本日は2024年5月5日日曜日です。
黄金連休も終わりに近づいてきました。
4月10日あたりからおかしくなった体調もやっと良くなってきました。
4月27日の朝に、パルスオキシメーターで測定したら91の数値が出たので、私は、心配性の夫に無理やり近所の内科クリニックに連行されました。
数値が90以下だと酸素吸入が必要なレベルだそうです。
ええええ?私は、ちゃんと呼吸してるよ。
クリニックでは、レントゲンを撮られたり、血圧を測られたりしました。
でも肺炎でもなかった。クリニックのパルスオキシメーターでは数値は96だったから大丈夫。
血圧は最高160ぐらいだけど、この程度はどうってことないでしょーが。血圧測定なんか毎朝するか。
ただ、心臓が普通より大きいので、心不全の突然死の可能性があるとかで、5月15日にエコー検査するそうです。
私は40歳くらいに職場の健康診断で「虚血性心筋障害かもしれない」と言われたけど、今日まで無事に生きてる。
生きてるのに忙しくて、そんなこと気にしていられなかった。
無職になった今も、忙しいんだよ!やりたいことばかりなんだよ!
病院なんかに行ってられるか。
ところで!
体調がおかしい時に、Netflixで紀里谷和明監督が、最後の作品で、もう映画は撮らないと宣言した『世界の終わりから』を観て、私はぶっ飛びました。
2023年の映画です。
すっごくいい映画じゃないですか!
でも、日本アカデミー賞とか取ったってことは聞いたことない。
まあ、日本アカデミー賞って、私からすると、どうでもいい退屈極まりない映画にしか賞を出さない傾向があるので、それはいいんよ。


若い頃の世界への嫌悪感や人間存在への嫌悪感が非常によく表現されています。
若い頃に「こんな世界は滅べばいいのだ」と思わなかった人は少ないのではないか。
両親を早くに亡くし、末期の癌の祖母の激痛を抑えるモルヒネ入手のために身体まで売った高校生のヒロインは、総理大臣直轄の秘密機関から拉致され、「夢で見たことを話して欲しい」と要請されます。
彼女が見る夢が、世界を危機から救うからです。彼女は人間の歴史を通じて生きる「輪廻士」の血筋でした。
総理大臣直轄の秘密機関と彼女の協力によって、多くの危機から日本は救われます。
しかし、総理の席を狙う官房長官は国防の秘密を公開してしまい、SNSの愚民たちに彼女と秘密機関は晒されてしまいます。
そのために世界の終わりを招く災厄を日本は、世界は、防ぐことができなくなります。
愚民たちは、徒党を組んで、彼女や秘密機関の人々を殺害しようとします。そして、実際に殺害してしまうのです。少女以外は。
少女は、「世界の終わりから」ある手紙を書いて、未来に託します。
まあ、この程度の人類なら滅んでいいでしょ、自業自得でしょと思わせる映画です。
しかし、希望も残されました。
ヒロインの女子高校生を演じる伊藤蒼(あおい)さんは、去年の大河ドラマ「どうする家康」で、お市の方の密書を持って何十キロもの山道を走り抜けて、浅井長政の裏切りを家康や信長に知らせて命尽きる少女「阿月」を演じていた女優さんです。
あのドラマはちょっと?でしたが、家康があまり出てこない時は、印象深いいい回がいろいろありました。阿月さんが走っている回は良かったですよ。
あの回の伊藤蒼さんの演技は新鮮な感動をもたらしました。
で、私は、この際、紀里谷和明監督の作品を全部見ちゃえと思いました。
『世界の終わりから』の次に見たのは、処女作の『CASSHERN』です。
2007年の作品です。
「人造人間キャシャーン」ですね。アニメの実写版。

prime videoで300円払って視聴しました。
これも面白かったです。俳優については、??でしたが。
2007年当時は私は勤め先で15の委員会のメンバーで、ものすごく多忙でした。映画を見ている時間があったような、なかったような。
白内障になり、視力が弱かった時でもあります。
この頃は、仕事以外では、CDばかり聴いていました。本も活字がぼやけて読めなかったのです。
最初に監督した作品のテーマは、監督が最後の作品と言う「世界の終わりから」と同じテーマです。
映画監督にしろ作家にしろ、同じひとつのテーマを描き続けるのかもしれません。
「殺しあうだけ、憎みあうだけの、こんな世界は、こんな人類は、消えていい。でも、ほんとは私は、この世界を愛したい」ともがく苦しみがテーマです。
はい。厨二病炸裂作品です。
『1984』と『天空の城ラピュタ』と『メトロポリス』と『フランケンシュタイン』と『ブレードランナー』と『ナウシカ』とかのSF系アニメや映画の詰め合わせっぽいです。
しかし、ハマる人はハマる。私は好きです。
この映画を見てハリウッドは仰天したんです。
で、4大ハリウッド映画会社全部が、紀里谷和明監督にオッファーしたんです。
ところが、そこにリーマンショック。
映画を作るカネが消えた……
ハリウッドからのオッファーは立ち消えになってしまいました。
次に私が視聴したのは、2015年発表のハリウッド映画のLast Knightsです。
日本人監督が製作者も兼ねて作ったハリウッド作品です。
快挙ですよ。

Last Knightsです。複数です。
「最後の騎士たち」です。ヨーロッパ版サムライです。
『トランスフォーマー』のLast Knightと間違えてはいけません。
これも、いかにも紀里谷監督らしい厨二病炸裂作品です。私は好きです。
どこにもない中世ヨーロッパの、どこにもないある帝国が舞台です。
だからアジア系もアフリカ系も登場します。多人種主義的映画です。
ハリウッド映画ですから、みな英語を話します。
日本人俳優では、伊原剛志さんが出演していますが、英語音がちょっと明瞭じゃなかった。
日本人が監督すると、ヨーロッパ封建時代が舞台でも、俳優がアメリカ人でも、どこか日本の時代劇に見えます。台詞も動きも。不思議ですね。
その帝国の一属領の領主をモーガン・フリーマンが演じます。
気高く不正と腐敗を自分にも決して許さない高潔なるモーガンさん領主は、皇帝に媚びを売りまくる大臣に陥れられて、非業の死を迎えます。
領主を失い散り散りになった騎士たちは、領主の仇を討つべく、難攻不落な大臣の城を調査します。
職人に身をやつして、内部に入り込み、城の構造を調べます。
そして、バラバラだった騎士たちは集結して、大臣の堅牢な城の内部に侵入します。
しかし、大臣の部屋にたどり着くまでに多くの同志が倒されます。
はい。これ「忠臣蔵」を封建時代のヨーロッパに移した劇です。
ほんとうの忠臣蔵はどうであったかよくわかりませんが、ともあれ、Last Knightsは正義を貫いた騎士たちの物語なのです。
海外の映画評では7点とか4点とか低い評価です。
https://www.imdb.com/title/tt2493486/reviews
今時の欧米人にはわからないだろうなあ、この最後の騎士たちの心は。
勧善懲悪の単純なアクション映画しかわからない頭では無理。
脳が打算で汚染されまくったお前らが失った心を描いているんだ、この映画は。
一番悪くてダメなのは皇帝なんですがね……
しかし、皇帝相手では奇襲すらかないませんね……
この作品は、ハリウッド俳優たちに出演してもらう予定でしたが、同じ時期に、47 Roninという、これまた「忠臣蔵」をネタにした映画の撮影が始まってしまい、紀里谷監督のLast Knightsは、ハリウッドからの協力をあまり得られなくなってしまいます。
おかげで、製作費不足もあり、この映画の完成には5年もかかってしまいました。
この作品の宣伝のために、紀里谷和明監督は、出たくもない日本のバラエティ番組にも、いっぱい出演しました。
嫌ではあっても、映画の興行的成功のために、TVに自分を露出しました。
しかし、アメリカでも日本でも、この映画はヒットしませんでした。
アメリカ国内で上映してくれる映画館も少なかったようでした。
同じ「忠臣蔵」ネタの47 Roninの方が、まだヒットしました。
47 Roninは、これ酷い作品です。
よく、こんなデタラメ映画に、真田広之さんや、キアヌ・リーヴズさんは出演する気になったものです。

酷い作品ではありますが、しかしその酷さを楽しむという鑑賞方法もあります。
日本に関する無知が炸裂したハリウッド版「忠臣蔵」です。
唯一おもろいのが、菊地凛子さんが美女や狐や龍に変身できる妖怪役を演じていたことです。さすがでした。英語もクリアです。
出島で生まれ、天狗に育てられた有能果敢な混血児を演じるキアヌさんは、えらい品のないお姫様(浅野内匠頭の娘だってさ)と恋仲になります。
あのお姫様の品のなさは何とかならんか。この日本人女優の英語は吹き替えだったな。
ま、47 Roninより、はるかに志の高いLast Knightsでしたが、この映画の不成功と後始末に、紀里谷監督はとことん消耗します。
自宅を抵当に入れてまで製作しても、成果が返ってこないことは、人生にはあるのです。
この映画の失敗以降は、人里離れたアメリカの森の中の家で、隠遁生活をします。そうして、疲れた心を癒します。
悔いはなかったのです。やれるだけのことは全部したので。
さて、紀里谷監督の作品は、もう一作あります。『GOEMON』です。2009年の作品です。
監督自身が明智光秀を演じています。
監督自身が長身184センチの男前で、そこらへんの俳優よりカッコいいです。
まあ、そういう理由もあって、日本映画界では受け入れられないのかもしれないなあ。
英語もできるし、宇多田ヒカルさんと結婚していたし。
日本の男性からすると、シャクに触る要素がいっぱいです。嫉妬されちゃいます。
それに、おそらく紀里谷さんは在日コリアン帰化日本人とのハーフだと思う。
起用する俳優に在日コリアンの帰化した人が多いということよりも、この方のセンスが純ジャパとは違う。
純ジャパは、ここまで正直に厨二病になれない。
厨二病ではあっても、自分の厨二病ぶりを突き離して眺めてしまうのが日本人だ。
かといって、この方は、日本国内の在日ネットワークにも属していないだろう。
ならば、韓国や中国が侵食している日本のメディアで、もっとラクできたはずだから。
つまり、紀里谷さんはリバータリアン風味いっぱいなんです。
ひとりで徒手空拳で立っているのです。
稀有なほどに、自分自身に対して正直です。打算で生きてない。
だから、作品が全て正々堂々とキラキラと厨二病です。
私自身は、「この方は、もうちょっと不細工で低身長でダサい方が、日本映画界では受けるだろうなあ」と思っちゃいます。
すみません。
ところで、私は、まだGOEMONは見ていません。
出演俳優のリスト見ると、見る気がどうしても起きません。
江口洋介さん。広末涼子さん。大沢たかおさん。奥田瑛二さん。玉山鉄二さん……
すみません。
映画ついでに、紀里谷さんの小説というか、書いたものも読んでみました。
それらについてまで書くと、長くなってしまうので、本日はこれくらいにします。
最後に、紀里谷さんがある編集者の方に話した言葉の一部を紹介します。
「なんにもせずに人のせい・社会のせいにするようなヤツらが、ウイルスのような毒素をばらまきまくってるわけです。炎上させたり、“リア充”って言葉で人を笑ったり。で、それに対して今度は“がんばってる人たち”側が気を遣ってしまってますよ。炎上したらどうしよう、リア充って笑われたらどうしようって」
「バカじゃないのと思いますね。なんでそんなヤツらの言うことを聞かなきゃいけないのって。そういういらぬ気遣いを子供たちが真に受けちゃって、自分がやりたいこともやっちゃいけないんだって思いはじめちゃうんですよ。なんなのそれ、って思う」
「断言してもいいけど、いま日本国内では内戦が起きていると言えますよ。どういうことかというと、“がんばって行動する人たち”と“しないヤツら”の内戦。“何かに情熱を傾ける人たち”と“それをバカにするヤツら”の内戦」
https://note.com/waww/n/ne89fee732974
ほんと、みなさん、『世界の終わりから』はいい映画なの。
是非とも、ご覧ください。
私は3回観ちゃいました。
