本日は2017年11月21日火曜日である。
今日は、またトイレのことを書く。
先週、三重大学工学部大学院開講の渡邊明先生ご担当「生産管理論特論2」を聴講させていただいたときに、この冊子を渡邊先生より賜った。
例のトイレを綺麗にすることからSAの売り上げを伸ばした「株式会社 中日本高速道路」NEXCO 中日本が発行している「美化ピカ トイレのヒミツ」という冊子である。
その「清掃編」である。
私がBlogで、トイレのことを書いていたので、渡邊先生がくださったのである。
ありがとうございます。
この冊子の中身が、また非常に面白かったので、勝手にここに紹介する。
私は、信州に夫の実家の法事に出席するために行く途中の高速道路で、NEXCO 中日本が経営するサーヴィス・エリアSAのトイレを使い、その清潔さや綺麗さに感心した。
しかし、トイレは掃除する人がいるので、その清潔さや綺麗さが保たれる。
最近の日本人もいろいろだし、マナーの悪い類の外国人観光客も多いので、自分がトイレを使った後をチェックする人間ばかりではない。
どういうふうに運営して、トイレを清潔綺麗に保っているのかなあ?と私は考えた。
ひとつのSAのトイレには、平均幾つの個室があるのか?
男性の小便器だけでもいくつあるのか?
洗面台はいくつあるのか?
何人の清掃人がいるのか?
その清掃人は1日8時間の労働時間に何回清掃するのか?
人件費をかけてはいられないから、いずれは人工知能がSAトイレを清掃するようになるのだろうか?
NEXCO 中日本が発行している「美化ピカ トイレのヒミツ」という冊子「清掃編」には、その答えのかなりが書かれていた。
すごい!!
(1)まず、NEXCO中日本は、トイレ美化の主人公を清掃スタッフと位置づけるために、清掃スタッフのお洒落度を上げた!
SAのトイレの清掃スタッフは、「エリアキャスト」と呼ばれ、トイレ掃除を隠す清掃から「魅せる清掃」にするために、女性のスタッフは綺麗でいるために、一流化粧品会社のメイクの研修も受ける。
各エリアキャストは、制服もお仕着せではなく、自分たちで制服を選ぶ。
これは、気分が上がるよね!
まずは外見、形から入るって大事だ!
私は、「東海エリア」のピンクと黒の制服なら着てもいいぞ!
(2) エリアキャストは、毎年ちゃんと清掃研修を受ける。
この清掃研修では、トイレ清掃のスキルを学ぶだけではない。
テーマパークで人材教育の責任者であった方や、航空会社の元キャビンアテンダントをなさっていた方をお呼びして、挨拶や接客も学ぶ。
エリアキャスト同士のコミュニケーションも学ぶ。
いやあ、大学教職員も、こういう研修を受けるべきですわ。
(3) NEXCO中日本管区内の便器の数は約9000個。基本清掃は1日1回で、巡回清掃は1日6回から7回。
エリアキャストは各SAにおいて、数人規模。
たとえば、1日最大利用者数6万人の海老名SA(東名高速道路で厚木と横浜町田の間)のエリアキャストでさえ、たった7名。
海老名SAは利用者が多いので、ここのトイレは24時間365日体制でチェックしている。
トイレの汚れ具合によっては、1個室20分かかることもある。
みなさん、SAのトイレも汚さないようにね〜〜汚したら、自分でできる範囲で綺麗にしようね〜〜
誰も見ていないから、いいと思うでしょ〜〜
実は、ちゃんと見られているんだよ〜〜
あなた自身が見ているんだよ〜〜
あなた自身が覚えていなくても、あなたの内臓が記憶しているんだよ〜〜
あなたの内臓が記憶していてね、死んでから閻魔様の前で、あなたの内臓に保存されている全記憶がダウンロードされて、やったことがバレてしまうのだよ〜〜
って、これは私の見解ではありません。
この内臓保存全記憶ダウンロード説は、例の舌はがし啓蒙運動リーダーの平井幸祐氏の説です。
でも、リアルだわん。きっと全記憶がダウンロードされるんだわん。
恥ずかしい恥ずかしい!
(4) 清掃場所ごとにタオルは色分けで使う。ほぼ5種類5色のタオルを使い分ける。
そりゃ、みな白い雑巾にすると、便器と洗面所のシンクをうっかり同じ雑巾で拭いてしまうかもしれないよね。
(5) ベビーベッドは90度の熱湯を使って菌の繁殖を抑える。
赤ちゃんの肌にアルコール消毒はきついから。
愛があるな、愛が。
(6) 金属部分は顔が映るくらいにピカピカにする。
毎日丁寧に磨くと、何年経っても、ピカピカで、これが清潔感を増幅させる。
住居でも金属部分をピカピカにしておくと、いかにも掃除してありますの趣になるよ。
蛇口とかね。
(7) 清掃用ブラシは画一的なものではなく、ひとりひとりのエリアキャストが自分の使い勝手に応じて選ぶ。100円ショップで調達することもある。
手の大小、身長の高低により、使いやすい道具はぞれぞれだよね。
エリアキャストが自分で選んで自分で購入した場合に、経費として、ちゃんと会社が清算してくれるのかな?
だよねえ?
杓子定規な規則を盾に、経費で支払うべきものを、個人の労働者の持ち出しに依存するなんてことはしてないよね?
それでは、まるで私が勤務していた頃の福山市立大学になっちゃうよ。
(8) 小便器は約40秒、個室は約3分で清掃が基準。
速い!!
ゴム手袋してスポンジで「手で洗う」のが短く速く綺麗にするコツだ!
便器の裏は手鏡でチェックするんだぞ。
隅々までピッカピッカにするのだぞ。
私も自宅のトイレもブラシは使わずに、素手で雑巾で拭いているが、これからは手袋とスポンジで拭くかな。
(9) 年に1度厚生労働省認定「トイレ診断士」によって全トイレをチェックしてもらう。
この資格は、2003年に厚生労働省が、株式会社「アメニティ」に社内検定制度として認めたもの。国家資格ではないです。
国家資格にしていいと思うけどねえ。
臭気、換気、照度、湿度、不快指数など、総合的にトイレの維持管理を評価する資格を持った人に、厳しくチェックしてもらう。
さすがトイレ最先進国をめざす日本だ。
この制度を、全公共機関、教育機関、企業に適用すべきだ。
私は、トイレに関してはファシストになるぞ。全体主義者になるぞ。
(10) 「自家製洗浄剤」を作ってしまった!
NEXCO中日本は、なんと、自前でパイプや浄化槽の悪臭を取る洗浄剤を作った!!
パイプや浄化槽はエリアキャストは清掃できない。
悪臭は便器やトイレ個室だけから発生するわけではない。
パイプや浄化槽から発生する悪臭がある。
「人間が辿り着けない場所でも菌なら行ける」ので、NEXCO中日本は、ねめりを取り尿石を食べる納豆菌や酵母菌や乳酸菌を独自配合した洗浄液を開発した!
この洗浄液を便器に流し込むと、悪臭が消えていく!!
これは、愛媛県産業技術研究所が開発した「えひめAI」という洗浄剤を参考にしているそうだ。
あれ?
この洗浄剤を入浴剤に改良したものを、ずっと私が自宅で使ってますが……
(11) エリアキャストたちは互いの情報交換紙「エリ子が歩くSA⚫︎PA」を発行している。
たとえば点字ブロックはメラミンスポンジで清掃するといいとか。
メラミンスポンジって何だ?
これはTOYOTAならぬ、NEXCO中日本式「カイゼン」だね。
やお花でトイレを飾る。
そういえば、洗面台にお花や人形が飾られていた。
そういえば、入口の壁にデコレーションがされていた。
NEXCO中日本のトイレが、なんかちょっとat homeな雰囲気があるのは、そのせいであったか!
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12) 利用者の苦情にはすぐに対応する。
たとえば、女子トイレで待つ場所の表示がないと、待ってる人を差し置いて自分だけサッサと利用するマナーの悪い利用客もいる。
そのことで苦情があった場合は、トイレの床にラインを引いて、ここで待ってくださいねーー順番にねーーと示すように工夫する。
そういえば、トイレで一列に並んで、トイレが開いたら前に並んでいる順番で使うという習慣は、いつ頃から日本のトイレにも定着したろうか。
これは、アメリカとか欧米では前からそうだった。
でも、日本では比較的最近に始まった習慣だ。
大昔は、行儀よく一列に並んでいなかったような気がするなあ。
まあ、日本だって、今の中国人を笑えないんだよ。
日本人も、ほんとに公衆の場でマナーは悪かったから。
というわけで、中日本のトイレ大作戦は大成功しています。
立派だ。
すごい。
これこそ、義務教育の道徳の教材に使うべき資料である。
道徳実践として、手袋とスポンジで生徒たちが、学校の便器に挑むべきである。
さて、このように、日本のトイレの高いスタンダードを作り維持し、トイレの世界基準というものを向上更新することに影響を与えつつある NEXCO中日本である。
で、エリアキャストさんの給与はどのような水準であろうか。
そのあたりまで公開してくれたら、私としては、もっと嬉しい!!
ダメ?