#669 6/16/2024 最高に面白い韓国近現代経済歴史ドラマ『財閥家の末息子 Reborn Rich』を視聴して満足したので、明日から本気出します!

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本日は2024年6月16日日曜日です。

『舌はがしから始める平井メソッド健康革命』の第4校に早く目を通さなきゃ。

6月18日火曜日は校了です。翌日から印刷製本です。

やれやれ、です。

本Blogの更新をサボっている間に、現代日本の娯楽小説エンタメ小説を読みまくっていました。

いやあ〜〜知らぬ間に、すごい才能ある若い人々がワンサカ出現していました。日本のエンタメ小説は花盛りでありました。地味に花盛りでした。

このことについては、少しずつ本Blogに書いてゆきます。

本日の記事は、韓国に連続ドラマ『財閥家の末息子 Reborn Rich』について書きます。

邦題と英語題名じゃなくて、原題はどーいう意味なんだろ。

私的には、このドラマはジャンルは違いますが、『トッケビ』(2017)と並ぶ名作です。

最高に面白い社会派韓国ドラマです。韓国経済が1980年代からいかに展開してきたのかをエンタメで描く経済ドラマです。

2022年発表。全16回。prime videoで視聴できます。LINE漫画にもなっているようだ。

時代背景は1980年代後半から現代まで。

某財閥に高卒ながら採用されて(なぜ採用されたかは最終回で伏線回収)、創業者一族の愚行の後始末ばかりさせられている社畜40代の男性が主人公。

彼は、財閥企業の裏金作りの秘密を知ったばかりに2022年に殺害される。

死んだはずが目覚めたら、その男は財閥の創始者の三男で創始者の愛人の子どもの次男になっていた!

まだ小学生高学年くらいの子どもだ。時は1987年。

彼は2022年から1987年に来ちゃった。

彼は未来人だから、社会の変化を予知できる。どんな事件が起きるのかわかっている。

その情報をもとに的確なことが言える。そうして、財閥の創始者(このオッサンを演じる俳優がすっごくいいんです)に、さらなる強運と成功と富をもたらす。

いつしか創業者直系の孫ではなく、愛人との間の息子の次男に期待をかけるようになる財閥の創始者。

直系の孫息子はできが悪い。しかし、愛人との間にできた息子の次男はソウル大学法学部に主席で入学できる優秀さだ。

その傍系孫息子は、飛行機事故死から祖父を危機一髪で救った褒美に、地図を指さして、ある土地を欲しがる。祖父の財閥創始者は孫に、その何も取り柄のなさそうな5万坪の土地を与える。

何年か経過して、その土地の価格はソウル大開発で高騰する。

その利益をもとに投資会社を作る傍系孫息子。そのとき、孫息子はまだ大学一年生。

なにしろ彼は未来人なので、1980年代後半以降の世界と韓国の動きを知っている。

未来には半導体が産業の要になること。

誰が大統領になるか。

韓国の通貨危機がいつ起きるか。早くドルに換えておけ!

IMFからの借款完済がいつになるのか。

9.11がどう世界経済に影響を与えるのか。

クレジットカード払いや電子カード払いが普通になるから、どうするか。

いつ頃から、経済が物作りからマネーゲームに移行するのか。

産業資本主義ではなく株主資本主義の金融の時代に、いかに対処するのか。

サッカーのWCでの韓国のベスト4入り。

21世紀に入ってからの韓国のエンタメ産業の大躍進。

1980年代後半までは、どうみても日本に勝てるものが生産できなかった韓国が、韓国人自身が韓国はあかんなあと思っていたのに、その韓国がいかに世界に発信し、グローバリズムに対処するのか。

未来を知っているので、彼の打つ手はみな成功。

そうなんです。これ、韓国ドラマによくある財閥一族の物語じゃないです。

普通の財閥系ドラマと同じく、財閥一族の後継者の座をめぐる愛憎嫉妬対立、庶民を見下した彼ら彼女らの腐敗した生き方と政治との癒着、贅沢なファッションに生活に邸宅の家具調度品、こういうことも描かれます。

でも、それはお約束ごとであり、ドラマ自身の面白さは、近現代の経済変化に韓国がいかに翻弄されたかに、あります。

1998年の通貨危機のときは、韓国国民は金製品を政府に供出して、国の借金を圧縮した。

IMFの介入により、経済的大混乱に巻き込まれる韓国。

タイの通貨も大暴落したし。

あれは、いったい何だったのか?

ところで、私自身は、韓国のハイソサエティとか財閥系ドラマは、あまり興味がない。

韓国では、そういうドラマが人気である理由がわからない。

だって、脚本書いてる人とか製作陣も俳優も、財閥の人って知ってるの?

上流階級の人って知ってるの?

知らないことをドラマや映画にできるの?

財閥の人なんて、私は知らないもんね。

上流階級の人なんて、私は知らないもんね。

中産階級の人間に、彼らの生活と意見って、わかるの?

彼らの真実なんか、わからないんじゃないの?

わからないことはドラマにしてもリアリティがない。

日本では日本の財閥の家族のことが描かれるドラマはあまり作られない。

山崎豊子の『華麗なる一族』は何度も映画化ドラマ化されてるけどさ。

あれも読んだことあるけど、どちらかというと銀行と大蔵省の対立的経済小説だったからなあ。

華麗なる一族のメンバーそれぞれの人物造形に深みがあるということは特になかった。

おそらく、あの小説も『財閥家の末息子』のネタのひとつかもね。

その点においても、『財閥家の末息子』に描かれる財閥の一族のキャラクターは、わりと類型的だった。

まあ、脚本家だって実際に財閥の人間なんて知らないからさあ、中産階級的想像力で書くしかないよね。取材はできてもさあ。

自分が生まれ育った階層に属さない人々の思想を想像することって難しいよ。

あなたも、皇室の人々の生活と意見って想像できないでしょ?

貴族階級は小説やドラマは書かないし、底辺階層も書かない。

だから、中産階級の人間にとっては、上も下も未知なる闇なのです。

それはさておき、『財閥家の末息子』の話です。

通例の財閥ものとは別に、先ほども書いたように、このドラマで最高に面白いのは、未来から来た傍系孫息子の設立した投資会社が、いかに世界経済を生き抜いていくかの設定展開です。

ドラマは残念ながら、どういうわけかリーマンショックについては描いていません。

まあ、そこまで行くと、韓国にとっても宗主国であるアメリカの腐敗という大きな問題になる。

さて、ドラマは、財閥創始者が亡くなったあたりから、ちょっと失速します。どうでもよくなってくる。

私としては、この財閥創始者が一代で財閥を作り上げた経緯なんかも、ちょっとドラマで描かれて欲しかった。

だってさ、一代で財閥って作れるものなの?

一代で作れないでしょ?

たった一台のトラックから運送業を始めて、今や、彼は、保険会社や証券会社や自動車会社、電子部品製造会社、デパート、ゴルフ場、ホテルなどを多角経営しているという設定だ。

これ日本なら、たとえば佐川急便が大成長して、東京の真ん中で大自社ビルを建て、佐川急便ならぬ佐川物流、佐川保険、佐川証券、佐川デパート、佐川自動車、佐川ゴルフ場、佐川ホテルと経営し、朝日新聞社経営者の娘を嫁にして、メディアも自由にし、エリート検事を婿にして、その婿を国会議員に当選させて、首相にしたろか、みたいな話だ。

無理があるよね。

三井も住友も、江戸時代から基礎を築いてきたし。

三菱は岩崎弥太郎だから明治以降だけど。

ともかく財閥形成って、100年はかかるって。

日本は敗戦後にGHQによる財閥解体があったので、今の日本でいくつかの財閥が猛威をふるっているということは、あからさまにはない。

でも、「系」というものはある。三菱系、三井住友系、安田系、トヨタ系とかさあ。トヨタは財閥とまでは行かないか。

大企業って、ほとんど財閥系だもんね。

少なくともグループは形成してる。

独占禁止法があるといっても、実際のところは、コングロマリットとかコンツエルンってあるもんね。

でも、今は、経営者と大株主の創業者一族は違うもんね。

今じゃ、その株主に外資が入り、その利益は外国人に吸い上げられているもんね。

その外国の株主を突き詰めていけば、BlackrockやState Street とかVanguard とかの世界的大投資会社だもんね。

今や純粋な民族系大企業って、あるの?

まあ、『財閥家の末息子』も、ツッコミどころはいっぱいの経済ドラマです。

でも、財閥創始者のキャラクターの面白さと、演じる俳優の演技力がこのドラマに奇妙なリアリティを与えています。

よくできた世界経済エンタメなので、子どもにとっては勉強になると思うなあ。

近現代史の勉強にもなる。

主演の美男俳優さんは、中学生や高校生の役から40代まで演じるのですが、中高校生を演じていても違和感ない。すごい。ただのイケメン俳優さんじゃないですね。

あ〜〜面白かった。

お遊びにも気がすんだので、カタギに戻って仕事します。

日本も、こんな硬派のスケールの大きいエンタメ作ればいいのになあ。

ゴジラだけじゃなくてさあ。

制作費も問題だけど、何よりも近現代史に関する日本人の無知があかんのかもね〜〜

無知だと問題意識も生まれないしね〜〜

というか、情報格差が広がっているね〜〜

まあ、昔からそうか。

たまたま、今の日本のエンタメ界に資本が投下されていないので、すっごく優秀で元気がいい人々が集まってないのか。

どこに集まってるの、そういう人たちは?

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