[390] 『新聞記者』は非常に面白いけど幼稚な政治映画

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本日は2019年7月10日水曜日だ。

今日は、先日見た、今や大人気の『新聞記者』について書く。

この映画は私にとって第二の『君の名は』だ。

評判がいいから観にいったら、あれ……って感じ。

え?こんな幼稚な青い映画でいいの?って感じ。

ネタバレになるけど、映画内容はこーです。

かなり、はしょります。

(フジモリ流あらすじ始め)

事の発端は、東都新聞記者の吉岡エリカが、新聞社のファックスに送られた資料を見て驚いたことから。

新潟に設置される某医科大学に関する資料が送られてきたのだけど、設置認可の役所が「内閣府」。

この資料は、他の大手新聞社にも送られていた。

普通は、大学の設置許可は文部科学省の管轄だ。医科大学なら 100歩譲って厚生労働省かもしれない。

でも内閣府? なんで?

送られた資料の表紙には羊の絵があった。

??

この大学の設置者は総理大臣のお友だちだし、政府からの補助金も巨額で、新潟の大学の設置場所の用地買収にも問題がある。官邸の圧力があるようだ。

この大学設置の背後関係の胡散臭さについてメディアは報道しまくる。

設置の担当責任者の官僚による公金流用疑惑も書き立てられた。

この公金流用疑惑をかけられた50歳の神崎という官僚がビルから飛び降り自殺した。

この神崎という官僚は、外務省から内閣情報調査室に出向して、問題の医科大学設置の仕事を任されていた。

同じく外務省から内閣情報調査室に出向している杉原は、それを知り驚愕する。

杉原は北京大使館勤務時代に神崎には随分と世話になり、つい最近も食事を共にしたばかりだった。

内閣情報室で、医科大学設置に関与していたなどということは神崎から一言も聞いていなかった。

内閣情報調査室というのは、各省庁とも連携し、調査員には公安や各省庁から出向者も多い、いわば日本版CIAだ。いろいろな部署がある。

総理直轄の情報機関であり、主たるオフィスは官邸にあるが、仕事は多岐にわたるし、機密事項も多いので、杉原が神崎の仕事について知らなかったとしても不思議はない。

杉原の属する部署は世論誘導操作班だ。

メディアやSNSを利用して、反政権的言論はことごとく潰す。

政権を安定させるために、政権を脅かすような事件については火消しに勤める。

たとえば総理の仲良しのテレビ局のスター記者が強姦事件を起こしたときは、被害者の女性がハニートラップを仕掛けたと根拠ない噂をSNSで流す。

ズラリと並んだパソコンから、各省庁から出向しているエリート官僚たちが、そーいう嘘の投稿を大量に繰り出す。

杉原は抵抗を感じる。

自分たちの仕事は、国を守るためと言いながら、為政者を守っているだけなのではないのか?

杉原が、そのような仕事にウンザリしているときに、先輩神崎の自殺。彼が最後に携帯で連絡したのは自分だった。なぜ?

その杉原に、東都新聞記者の吉岡エリカが接近する。

彼女の父は有名なジャーナリストだったが、彼が暴露した政府のスキャンダルが誤報とされて、自殺した(ということになってる)。

吉岡は、父の遺志を汲み、自分は真実を国民に知らせる新聞記者でいたいと思う。

吉岡は、例の問題の医科大学の設置が取りやめになっていないことを知る。

新潟ではない別の地域に設置する計画が稼働しているらしい。

なぜ、こうも執拗に内閣府は、この医科大学設置に執着するのか?

彼女は新聞社に資料を送ってきたのは神崎ではないかとにらんでいる。

彼女は神崎の妻から神崎の書斎をチェックすることを許され、神崎こそがやはり例の医科大学設置資料を送ってきた人間だと知る。

さらに、その医科大学は、実は生物化学兵器研究所の隠れ蓑であることを突き止める。

吉岡から、それを聞いた神崎の後輩の杉原は、吉岡に協力することを決心する。

神崎の後任となった人物に会う約束があるような顔して、その人物のオフィスで、医科大学設置案が消えていない証拠を掴む。

吉岡と杉原の連携で、政府が医科大学設置するような顔して、生物化学兵器研究所をこっそりと設置するプランは、東都新聞によって報道された。

自殺した神崎の名誉も挽回された。

しかし……

(フジモリ流あらすじ終わり)

映画自体は、サスペンスとしては非常に面白い。

よくできている。退屈しない。

ハラハラドキドキもある。

でも、政治映画としては幼稚で、視野狭窄なんよ。

以下は、私の主たる感想だ。

これは政治映画というより、幼稚な勧善懲悪メロドラマだ。

構図があまりに単純過ぎる。

国民を無視して独断先行する道徳的に劣っている政府=悪 vs 民主主義を守るという正義を貫く新聞記者と心ある若き官僚=善。

この映画が、内閣府なりの為政者なりの大義について、その大義がいかに国民にとってムカつくものであったとしても、もっと深く掘り下げていたら、この映画は優れた政治映画になっていたと思う。

これじゃ、まるで韓国のテレビドラマだ。

面白いけど青過ぎる。

杉原の上司で、国のためだとどんな卑劣なことも部下にさせる人物が非常に感じ悪く冷酷な人物として描かれているが、この上司の描き方など、掘り下げ方が浅過ぎる。

ただの出世主義の保身だけの人物が、「日本の民主主義は形だけでいい」なんて深くて不快なことを言うことができるか?

こう言われた杉原は、上司と大議論しないと。

日本人に民主主義は早過ぎるのか?

それとも、民主主義そのものが虚妄なのか?

国民は、ローマ帝国の臣民がそうであったように、パンとサーカスで操作されるしかない愚民なのか?

政治とは、そもそもが必要悪でしかないのか?

国を守ることは綺麗事ではないだろう。

ダーティワークに決まっている。

国民の知らないところで、核も生物兵器も、国体を守るために用意しておくべきなのだろう。

この「国体」に一般国民は入ってないけどね。

一般国民は収奪の対象でしかないけどね。

しかし、統治体は必要なのだ。どんな悪でも。悪だからこそ。

なんて、議論をしろよ、杉原と上司!

前述のように内閣情報局調査室ってのは日本のCIAであり、はっきり言ってスパイ集団でもある。

彼らには彼らの大義がある。

新聞記者には新聞記者の大義がある。

そのあたりの二つの大義の対立がきちんと描かれていないので、どうにも青っぽい幼稚な政治映画に見えてしまうのだ、この映画が。

大義と信じていても、人間だから、その大義に疑念も持つこともあるだろう。

揺れることもあるだろう。

そのあたりの人間の複雑さも描かれていない。

だいたいね〜〜

神崎さん、自殺するのはリアリティがないの。

あそこまでやったのなら生きて真実を晒せるはず。

杉原だって、機密書類の盗撮までしておいて、外務省に帰ってとんでもない後進国の外地に飛ばされるからねと言われたぐらいで、ビビって動揺するか。

というより、キャリアの試験に合格するようなエリート官僚で、特に内閣情報調査室に出向させられる人間は、徹底的に身元調査される。思想状況を調べられる。

そもそもが、官公庁に採用されるときに、徹底的に調べられるけど……

親が共産党員だったりしたら、どんな秀才でもアウトだろう。

配偶者の親の身辺も調査される。

当然だ。国防の機密を担うのだから。

だから、神崎とか杉原みたいな人間は、もともとが内閣情報調査室には配属されんの。

内閣情報調査室が、いかに危険な組織であるか、私は全く知らないわけじゃない。

私は、内閣情報調査室については、以下のような本も読んでいる。

ああいう部署に行く官僚は確信犯なんよ。

いかに道徳的に悪でも卑劣でも、国を統治体を維持することは、善悪の彼岸にあると思ってるよ。

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あの映画の単純さは、人物造形の浅さにも出ている。

また、以下の2冊も読んでる。

だから、今の安倍政権が民主制尊重とは程遠い野党や国民への蔑視冷笑姿勢に貫かれている人々で構成されている(かもしれない)ことも知っている。

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それでも、私は、今の政権がスペシャルに駄目とは思えない。

今までの政権だって良かったわけじゃない。

ずっと、ろくでもなかったと思う。

密約と機密と嘘と欺瞞と情報統制ばかりだったと思う。

国民はずっと騙されてきたと思う。

それでも、日本は、世界基準で考えれば、まだマシな国家だ。

もちろん理想とは程遠い。

それでも、やはり、今までのところ、結果としては、今までの為政者は、まだマシであったのではないか?

lesser evil だったのではないか?

日本は、アメリカの属国として、屈辱にまみれつつ、かろうじて国家の体をなしてきたのではないか?

今の政権にせよ、日本の為政者たちが、どのような視座で政治を運営しているのか、この映画『新聞記者』からは全く見えない。

たとえば、大学という隠れ蓑の生物兵器研究所が、アメリカの軍産複合体の一部である超巨大製薬会社の日本支店であり、アメリカから為政者が脅迫されて……とかいう設定はありえなかったのか?

そういう状況での、日本のような国の運営の困難さを担当する為政者の苦渋のすえの無責任さや思考停止などが描かれていたら、この映画に厚みが出てきたろう。

そこに、中国のハニートラップにより脅迫されて、家族への危害も匂わされ、売国奴にならざるをえなくなった国会議員とか外交官がいて、政権を揺るがすスキャンダルを捏造し……

それに踊らされた新聞記者は、心ならずも善意があって正義感があるのに、反日勢力の走狗になっちゃった……

なんて展開があってこその、現代の政治映画なんじゃないの?

もっと大きな視座が欲しい。

もっと深い考察が欲しい。

事件は国内だけで起きているんじゃないんだよ。

日本の運命は、日本人が決めるわけじゃないことも多いのだ。

『新聞記者』に感心して感動した方々には、申し訳ない、こんなこと言っちゃって。

こんな大昔の大学生が喜ぶ程度のような単純な勧善懲悪政治映画なんか、21世紀に作ってどうするの?

頭が悪過ぎないか?

1970年代かよ。

こんな映画を喜ぶのは、団塊の世代くらいか、単純なリベラルくらいだろ。

まあ、そりゃ、日本人の政治感覚は幼稚だから、この程度の幼稚な政治映画でいいのかもしれない。

しょせんは、政治劇風サスペンス映画に本気になる方が青いって?

いやいや、この映画は非常に面白いからね。

だからこそ、危険なんよ。

だからこそ、思うのよね。

この映画は、日本人の幼稚な政治感覚につけ込んだ本質的に反日映画だって。

この映画の製作の背後には日本人知能劣化&政治意識幼稚化をさらに促進したい反日勢力があるんじゃないかって。

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