本日は2019年9月21日土曜日だ。
9月18日の水曜日に夫の腎臓ガン手術が無事に終わった。
めでたい!
で、すでに明日の22日には退院なんである!
去年は、なんと34日間も入院していたのに、今回は6日間!
去年の10月14日に腸閉塞で緊急入院した時の検査で、大腸の腫瘍以外にも、腎臓の腫瘍は見つかっていた。
最初の予定では、大腸の腫瘍切除してから、すぐにでも腎臓の腫瘍を切除することになっていた。
ところが、大腸の腫瘍はリンパ節まで浸潤し、予想より進行が進んでいた。
ということは、ガン細胞はすでに血管の中に入り全身を回っているということだ。
まずいっすよ、それ。
だから、再発転移を抑止するために抗がん剤治療を急ぐ必要があった。
じゃあ、腎臓の腫瘍はどうする?
三重大学病院なら、東海地区にひとつだけの、腫瘍を凍結する放射線機械がある。
でもまあ、腎臓の腫瘍は、まだ小さいからしばらく放置でも大丈夫っしょ。
まずは半年間の抗がん剤治療やりましょ。
ということで、12月から始まった抗がん剤治療は、8クールきちんと済ませて5月に終了。
で、夫の仕事に差し支えない時期ということで、9月18日の腎臓ガン手術の日程が決まった。
7月に入院前の諸検査。
9月17日に入院。翌日手術。
「ダビンチ」っていう手術支援ロボットによる手術だ。
この手術支援ロボットは、元々は、1980年代末にアメリカ陸軍の依頼により、政府の機関によって開発が始まった。
アメリカ本土またはアメリカ空母に滞在中の医師によって、遠隔操作で戦場の負傷者に対して必要な手術を行うために。
すごいなあ。
その頃からすでにそんなことを考えていた!
のちに、そのプロジェクトを民間の医療器具開発製造会社が請け負って、2000年に実用化された。
アームの先端は、必要に応じて、選んだ鉗子を装着できるようになっている。
アームは、関節があって、比較的自由に動くことができる。
もちろん、この手術支援ロボットは、天才のレオナルド・ダ・ヴィンチにちなんでつけられた。
日本で開発されていたら、「ドクターガンダム」って名づけられたかもね。
私なら、そう命名する。
2016年までに米国2,501台、欧州644台、アジア476台、全世界で3,803台が導入された。
一台3億5000万円。一年間維持費3000万円。一度使用すると40万円消耗する。
高いですね〜〜
日本で一番最初にダビンチを導入したのは慶應大学病院で、2000年から。アメリカで実用化されて、すぐに買ったんですね〜〜慶應病院。
東大病院より早く買ったんですね〜〜さすが。
メスでお腹切る手術に比較すれば、患者への身体の負担が軽くて、術後の経過もいい。
ダビンチのアームは、4箇所ほど腹部の横に穴を開けて、腹腔鏡とともに体内に入る。
そのアームが皮下脂肪を突き抜け、腫瘍のある内蔵に入り、腫瘍を切除して、腫瘍を掴んで、体外に出る。
その前に腹部に二酸化炭素を入れ込んで、皮下脂肪と内臓の間に空間を作りダビンチのアームが動く余地を作る。
日本では2018年までは、この手術は保険適用外の先進医療だった。一部のガンだけに適用されていた。
160万円以上かかる手術だった。
それが、2018年4月から保険適用手術となり、40万円から60万円で受けることができるようになった。
ラッキー!
ダヴィンチによる手術代金が2018年4月から保険適用になったのは、アメリカから「もっともっともっと購入せい、一台3億5千万円なら、戦闘機より安いやろ」と言われたからだろうなあ。
夫がお世話になっている泌尿器外科の執刀医のドクターは、ダビンチ手術は70件の経験がおありになる。
手術件数は300件。お若いのにベテラン。
外部でダビンチ手術の講師もしておられる。
しかし、夫の事例は、そう簡単には済まないかもしれないと事前説明を受けた。
夫の腎臓の状況によっては、ダビンチを中止して、メスでの開腹になるかもしれない。
なにしろ、腫瘍のある夫の左の腎臓は、去年に40センチ切った大腸の裏側にある。
ひょっとしたら、大腸で切った部分が裏の腎臓に癒着しているかもしれない。
すると、ダビンチのアームが癒着部分を傷つけてしまうかもしれないので、人の手によるメスに頼るしかない。
まあ、人間の手によるメスでも傷つける可能性はあるけれども。
腎臓の腫瘍は、腎臓の上部に直径3.3センチの大きさだが、浸潤して、ひょっとしたら肺にかかっているかもしれない。
そうなると、ダビンチのアームが肺を傷つけるかもしれない。
まあ、ステージ1のガンの手術だから、気楽に……というわけではなかった。
手術は朝の8時45分開始。
またも、屠殺場に連れられていく子牛のごとく、手術室に向かう夫。
最近は、ほんとに男性の看護師さんが増えた。
これ自体はいいことである。
ある職種に男性が増えると、その職種の社会的地位は高まり、待遇は良くなる。
ある職種に女性が増えると、その職種の社会的地位は下がり、待遇は良くならない。
ムカつくが、そーいうもんなんよ!
手術は午後2時ごろに終わった。つまり手術時間は5時間。
夫の弟と私は手術室のとなりの事務室の面会スペースに呼ばれる。
執刀医のドクターが、非常に嬉しそうにウキウキとした表情で入ってくる。
「何の問題もなく、綺麗に切除できました!藤森さんの場合、皮下脂肪が厚くて、ちょっと難儀でしたけど〜〜」と言いながら、切除した腫瘍をプレートにピンで留めたものを、晴れ晴れと明るく私に見せるドクター。
真ん中で切開して、ハート型になった腫瘍を自慢げに見せるドクター。
このドクターは、なんとなく漫画家の手塚治虫氏を思い出させる。
手塚氏に髪の毛がいっぱいあると想像してください。
明るいマッド・サイエンティストって感じ。
え〜〜モノクロームに修正した写真を、悪趣味にもお見せいたしましょう。
これです!
なんとなく美味しそうである。
真ん中の濃い部分は、こし餡でしょうか。
カラー写真だと、イチゴジャムが詰まっているように見えます。
人肉食いカンニバリズムは、あり得るな。
マジマジと、それを見つめて、スマホで撮影する私。
呆れて、腫瘍と私を眺める夫の弟。
こんなん、腎臓の中にできてたんどすえ〜〜
こんなもん腎臓の中に飼ってたんどすえ〜〜
ぐったりとして手術室から病室に帰ってきた夫。
病室から見えるのは、初秋の青い空と白い雲。
今度も手術は成功。良かったね!
手術後の報告や説明は、ドクターによって千差万別である。
去年の大腸ガン手術の執刀医の「闇金ウシジマ君」の容貌を上品知的にしたような消化器外科医さんは、デジタルデータをパソコンで見せて、切除した40センチの腸の「本物」を私に見せなかった。
パソコンに映し出された切り取られた腸は、炎症のためか、まるで焼かれて縮んだホルモン焼きのように見えた。
「ホルモン焼きみたいですね」と言った私に、「ホルモン焼きは牛の腸ですからあ」とドクターはお答えになったものだった。
しかし、そのウシジマ君消化器外科ドクターは、今朝に、わざわざ、泌尿器外科病棟の夫の病室にいらしたそうである。
夫の手術跡を丹念に観察しながら、「やはり、ここに穴を開けたんですねえ〜〜こっちだと大腸にぶつかりますもんねえ〜〜やっぱ、ここかあ〜〜」とおっしゃりながら。
研究熱心なドクターである。
ほんとうに、名古屋第二日本赤十字病院のドクターは、みなさん素晴らしい。
2018年大腸ガン手術。
2019年腎臓ガン手術。
もう、これで当分しばらくは、手術を受ける事態にはなってもらいたくない。
ガンは一度なれば、いつ再発転移してもおかしくはないので、定期検査は欠かせない。
これからの日常生活を、ガン再発転移予防に益するものにできるだろうか?
うーん、まあ楽しく生きるだけよ。
今回も、ドクターやナースの方々にはお世話になった。
SNSでは、多くの方々から励ましのお言葉をいただいた。
夫の実家の人々や、私の妹夫妻にも心配をかけた。
みなさま、ありがとうございました。
また、いろいろ勉強になった。
みなさま、ガンと聞くと、こわあああああいいいい〜〜とお感じになるでしょう。
しかし、いまどきのガン治療戦線は非常にあっけらかんだ。
告知も最初からあっけらかん。
大腸ガンですね〜〜
まず間違いなく腎臓ガンです〜〜
手術法もいろいろ。
抗がん剤もいろいろ。
日本人の寿命が上がっているのは、ガンでは簡単に死ななくなったから。
みなさん、ガンと診断されても、落ち込むことないです。
仕事辞めて闘病する必要もないです。
あっけらかんと生きていいです。
粛々と淡々と標準療法を受けましょう。
いずれは死にます。
しかし、それまでは、生きています。
生きてるだけで丸儲けです。
去年の10月14日以降の日々の濃厚さよ。
時限爆弾を抱えて生きているような人生の密度の濃さよ。
藤森様
手術のご成功本当に良かったです。
ホッとしました。
すみません!
落ち着きましたらまたご連絡させて頂きます。
本当に手術のご成功おめでとうございました。
術後もくれぐれもお大事になさってください。
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創る塾さま
コメントありがとうございます。おかげさまで、ひとまず安堵しております。
創る塾さんもお大事に。いろんなことが起きますねえ!
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手術無事に終わって良かったですね。
私の父は胃がんで手術可能でしたが、母が高齢で耐えられないだろうと手術に反対したので、結局はホスピスで最期を迎えました。最後は肝臓にも転移していたようです。ちなみに、父の胃がんによる入院を受けて、その知人が胃がん検診をする気になり検診したら胃がん初期であることがわかり、即座に胃がん手術を受けることになりました。そこまで聞いたら、「その人は運が良かったね」と考えるかもしれませんが、その方は胃がん手術の後遺症で体がみるみる弱り、その後数か月後に亡くなりました。胃がん手術を受けなければ、その10倍は長く生きれたはずです。今ふりかえると父に胃がん手術を受けさせて、たとえ車椅子になっても長生きしてほしかったです。けれども、母が父の性格をよく知り、苦痛に耐えてまで長生きしたくないだろうと察して手術を拒否した母の気持ちもよくわかります。
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縁起でもないこと書きましたが、御主人は名医が手術したから大丈夫と思います。前述の下手な胃がん手術をほどこしたのは地方のさびれた公立病院の医者です。手術後にほかの病院でしらべたところ、手術前に医者は胃の3分の1しか切らないと言ってたのに、実際は5分の4くらい切り取られていたとのこと。やはり外科手術は医者を選ばないとダメですね。
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橘悟朗さま
コメントありがとうございます。
おかげさまで、手術そのものは成功しましたが、影響はこれからですね。油断はできません。やれるだけのことをするのみです。
確かに病院は選ぶべきです。大都市の病院だからいい医師がいるわけではありませんが、やはり、病院や医師にしても、看護師にしても、格差はあります。同じ病院の中でもあります。
これから、地方の病院はもっと人的資源にも恵まれないことになると思います。若い勉強熱心な医師が田舎に引っ込んでいるわけはないので。
現実は、そういうものです。
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藤森 様
心配していましたが、夫様の手術が上手く行って、本当に良かったです。 後は、博学な貴女のこと。様々な予防療法の引き出しをお持ちだとおもいます。お二人で、気張らずに、末ながく、お過ごし下さいませ❗
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りょうたん様
コメントありがとうございます。ひとまず安堵です。
毎日を大事に暮らしていきます。時限爆弾抱えて生きる方が一瞬一瞬を楽しめますね。
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