本日は2018年7月5日木曜日である。
雨と強風の台風もどきの日々が続く。
かと思うと高温多湿の呪いの夏の夜もある。
どうせ、私は夏はダメな人間である。
特に6月と7月は、もともと悪い頭が余計に悪くなる。
空亡である。天中殺である。大殺界である。
ところで、今日は日本漫画ってすごいんね、あらためて知ったわん、という話を書く。
はまって読んでいた千田琢哉氏が、推薦図書として『カイジ』に言及していた。
カイジ?
素直な私は、すぐにKindleで読んだ。
最初の「賭博黙示録」編だけ。13巻だっけ。
映画化されていることだけは知っていた。
香川照之さんが「利根川さん」演じてたんだ。
読んでビックリ。
すごい!
すごい!
すごい!
『ナニワ金融道』も『闇金ウシジマ君』もすごかったけれども、『カイジ』には、哲学的考察がある。
金は命より重い!
うん、ほんとよ、それ。
安易に借金する人間はクズだよ。
根本的に世の中を舐めてるし、依存性が骨身に絡みついている。
保証人の署名や判を押すのもクズだ。
私もクズだった。
短大勤務時代の教え子が卒業後に看護学校に入学し直した。
やっぱ専門職になりたいということで。彼女は大企業が採用しない家庭の事情の持ち主だった。
彼女はめでたく看護師になり、某私立医科大学付属病院に勤務し、毎月6万円か7万円ほどの奨学金をもらえることになった。1年間勤務すれば返済する必要なしだが、ついては保証人が必要なので、保証人になってくれと、彼女は私に依頼した。
私は気楽に引き受けた。
ところが、半年もしないうちに婚約不履行の恋人を殺害した。
で、保証人だった私は、奨学金数ヶ月分を弁償返還するはめになった。
40代の私は、まだまだ甘かった。
私ごときが、人のために何がしかできるような思い違いをしていた。
その後、刑務所に入った彼女の身元引き受け人をしている間にも、私なりの支援をしたが、それを当たり前のことと受け取っている姿勢が見て取れたので、彼女とは縁を切った。
私は馬鹿なんで、こういう厚かましい類の教え子のカモに数回なっている。
彼女たちや彼らの共通点は、金はどこかから湧いて出てくるものであると思い込んでいる脳足りんであるということだ。
自分に親切にしてくれる人間に対して一層に厚かましく要求し使役しようとする寄生虫姿勢も共通していた。
自己憐憫は極めて得意だが、他人の状況への想像力が欠如していることも共通していた。
こういう類の人間を引き寄せてしまったのは、すべて私の不徳のゆえであった。
私の人間観人生観の未熟さによって起きたことだ。
実にいい勉強になった。
騙される方が悪いんである。
だからこそ、「金は命より重い」ということがわかる。
「借りたお金を返せませんという謝罪は土下座してすむものではなく、内臓売ってでも返済すべきものである」ということの真実がわかる。
『闇金ウシジマ君』にも大いに教えられたが、『カイジ』はもっと深いところに達している。
人間が生きることの孤独な戦い。
孤独だからこそ、みなが孤独で戦っていることへの共感が生まれる。
たとえ誰も助けてくれない戦いでも、近くに自分と同じように生きて戦っている人間がいる。
戦っているのは自分だけではないと知る認識が与える温かさ。
その温かさによって生まれる、他者への感謝の心。
それでも、自分の生は自分だけしかわからないものであり、誰とも分かち合えない。
そういう洞察が、何ページかの絵によって伝わってくる。
ドストエフスキー『罪と罰』を読むことよりも、もっともっとストレートに手っ取り早く心に入ってくる。
うわあ……
すごい作品だな、『カイジ』って!
と、非常に遅ればせながら、私は感動してしまった。
なんと、中国で映画化されたそうではないか。
『動物世界』というタイトルで、『カイジ』の賭博黙示録は。
利根川さんは、かのマイケル・ダグラスだそーだ。
世界基準なのさ、『カイジ』は!
原作者の福本伸行さん、すごい!
http://cinefil.tokyo/_ct/17186459
私は、子供の頃に漫画家になりたかった。ほんとうになりたかった。
毎日学校から帰ると、わら半紙に枠を定規で書き、「執筆」していた。
母親に、塾に行けと言われても、サボって書いていた。
絵も下手だし、ストーリーも考えられず、小学校高学年で漫画家の夢は捨てた。
それでも、漫画の消費者ではあり続けた。
特に1970年代から80年代の漫画の隆盛はすごかった。
特に少女漫画の水準は文学を超えた。
短大の教員時代は学生さんたちから、いい漫画情報は教えてもらっていた。
しかし、1990年代に入ったあたりから、30代も終わりくらいになってから、漫画から遠ざかった。
公私ともに猛烈に忙しくなった。
両親の病気に、大学の仕事に、学会発表や論文書きのための資料読み。
2001年にアイン・ランドに出会ってからの読書範囲の拡大。
私が漫画から遠ざかっていた30年。
その間に、日本の漫画はとんでもない発展と進化を遂げていた。
その他にも、千田琢哉氏は、『グラップラー刃牙』という漫画も推薦しておられた。
刃牙は「バキ」と読みます。
ハキバと、読んでた私。
全42巻を古書店から6200円で取り寄せた。
42巻でっせ……
これが、またとんでもなかった。
なに、これ?
格闘技の世界?
戦国時代が終わって男たちが身体張って戦う場が消えたんで、それではあかん、男の戦闘欲は本能なんだから、抑えちゃいかんということで、徳川政権によって秘密裏に守られてきた格闘技の闘争場所。
今は後楽園の東京ドーム地下6階で繰り広げられる、なんでもありの格闘技試合!?
刃牙のお父ちゃんの範馬勇次郎って、なに?
「劇団ひとり」ではなく、「ひとり軍隊」だ。
私は、またまた感心した。
なんという想像力。
この刃牙シリーズには、いろいろあって、ずっと未だに続いているそうだ。
はああ……
男って、やっぱり頭がおかしいわ……
でも、これが男だよな。
しかし、漫画ってすごい表現手段だ。
漫画が、一番先頭を走っているぞ!!
私がボケっと生活費獲得労働に明け暮れている間に、私の視野も想像力も狭く古びたものになってしまった。
日本人として生まれたら、日本という精神風土とインフラの元で生まれたら日本漫画の多彩さとアナーキーさを味わい尽くさねば、もったいない!!
1980年代の終わり頃に、勤務していた短大の学生の語学研修の引率でアメリカに行くと、現地の高校生が日本語を勉強していた。
なんでか?
日本の漫画を読むために。
一週間遅れで西海岸に届く『少年ジャンプ』を読むために。
すでに日本は、世界に遅れをとってしまって衰退一直線かもしれない。
しかし、日本漫画だけはすごい。
日本人の頭脳と感性と画力から生まれた漫画だけは、ずっと突っ走っている。
すごい。
すごい。
しかし、Kindle買ってたり、全巻揃えて買ってたりは、年金生活者として負担が大きい。
ので、漫画を無料で読めるアプリをいろいろ調べてみた。
漫画アプリもいろいろある。
Kindleより安く読める手段あり。
で、読んだのがこれだ。
この『義母と娘のブルース』は、7月10日火曜日から放映が始まる綾瀬はるかちゃんのテレビドラマの原作である。
私の癖で、気に入ったドラマは、まず原作を読んでしまわないと気が済まない。
で、綾瀬はるかちゃんは、私的には見てるだけで気分がいい女優さんなので、このドラマは見るに決まっているので、前もって原作漫画を読んだ。
で、またびっくり!!
女性漫画も、ここまでの心の深みに達していたのか!!
すごいいいいいいいいいいい!
amazingggggggggggggggg!
営業妨害になるし、ネタバレになるから内容は書かないけどね。
もう〜〜すごいのね!!
こーいう展開か!!こう来たか!!
あかんわ。
小説が太刀打ちできんよ。
これだけ水準が高いなら、漫画とその他の出版物の差もないなあ。
生涯、漫画だけ読んでもいいんじゃないの〜〜
人間の脳が生み出せる物語、洞察は、すべて日本漫画の中にある。
日本語が読めないと、日本漫画の多様性と次元の幅に触れることができない。
きっと、世界の真に知的な人々は、日本漫画を読むだけのために日本語を学ぶのであろう。
大量の世に埋もれた日本漫画の傑作を知らずして死ねない!!
映画よりも文学よりも、漫画という表現は自由だ!
ついでに安くつく。
私が死ぬまでに絶対にするリストのなかに、新たな項目が加わった。
漫画喫茶に入り浸って、そこに置いてある漫画を全部読破する!
誰か、『水源』を漫画にしてちょんまげ。
何やってんねんw
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