、ネット世界では不安が醸成されている。

大友克洋 の漫画じゃないけど、「気分はもう戦争」だ。

各都道府県の危機管理の責任者が東京に集められ、ミサイル攻撃に備えて避難訓練をせいと指令を受けたらしい。

どこに避難するんだ。

とはいえ、そんな世界情勢なんか気にせずに、繁華街を人々はのん気に行き来している週末だ。

本日は、聴講させていただいている三重大学工学部大学院の渡邊明先生ご担当の「生産管理特論1」第2回講義の内容紹介を書く。

第2回講義は、ゲストスピーカーの方のご講演であった。

「物語コーポレーション」の代表取締役社長CEO・COOの加治幸夫(かじ・ゆきお:1956-)氏によるご講演であった。

「物語コーポレーション」会長の小林佳男(こばやし・よしお: 1948-)氏は、テレビの「ガイヤの夜明け」に出演なさったこともあるので、ご存知の方も多いだろう。

物語コーポレーション。

これは社名である。

不思議な社名だ。

小説を大量生産する工房ではない。

「丸源ラーメン」や「焼肉きんぐ」や「お好み焼き焼き本舗」や「寿司しゃぶしゃぶのゆず庵」や「源氏」 などを全国に展開している外食企業が「物語コーポレーション」だ。

上海では、「鍋源」と「蟹の岡田屋」を展開している。

2017年4月1日現在で、国内5業種11業態、海外2業態で413店舗を展開している。

直営店220店舗。フランチャイズ(FC)193店舗である。

2016年6月30日現在で、社員数988名。そのうち国内の社員数は899名。

時間制従業員、つまりアルバイトは9700名。

本社は創業の地の愛知県豊橋市にある。

あと、東京と大阪と福岡に「フォーラムオフィス」がある。

創業は1949年。

会長の小林氏のお母様が経営しておられたおでん屋「げんじ」がルーツである。

その株式会社げんじに入社した小林氏が売り上げを伸ばし、1997年に現在の株式会社「物語コーポレーション」と社名を変更して再出発した。東証一部上場企業である。

資本金は、2016年6月期で、27億399万1894万円。

売上高は、387億円。FCも入れたグループ売上高は、608億円である。

img_0187-1

このような業績を達成している外食企業の取締役社長を、渡邊明先生は、なぜに三重大学工学部大学院の「生産管理特論」にお呼びしたのか?

というか、そんな忙しい方によく来ていただけたものだ。謝礼なしでっせ……

この「生産管理特論」という科目の目的は、理系の大学院生に未来のマネージメントについて考えさせることである。

だから、「物語コーポレーション」が選ばれた。

なんとなれば、この「物語コーポレーション」という会社は、日本のカイシャとしては非常識なコンセプトで運営されているんである。

それは、「個の尊厳を組織の尊厳の上位に置く」というコンセプトである。

は?

個の尊厳を組織の尊厳の上位に置く。

は?

日本の企業といえば、ブラック産業がほとんどであり、働く人間の尊厳なんかどうでもよく、ひたすら利益を上げ、その利益を株主に還元し、内部留保額を増やすことだけに勤しんでいるというのが、今の常識ではなかろうか。

ブラック企業が日本の企業風土というのが、共通認識ではなかろうか。

ホワイト企業をめざす企業も出てきたという噂も耳にはするが。

ところが、この「物語コーポレーション」は、個人がそれぞれの持つ色で輝く「レインボー企業」を目指しているのである。

は?

レインボー企業?

ということで、講演者の加治幸夫取締役社長のお話のポイントを、以下に列挙する。

私の耳がキャッチできた範囲でのポイントを以下に列挙する。

Blogに書くことの許可は、ちゃんと加治氏よりいただいている。

ありがとうございます〜〜〜

加治氏は、若々しく、ファッショナブルで、気さくで、非常にカッコいい方である。

国立大学のキャンパスでは、クッキリ場違いに浮いていた。

(加治幸夫氏のご講演内容覚え書き始め)

(1)外食企業の盛衰は激しい。サバイバルは激しい。新陳代謝がすごい。外食企業は大きくなると、時代を生き抜く足枷になる。チェーン店が消えてしまうのは普通。

(2) テクノロジーで一気に変わる世界ではない。アナログの世界が外食産業。

(3)特許が取り辛い。工夫してもアイデア出しても、すぐにパクられる。看板までソックリ他店が真似する。屋号もほとんど同じにされる。訴訟起こしても負ける。たとえば、「鳥貴族」が流行ると、「鳥貴」が近所にできる……

(4)外食産業界は、個人営業の店が多いので、24兆円産業とはいえ、業界としての大きい力が持てない。圧力団体、集票マシーンとして政治力になれない。自分たちに都合のいい法の改正とかできない。

(5)外食産業界の未来は厳しい。人工知能でできないサービスを提供できなければいけない。ただの食い物屋では生き残れない。コンビニに負ける。

(6)企業の生存率は10年で6.3%。20年で0.3パーセント。上場できるのは、12万分の1だ。0.00082%だ。

(7) 上場すると信用される。信用されると、いい人材が社員として集まる。

(8) 「物語コーポレーション」は、12年連続増収増資である。それを可能にしているのは、「業態開発力」と「人財開発力」である。「人材」ではないよ。「人財」。

(9) まず業態開発力とは。計画的に売上を見込める業態を選ばねばならない。でないと、成熟した大きな市場で展開できない。

(10)たとえば、日本の外食産業界においては、カレー(850億円)とお好み焼き(1700億円)と牛丼(3600億円)とラーメン(4100億円)と焼肉(5200億円)の5つが手堅く稼げる業態である。

(11)物語コーポレーションは、お好み焼きとラーメンと焼肉で稼ぐ。

(12) 業態が決まれば、まずどこに開店するか、立地が大事。適正交通量のある目立ちやすい出入りしやすい立地を選ぶ。冬は木が枯れてたから店が見えやすかったが、春や 夏は木々に葉が茂って店舗が見えないではダメ。

(13) 店舗は視認性が高くないとダメ。駐車場は大きく広く。店は大きく見せる。大型看板を出す。照明にも留意。

(14) どの客層がターゲットなのか、予算はいくらか、外観や外装からそれが明快にわかるような店舗作りが大事。曖昧なのはダメ。外食予算は2名で5000円だけど、ここ大丈夫かな…と客が迷うような店構えはダメ。

(15) お客様が店に入るまでの作り込みが「業態開発力」だ!

(16) 店に入ってからは、「人財開発力」だ!息の長いフォーマットの開発が大事。「繁盛開発四原則」が大事。文化とオリジナリティとシステムと市場性の4要素!これらが機能してこそ、顧客の多利用動機につながる。多利用つーのは、ファミリーで行くのもいいし、カップルで行くのもいいし、仲間と行くのもいいし、ひとりで落ち着いていくのもいいしということ。

(17) まず強い看板商品を作る。それを磨き込む。進化させる。たとえば、「丸源ラーメン」の看板商品は「肉そば」であり、40%のお客様が注文する。この看板商品には手間をかける。人の手をかける。丁寧に作る。するとそのスキルを習得した社員やアルバイト(パートナーと呼ぶ)の定着率が高まる。自分の仕事に誇りが持てる。

(18)このように特徴がないと生き残れない のが外食店。看板商品があってこそ、期間限定メニューの開発や、メニューデザインの改良が可能になる。

(19) 飲食の世界は、イタチごっこで、マグロ のように、いつも泳いでいなければならない。陳腐化は敵。次のデザインをいつも考える。

(20)他店と同じ同質化と、汚く古臭くなる老朽化と、進歩が見られない固定化は、敵。

(21)そうならないために、新しい物語、新しい価値を提供できる商品開発をしなけてばならないが、そのために必要なのが議論。

(22)商品開発と営業販売部門が、商品立ち上げ段階から議論して協力しあうこと。

(23)議論ができない社員は去るしかない。論理的に、証拠立てて、経験則も加味して議論する。社長や会長は議長ではない。上意下達ではダメ。

(24)そのために車内では、皆「さん」と呼び合う。役職で呼ばない。加治社長ではなく、加治さん。でないと自由な議論にならない。

(25)社員が組織の中で自分自身の意見を言えない企業風土では、社員が定着しないし、社員が定着しないと、アルバイトも定着しない。

(26) 物語コーポレーションの展開する外食店の商品は、高い 調理技術が必要であり、高い付加価値がついている。その技術を身につけている社員やアルバイトの自由な議論こそが大事。「人財開発力」とは、積極的に企業運営、商品開発に関与できる人間を養成保持することだ。

(27)そのために、いろいろなオペレイションをする。たとえば、入社式には8時間かける。一人一人に文章の違う任命書を手渡す。入社激励書を渡す。サプライズメッセージが記されている。

(28)毎週月曜日に朝礼して情報を共有する。自分が会社を支えているという自覚を持つために。

(29)入社1年未満の社員と社員のファミリーを招いてのFamily Convention開催。年に1度の会社の大イヴェントである。

(30)途中入社社員は毎年200人ほど採用。もちろん、彼らや彼女たちも、ファミリー連れて参加。

(31)外国人社員も採用している。中国と韓国とモンゴルとネパールとインドネシアとミャンマーなど9カ国から。

(32)入社式は正装で。お国の正装で。だから入社式はカラフル。チャイナドレスもあれば、チマチョゴリ もある。入社式で祖国の正装をというアイデアは、インドネシア人社員の意見を採用したから。

(33)店長になった人間は、必ず7日間の公休をとって、海外旅行に行く。これは義務。海外体験は大事だから。これを「レインボー休暇」と呼ぶ。社員には店長に憧れてもらいたい。

(34)いろいろな文化や価値観を大事にするレインボー企業であると同時に、利益を上げる企業として、生き残るためのオペレイションは、100以上ある。

(35) 物語コーポレーション社に入社希望者は、年間20回以上開催されているセミナーに出席が義務。「会社の決め方」や「意思決定の仕方」などをセミナーで学んでいないとダメ。

(36)物語コーポレーション社では、Hospitality Contestやっている。誕生日には、社員からドドドと Birthday mailが届く。新入社員でも、堂々と意見発信する。メイルで全社員に送る。

(37)ともかく、「よってたかってみんなでやる」!自分たちの会社だからだ!一人一人の人生を充実させるための会社だからだ!

(38)議論しあえるために、一般常識や世界情勢への知識が必要である。でなければ説得力ある論は展開できない。広範囲の勉強や教養は、仕事そのものと同じくらいに必要である。

(39)個人の尊厳を組織の尊厳の上位に置いて、自分が向上するために、自分たちが共有している会社を守り発展させる!それが「物語コーポレーション」だ!

(以上、覚え書き終わり)

img_0179

私は、加治氏のご講演を聴いて、びっくりした。

こんな会社が 日本にあったのか!?

日本人にとっては、会社とは、職場とは、刑務所である。

幹部は馬鹿に決まっている。

上司は理不尽に決まっている。

理不尽の我慢料が給与である。

幹部は現場を知らなくて、その判断は、いつも間違っている。

間違っていると明らかになっても、責任は負わない。知らん顔である。

議論しようにも、最初に結論ありきである。

幹部の責任逃れのために、「みんなで決めたのだから私に責任はない」と言い張るために会議を開く。

だから、部下の意見など聞く気はサラサラない。

議論のために議論するのではなく、物事を良くするために議論する社員でさえ嫌われて排斥される。

なぜならば、いったいどうするのか、どうしたいのかという構想も志もヴィジョンもないからだ。

その構想と志とヴィジョンを共有するための努力をしない。

恣意的な方向性の見えない指令に右往左往されるのが社員だ。

これが、一般的な日本の企業だ。組織だ。

こんな企業風土だから、日本において働くということは、意味のない苦役にしかならない。

ただただ少ない給与のために、生活のために、時間と労力を売るということになる。

自分も活き、組織も活きることができる働き方がある、存在するということが、もうほとんどの日本人には想像できなくなっている。

私自身もそうだ。

しかし、それが普通で当たり前だと思っていた。
しかし、それを当たり前にしてはいけないんだ。

「物語コーポレーション」のような会社が増えないと、日本が幸福になれない。日本人が幸福になれない。

加治氏のご講演終了後に、加治氏にお供していらした「物語コーポレーション」社員(といっても管理職でらっしゃる)の方々に、私は、こっそりと質問してみた。

「社長さんのお話って本当ですか?ほんとに、どんな意見でも言い合えるんですか?」と。

おふたりとも、躊躇いなく明るい表情で「本当ですよ」と、おっしゃった。

うーむ。

恐るべし「物語コーポレーション」!

日本の希望だ!

若かったら、採用していただきたい。

まずは、「丸源ラーメン」に行って「肉そば」注文するべ。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中