本日は、2017年6月16日金曜日である。
昨日、美容院で白髪のマニキュア(染めるのとは違うらしい、よくわからん)をしていただきながら、Kindleで読み終わった本の内容に大いに感心した。
その本は、杉原淳一氏と染原睦美氏の『誰がアパレルを殺したか?』(日経BP社、2017)である。
面白い〜〜
勉強になった〜〜
ついつい興奮して美容師さんと「アパレル産業の現在」について声高に話し合ってしまった。
うるさい客だな、私って。
うわあ〜〜〜世の中って、こういうように動いているのねん。
私が、ジタバタと労働して、ウカウカと64歳になっている間に、世の中こうなってたのね。
知らなかった!知らなかった!
アパレルというか既製服産業が不況なんだって?
店舗の閉鎖やブランドの撤退が相次いでいるのだって?
若い人が洋服を買わなくなったんだって?
百貨店といいますか、デパートメントストアでも、婦人服って売れなくなったんだって?
その理由はいろいろある。
理由については、この本を読んでちょーらい。
まさに、日本の戦後史だ。面白いです!!
私自身は、趣味のひとつが、通販のカタログ熟読と、アパレル通販サイトのインターネットサーフィンだ。
洋服もバッグも靴も大好きだ。
私にとっては、眺めていると楽しい綺麗な景色みたいなもんだ。
zozotownで、若い子の流行を見るのは好きだ。
カッコいいなあ〜〜〜素敵だなあ〜〜と思いつつ、セールしてたら買う。
エルメスやグッチやルイ・ヴィトンの公式サイトもチェックする。
Buymaもチェックする。
Buymaつーのは、海外に住んでる人が現地で仕入れたブランド品を売るサイトだ。もしくは、バイヤーが現地で関税なしで買ってきたものを、日本に運んで売るとか、そういうサイト。
日本では売っていないものが買えたりする。
日本のグッチのお店で定価25万円のバッグだと、ちょっとだけ安かったりする。
そんなサイトなど眺めていても、私が買うわけではない。
まったくもって時間の無駄である。
でも、こーいうヴァーチャル・ウィンドウショッピングって、面白いのよん。
なんもやる気がないときは、黙々と延々とiPadを弄りつつ、やっぱ、エルメスのシルクのスカーフやショールの柄は素敵ですなあ〜〜芸術品だなあ〜〜〜と感心している。
エルメスに憧れて、若い頃は数枚ほどシルクのスカーフを買ったけれども、似合わなかった。
今は、風呂敷がわりに使ってる。
古くなった神札とか、まとめて神社に処分してもらいに持って行くときは、エルメスのシルクのスカーフで包んで行く。
旅行に行くときは、靴下も下着もエルメスのシルクのスカーフで包んでスーツケースに押し込む。
ざまみろ、エルメスめ。おフランスめ。
私は、名古屋は大須とか、難波のアーケード街のお店で3000円から5000円ぐらいで買ったショールの方が似合うんよ。
だけど、そーいうことは、どうでもいいんよ。
私が『誰がアパレルを殺すのか』を読んで、なぜ感心したのか?
それは、まさに、今の日本のアパレル業界が、1970年代までの「少品種大量生産時代」を経過し、20世紀末の「多品種少量生産時代」を過ぎ、今や「変種変量生産時代」になっていると知ったからだ!
あ、この「少品種大量生産」とか「多品種少量生産」とか「変種変量生産」つーのは、渡邊明先生の三重大学工学部大学院科目「生産管理論特論」を聴講させていただいてから知った用語である。
1970年代までは高度成長期で、みんなどんどんオシャレになって衣服にお金をかけた。
だけど、あの頃は私は大学生時代で困ったよ。
天地真理さんが、すごい人気の時代で、どこのお店も「真理ちゃんルック」しか売ってなかった。
天地真理さんって、知っていますか? ほんとに可愛かったです。
しかし、ヒラヒラの白雪姫みたいなワンピースを私が着れるか!! まいったよ、もう。
多様性なし。まさに少品種大量生産であった。
1980年代のバブルあたりから、デザイナーズブランドというものの全盛期になった。
Issey MiyakeとかKenzoとかヨウジ・ヤマモトとか。
アメリカのBrooks BrothersとかRalph Laurenなんて私も好きだった。
消費者の趣味が多様化して、お店も多様化して、みんなが同じもの着てるような大流行は消えた。
ロリータ・ファッションでさえ、ゴスロリだの何だのと細分化された。
多品種少量生産の時代だ。
で、今。
なんと、Nutteというネットサーヴィスができてる!!
ヌッテ。 縫って。
これは、「私は、こーいうお洋服が欲しいんですが、売ってません〜〜作ってください〜〜縫ってええ〜〜」と登録すると、「作りますよ〜〜縫いますよ〜〜」と縫製職人さんが連絡してきて、いろいろ条件を決めて取引成立というウエッブサイトなのだ。
ウエッブサイトが、顧客と縫製職人さんの出会いのプラットフォームになっている。
びっくりだ。
これこそ、変種変量生産だ。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1304246526338334&id=704510842978575
あと、ミナ・ペルホネンってブランドも、変種変量生産かな。
ここは、セールやらない。去年のものも、一昨年のものも定価で売る。
デパートにも買取でないと提供しない。
デパートは、仕入れるだけ仕入れて、売れ残ったものは返品してきた。これは、売る努力とか商品を選ぶ努力しなくてもいいのだから、デパートにとっては都合がいいシステムだ。
そういうのは駄目だ!とミナ・ペルホネンの社長さんは考えている。
このブランドの商品は素敵だ。だから安くはない。ワンピースで6万円から10万円くらいか。
丁寧な造りである。品もいい。上層中産階級のインテリ中高年女性に根強い人気がある。
顧客を選ぶブランドである。
ミナ・ペルホネンの商品はリサイクル・ショップでも、とても人気がある。
知る人ぞ知る日本の有名ブランドだ。
これって、やっぱり変種変量生産と言えるのではないかなあ。
あ、私は買ったことないです。
素敵だけれども、デザインが女性的なんで私の趣味ではない。
ヨーガンレイルってブランドも、このミナ・ペルホネン路線だな。
ところで、『誰がアパレルを殺すのか』を読んで、もっとびっくりしたことがある。
うわあ〜〜
元々は、アメリカのサーヴィスの真似らしいけれども、今の若い人って、洋服なんか買わずにレンタルするんだってね!
たとえば、airClosetってサーヴィスだと、1ヶ月9800円(税抜き)で登録すれば、毎月、希望すれば何回でも、スタイリストがコーディネートした3着一式が届けられるんだってね!
シャツにスカートにベストとかのセットが。
1年で12万円なら、安い。ほんとに買ったら、年間12万円なんか、すぐぶっ飛ぶ。
スタイリストが選ぶから、失敗ない。センスはいい。
自分で選べないかわりに、自分では選びそうもないけれど、意外と似合うものに出会える。
忙しくて買い物してる時間がないし、物を増やしたくない女性にはピッタシだ!
ただし、サイズ展開は、「フリーサイズ」とはいえ、デブは利用できないと思う。
せいぜいが、13号サイズの女性までだ。
17号の私では利用できません。
届いたコーディネート3着が気に入ったら買取もできる。
下の動画が、airClosetのコンセプト・ムービーです。
こーいうーアパレルのレンタルサーヴィスで、他にはMechakariというのもある。
メチャカリ。
このサーヴィスはすごい。月額5800円で借り放題。メチャメチャ借りることができる。
それも新品が届く。
3着までは手元に置いておける。60日利用したら借りた人のものになる。
えええ?
その新品は、60日以内に返却されたら、Mechakari社さんによって、さっさとZozousedに売られる。
Zozousedというのは、Zozotownの古着部門だ。私も随分と、断捨離で利用させてもらった。
すごいーー
それで利益が出るのか?
よっぽど原価が安いんだな……
下の動画は、Mechakariのアプリ紹介動画だ。
それにしても、こんなサーヴィスが私の若い頃にあったら、絶対にガンガン利用したのに!!
で、私は、『誰がアパレルを殺すのか』では言及されていないレンタル・サーヴィスもあるんじゃないかと思って、検索してみた。
あった、あった。
ブランドのバッグを月額6800円の利用料で何度も借りることができるサーヴィスで、Laxusだ。
ラクサスね。
ただし、新品ではない。
2017年春夏販売のルイ・ヴィトンのバッグの未使用品を……というわけにはいかない。
リサイクルのブランドバッグのレンタル・サーヴィスである。
気に入ればずっと借りていられる。月額6800円で。最初の1ヶ月は無料だ。
これは便利だ!!
「一生もの」だからと言って、すごく高価なブランドのバッグを購入してもさあ……
「一生もの」なんてない。
絶対に飽きる。
ならば、高価なブランドのバッグはレンタルで、というのは合理的だ。
レンタルしたいバッグがあったら、私も借りるかも。
ネクタイとかレンタルできるらしい。
いやあ〜〜驚いた。
変種変量生産もだけど、お金をあまりかけずにオシャレしたい人々のためのサーヴィスが出てきたのだ!!
素晴らしい !
しかし、洋服というのは、原価のわりに高い。
セールで半額以下にしても利益あるんだから。
という、アパレル業界のメチャメチャな原価率に対する消費者の不満に答えるべく、アメリカのEverlaneって会社は、価格構成を明示して商品を売っているそーだ。
原価はこうで、人件費はこうで、物流はこうで、利益はこうでと数字を明らかにしているそーだ。
しかし、私が、Everlaneのオンラインショップをチェックした範囲では、価格をそのように表示していない。
ただ、安い!
シルクのドレス(ワンピースのこと)で、125ドルだ。原価率が高いことは確かである。良心的である。
ここの商品の一部は、日本のAmazonでも売ってる。
日本からでも注文できるが、商品自体に特徴はなさそう。
ということで、瀕死のアパレル業界が、いろいろな活路を開拓している事例がいっぱいに書かれた『誰がアパレルを殺すのか』を読んで、私は感動した。
人間の知恵に限界はない!!
ビジネスチャンスはある!!
なんで、私には、その知恵がわいてこないんかしらん。