[171] プー子から見た風景(4) テーブルと椅子

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本日は、2017年5月26日金曜日である。

昨日は尾道から福山に移動して福山に宿泊した。

今日も福山に宿泊する。

面白いよね。

短期間であれ、自分が住んだことがある場所に来ると、「帰ってきた」という感覚になる。

大阪に行けば、帰ってきたなと思う。

ニューヨークに行けば、帰ってきたなと思う。

福山に来たら、やっぱり「帰って来た……」と思った。

でもまあ、自分が一度でも行ったことがある場所なら、再訪すれば、帰ってきたなと思うのかなあ。

でもってですねえ、今日は、無職のプー太郎ならぬプー子になってみると、福山の知らなかった貌を見たよ、という話を書く。

昨日は午後遅くに、福山市内のよく通っていた中国整体院に整体と漢方蒸しの予約をしていた。

で、尾道から福山に着いてから数時間ほど時間があったので、ホテルのチェックインまで荷物を預けて、駅前をウロチョロしてみた。

すると、福山駅近くにある「アイネスフクヤマ」という商業ビルが面白いことに気がついた。

その「アイネスフクヤマ」というビルの中に入ったことはなかった。

このビルの2階にある「サルヴァトーレ・クオモ」というイタリアンレストランには、ネット予約して、ピザの配達とかお願いしたことは何度もあったけれども。

ここのピザは美味しいんすよ。

学生さんと研究室で話し込んでて、お腹が空いたね〜〜ピザの出前を頼もうか〜〜ということで、学生さんがスマホでネット注文してくれたんで、ここのピザの美味しさを知った。

もう、あそこのピザの美味しさを知ると、他のお店のピザを食べることできないよ、ほんと。

それはさておき、この「アイネスフクヤマ」というビルには、やたらと空きスペースに椅子とテーブルが置いてある。

あちこちに置いてある。

こんなところにも?というような目立たない場所にも置いてある。

これらのテーブルと椅子のスペースは、2階にも設けられていた。

2階には、カルチャーセンターの教室とか、旅行代理店とか、クリニックとかがある。

空いたところに、やたらと椅子やテーブルやベンチが置かれるのは、大学のキャンパスあたりだと、今は普通だ。

でも、商業ビルもそうなっているのかな?

日本も東京や横浜だと、今はこうなっているのかな?

誰もが使えるテーブルと椅子が置かれていると、誰もがちょっと腰掛けたくなる。

で、お昼時であったので、いろいろな人が、そのスペースを利用して軽食を採っていた。

コンビニで買ったようなものを、そこで広げて食べていた。

食べたあとは、ずっとそこに座り込んで、おしゃべりに興じる高齢者のグループもいた。

かと思うと、なにか書類を広げて読んでいる人もいた。

スマホをいじっている人もいた。

あまり目立たない所に置かれている椅子とテーブルに着いて、静かにゆっくりと、コンビニで入手したらしいお蕎麦を上品に口に運んでいる高齢の紳士もいた。

気をつけてみると、テーブルと椅子ばかりではない。

そのビルには、人が気楽に腰をかけることができるスペースが用意されている。

下の写真のようなベンチとか。

こーいうベンチに腰かけて、スマホに英語で話しかけている女性もいた。

日本人の女性である。

こういうベンチに座り込んで文庫本を読んでいる初老の女性もいた。

かく言う私も、ウロチョロと、そのビルの「椅子とテーブルが置かれている場所」をチェックして、iPadで撮影している暇そうな初老のオバちゃんである。

そのビルに置かれているテーブルや椅子を利用する人々は、ほぼ絶対に、その商業ビルに入っているお店には入らない。

若い人向けのファッショナブルな衣類やバッグが売られているショップやネイルサロンが、1階にはある。

ネイルサロンに入る女性は、ネイルサロンにサッサと入るのであって、テーブルや椅子など使わない。

近所には福山市役所やオフィスがあるので、休みどきには、市役所職員や会社員らしい人たちが歩いている。

でも、その人たちは、「アイネスフクヤマ」ビルの中の椅子やテーブルなど使わない。

どこかのレストランで、ランチを食べるのであろう。

あのビルを設計した人は、どういうつもりだったのかな。

その設計者は、商業ビルに訪問する人々の憩いの場所として、ああいうスペースを設けたのかもしれない。

でも、実際の週日の昼間に、ああいうスペースを利用するのは、商業ビルに用がある人々じゃない。

街に出てきたけれども、行き場のない人々だ。

そのビルのテーブルと椅子を使っている人々は、孤独であるように見えた。

スマホで誰かに話しかけていても、孤独そうに見えた。

高齢者の人々は、グループであれ、ひとりであれ、時間を静かに持て余しているようであった。

それでも、家でじっとしているのではなく、誰もが街に出たい。

外気にあたりたい。

陽の光を浴びたい。

街の活気を浴びたい。

しかし、街に出ても、行くところもない。

買いたいものもない。

買えない。

そういう人々にとって、ああいう椅子とテーブルは福音だ。

テーブルと椅子が置いてあれば、座っていい。

とりあえず、そこにいれば 怪しくない。

私も、ホテルにチェックインできず、かといって映画館にもデパートにも行く気はせず、前の職場に寄るなんて思いもつかず、なんとなく、そのビルの中を独りでウロチョロしていた。

エレベーターの前に置かれた椅子に座り込んで、テーブルに肘をついて、iPadでKindle本を読んだりした。


商業ビルの中の椅子とテーブルにベンチ。

街に出てきても行き場のない人々のくつろげる場所。

孤独にボケッとしていてもいい場所。

「アイネスフクヤマ」の設計者は、功徳を積んだよね。

あのように、あちこちにテーブルや椅子やベンチを置いたので、おかげで、街に来たのはいいが行くところがないし、することもない人々が、そのスペースを利用できる。

ニューヨークの公園のベンチなんてさ、ひっくりかえって寝ていると警官が注意しに来たものだった。

今では、ベンチに寝っ転がれないように鉄枠でベンチを3席分に区切ったりしてる。

ケチ。

ホームレス対策らしいけれども。

いいじゃないか。ホームレスも街のにぎわい。

街ってのは、ニッチがいっぱいあるべきだ。

オープンでありつつ、孤独にしていられるスペースがいっぱいさり気なくあるべきだ。

行くところのない人間にとっての、しばしのヤドリギが、あちこちにあるべきだ。

カネ使わずに居ることができるスペースが、あちこちにあるべきだ。

街が好きだけど、行くところがない人々のスペースを、街はいっぱい作っておくべきだ。

商業ビルの中の椅子とテーブルの風景。

これこそ、無職のプー子でないと見ることがなかったであろう風景だなあ……

と、私は、「アイネスフクヤマ」ビルに感謝したとよ。

さて、これから私は歯科室「むつてっせん」に行きます。

定期的チェックを受けるために。

「舌剥がし」という口腔内の健康維持のための施術を受けに。

痛いそうです……

タオルを用意してくようにドクターに言われております。

泣くほど痛いのか……

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