#653 12/20/2023 今だからこそ読んで欲しい太田愛著『天上の葦』上下巻

kayokofujimori のアバター投稿者:

本日は、2023年12月20日水曜日の夜明け前です。

またもや本Blogの更新をサボっておりました。

変ですよねえ、賃金労働から解放された年金生活者なんだから、時間は余っているはずなのに、忙しいのよねえ。

最低限の家事以外は、好きなことばかりしていて忙しいのです。

まあ私は食うのが好きなんで、簡単な料理は娯楽のうちですが。

食べることができる幸福よ!

例の「平井幸祐メソッド」本は原稿はできていても、まだ引き受けてくれる出版社が見つかりません。

まあ、ほんとに今は本は売れないです。

私も、5冊ほど商業出版社に出してもらったとはいえ、本が売れてるという実績もあるわけではなく、無名だしねえ。

そもそもが、コネもなんもない無名の私が5冊出せたこと自体が奇跡だった。

とはいえ、私の人生って平凡で地味ながらも、奇跡だらけだったんですよ。

派手な運の良さもあれば、地味な運の良さもある。

私は、確かに平凡で地味ですが、運がいいと思います。

でなければ、こんな馬鹿で、無事に生きて来れたはずがない。

だから今回も奇跡を信じて紙媒体で出版してもらうために、もうちょっと粘ります。

にっちもさっちもいかなくなったら、とりあえず、AmazonのKindleで出版するかなあとも考えます。そういうことを請け負ってくれる業者もいますから。

ところで!

本日は、取り急ぎ、みなさまに、年末年始のお休みにこのミステリーを読んでいただきたいのです!

ということで、太田愛(1964-)さんの2017年発表の『天上の葦』上下巻について書きます。

この方は、お若い頃から脚本家として活躍なさってきました。特撮もののシナリオとか。円谷プロなんかの作品ね。

あの長寿番組刑事ドラマの『相棒』の脚本家のおひとりでもあり、非常にいいシナリオを書く方らしいです。

で、小説も書いてらっしゃる。

女性ですよ。最近はお名前だけでは性別わかりませんね。

私は、全く知らなかったのです。『相棒』も見たことないしさ。

ところが、次のガルちゃんねるのYouTubeで、今まで読んで最高だった小説を挙げてけ、という動画を見ました。

そしたら、ある人が、太田愛氏の『天上の葦』について、「すべての日本人が読むべき小説」って言っていました。

その言葉がただごとではないなあ!と思い、さっそく私はAmazonでKindleでポチりました。

狭いマンションが古書店状態になってるのはストレスがかかるので、まずは積読してあるものを読了せい、試しに1ヶ月ぐらいAmazonや楽天で書籍を注文するのをやめてと、夫は言います。

だから、書籍が届くと怒られるので、こっそり電子ブック注文です。

長いです。文庫本上下で959ページです。

しかし、これぐらいの長さは、アイン・ランドの『水源』や『肩をすくめるアトラス』に比較すれば、どうということないです。

ドストエフスキーの『罪と罰』や『カラマゾフの兄弟』に比較しても、はるかに短いです。

よくできた小説というのは、情報の集積でありますので。長くないとつまらん。

フィクションとはいえ、多くの人間の人生を事件を軸にして描くのですから、短くては描ききれません。

小説は長編でなければいけません。これは私の独断と偏見です。

で、夜を徹して読みました。

構成が非常に巧みです。

渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、95歳だか96歳の男性が心臓麻痺で倒れて亡くなります。

その男性は、倒れる前に、上空を、渋谷の青空を指差しました。それから倒れたのです。

その姿は日本中に放送されます。

なんか、正午には渋谷のスクランブル交差点が映し出されるニューズ番組があるそうですね?

その男性は、戦後は東京都内で産科医院の院長を長く勤め、人望厚い医師でした。

数年前に診療室で倒れてから、栃木県の高齢者施設に入居していました。生涯独身で、自分の時間は医療のために、全て妊婦と生まれてくる子どもたちのために使っていました。

その人物が、なぜ急に東京に来て、しかも衆人環視の渋谷スクランブル交差点の真ん中で、青空を指さして、倒れたのか?

元国会議員のある人物は、主人公たちが運営する倒産しかけの興信所に、なぜその医師は青空を指さして亡くなったのかを調べてくれと依頼します。

1000万円を前払いして。

で、借金だらけの倒産寸前の興信所は1000万円で借金を精算して、否が応でも、謎を突き止めなければならなくなりました。

一方、興信所を運営する2人には刑事の友人がいます。この刑事は、職務上の失敗により、停職中で腐っていましたが、公安のたたき上げの課長代理から、同じ公安の失踪中の警官を見つけ出すように秘密裏に依頼されます。

ここから、数々の事件が引き起こされます。

興信所の2人による医師のダイイングメッセージ探究と、休職中刑事の失踪中の公安警官捜査追跡が絡み合ってきます。

そこに週刊誌に特ダネ記事を売り込むフリーランスの記者も絡みます。

失踪中の公安警官を尾行する同じ公安警官の蛇のような執念深さと残忍さが、また事をややこしくします。

舞台は東京から瀬戸内海の小島に移ります。そして、また東京へ。

これ以上は、ネタバレになるので書きません。

もおおおおおおおおお、すっごく面白いです。

ものすごおおおおおおっく、丁寧に緻密に編み込まれた物語です。

その展開も非常に自然です。

警察組織のありよう、公安の警官たちの暗躍というか活動。彼らの思想。

公安に命令を下す有力政治家に、その政治家に忖度する警察にメディア。

その現代の物語に、戦時中の大本営情報部に勤務していた海軍主計官と新聞記者の物語が交差します。

要するに、このミステリーは、単なるミステリーを超えて、戦前戦時中の軍部と結託したメディアのありようと、現代のメディアのありようを並列させることによって、日本人に警鐘を鳴らしているのです。

もう2度と自由を失うな。2度と騙されるな。メディアと権力の結託を2度と許してはいけない。

こういうこと書くと、陰謀論がどうのと言っている人は、もうどうでもいいの。向こうへ行って。

馬鹿は永遠に騙されてろって。

陰謀というほどにも、隠されていない。明謀ばかりの今。

正々堂々と、いけしゃあしゃあと、変なことが起きている。

反論はわずかにネットの世界にはあるけれど、そのネット世界もSNSやYouTubeも監視と検閲がすごい。

私も、最近はSNSでは、どうでもいいことしか投稿しない。

超偽善的なホワイト社会においては、人の心を傷つけるということで、「死ぬ」という言葉でさえ否定される。

今や「自殺」って、言葉もタブー。

で、ネット民は、かわりに「タヒ」ぬとか言い替える。「自◯」とか言い替える。

言論の自由って、すでにないよ。

それに加担しているのは、決して政府だけじゃなくて、視野の狭い正義感に満ち満ちた一般の市民だ。

戦時中に隣人に干渉して、憲兵に密告した人々の精神的子孫たちがウジャウジャいます。

自由を手放したい人々が、おびただしくいます。

他人の行使する自由に嫉妬する人々がいます。

奴隷が奴隷自慢しています。

無力非力でも、真実や事実が抑圧される状況に加担しないことはできるはず。

じっと世の中を見つめ観察し、できることを黙ってすることはできるはず。

要らぬことは口に出さないこと。

打算から媚びないこと。

大勢に流されないこと。

ひとりぼっちに思えても、だから何?

太田愛氏の『天上の葦』は、楽しませてくれると同時に、教えてくれます。

軍部は、政府は、1945年3月に東京に大空襲があることを知っていたけど、都民が東京を離れることを許さなかった。女子どもや老人を疎開させることに全く熱心ではなかった。

信州松代に大本営と天皇避難所を地下に建設する作業が終わるまで、沖縄戦を継続させた連中だ。

なんだよ、国体って。

国民が玉砕して国が成立するのか。

そりゃ、疎開とか避難とか、人心が乱れるし大変だ。

でも、英国のロンドンは、ドイツのロンドン大空襲前に子どもと母親と65歳以上の老人の地方移転は済ませていた。

東京大空襲で一番死亡者が多かったのは、乳幼児だ。学齢期前の子どもだ。

知っていましたか?私は知らなかった。

主流メディアの言うことを鵜呑みにせずに、どうすればいいかを自分で判断することはしんどいことだ。面倒くさいことだ。

新聞もテレビも平気で嘘をつく。

自分を守るのは自分だ。

そのために、今できることは何?

黙って、すべきことをすること。

虚業みたいな、金は入るがクソどうでもいい仕事bullshit jobじゃなく、生き延びることができる仕事を考えるって、大変だ。

それを実行するのも大変だ。

でもさ、これからの10年間って、本気でメディアも政府も、もっと国民を騙しに来る。事実も真実も伝えない。

覚悟して備えましょう。

そのための精神的助けとなるのが、太田愛氏の『天上の葦』です。

難しそう?

大丈夫!

読み始めたら終わらない娯楽作品でもあるから。

アイン・ランドや山崎豊子さん以外にも、今の日本にこんな骨太な社会政治小説を書ける女性がいたとは!

私は、嬉しくて、嬉しくて、この方の他の作品を4作ほどAmazonでKindleで購入しました。

嬉しい嬉しい!

日本のミステリーって面白いけど、貧困とか虐待とか犯罪とか社会問題を扱っていても、どうしても世界がちょっと小さい。

よくできているけれど、こんなこと問題になるかなあ?ってものも多い。

誰と誰と誰と誰の作品とは言わないけどさ。

そういうミステリー作家多いよ。志が低い。

追加情報。

Leminoに登録して、韓国の連続ドラマ『復讐代行人 模範タクシー』season 1 とseason 2の計64回を見ない方がいいですよ。

これも社会派です。強烈に面白いです。

Amazon primeで、season 1 の第三話までなら無料で視聴できます。

でも、そうすると、全部見たくなるから、見ない方がいいです。

脚本が上手くできてるわあ。

主人公の模範タクシーのドライバーを演じるのは、若き日の高倉健さんと小林旭さんと中村敦夫さんをシャッフルしたみたいな美男子です。

イ・ジェフンさんというお名前です。めちゃくちゃ美男子です。鼻の整形はしてますね、うん。

いやあ、眼福眼福。

でも、この人、歯の食いしばりがきつそう。奥歯がボロボロになりそう。

内容は、必殺仕事人の現代版です。法では裁けない悪を依頼人の求めに応じて裁きます。痛快です。

現代韓国の社会問題(日本もよく似てる)がてんこ盛りです。

いじめに、性犯罪に、通り魔殺人に、オレオレ詐欺に、職場のパワハラに、臓器販売に、違法動画を流して課金させて巨額の利益を得ているIT会社に、代理出産斡旋詐欺に、住宅販売詐欺に、高齢者ターゲット物販詐欺に、新興宗教カルトの洗脳に、ついには警察内部の……

見始めたら最後です。終わるまで見たくなります。

だから、皆さん見ないほうがいいです。見てはダメです。

よおおおおく見たら、この人は映画『金子文子と朴烈』で朴烈を演じた人じゃないか!別人に見える!美男子だけど演技派。

ところで、キッシンジャーって、邪煮頭喜多川と、小児性愛少年愛つーか、性的趣味がいっしょだったのねええええ!!

変態キッシンジャー部隊!

その現場をKGBに盗撮されて、脅されて、ワシントンD.C.でも一等地にソ連の大使館が建つようにしたんだって。

その丘の上からは、アメリカの首都にある政府機関の建物が一望できて、スパイ活動にもってこいだったって。

キッシンジャーって、アメリカの経済をだいなしにした戦犯ですが、そもそもが売国奴だったんよね。

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