本日は、2018年9月26日水曜日だ。
実は、本日は、2ヶ月ぶりに、東京青山の「美容院の東大」であるPeek-A-Booに行く予定であった。
生きる伝説カリスマ美容師川島文夫氏のカットを体験するつもりであった。
川島文夫氏が現役である限り、私も東京に通って、あのカッティングをじっとじっと見学したいのだ。
凝視していて飽きないもんね。
例の「舌はがし啓蒙活動」リーダーで、福岡の「七星スパルタ鍼灸院」院長の平井幸祐氏が結成した「川島文夫カット体験会」に、また混ぜていただく予定であったのだ。
平井カリスマ、いつも絶賛好企画をありがとうございます。
ところが今朝の5時に目を覚ましたら、部屋がグルグルが回っているのであった。
眩暈かよ。またかよ〜〜
2012年以来ときどき、こうなる。
午前7時33分発の新幹線「のぞみ」に乗らないと朝の10時からの予約に余裕で間に合わない。
ということは自宅は午前6時半に出たい。
が、6時近くになっても、眩暈は少ししかおさまらず。
気持ち悪い〜〜
いたしかたなく、キャンセル。新幹線も払い戻し310円出してキャンセル。
で、午後2時過ぎまで、ブーたれて眠っているしかなかった。
なんで、こーいうことになったかと言うと……
急に自宅にある小室直樹(こむろ・なおき:1932-2010)氏の著作を片端から読み直し始めてしまって、眼精疲労が高じたのだ。
それもこれも、この村上篤直(むらかみ・あつなお:1972-)氏の『評伝 小室直樹』上下巻(ミネルヴァ書房)のせいなのだ。
上下巻1361ページ➕注に年表に詳細な書誌に索引に……
大変な労作力作であった。
著者の村上篤直氏は、1972年生まれのお若い方であるが、小室直樹氏のお仕事のデータベースをウェッブ上に作成し発表してこられた方である。
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/komuro/
で、以下の2013年に出版された小室直樹氏追悼本の略歴も担当なさった。
で、その詳細で正確なお仕事ぶりに注目したミネルヴァ書房から、「評伝を書いてみませんか?」とお話をいただいたそうである。
おお、ミネルヴァ書房は、アメリカ文学研究者時代に私も共著者ではありましたが、3回か4回ほどお世話になった出版社であるぞ。
きちんとした学術本を出版する良い出版社であります。
で、完成したのが、この大著である。
実に実に実に面白かった。
読んでいて幸福であった。
理系文系どちらの学問をも極めた天才的研究者としての小室直樹氏の仕事をきちんと記述なさっておられる。
学んだことをわかりやすく的確に伝えることに秀でた天才的教師としての小室直樹氏の破天荒な人生を生き生きと描いていておられる。
西洋の学問から近代精神と合理性を学びつつも、不合理であっても、損とわかっていても、あえてそれを引き受ける情熱を生き、徳を実践する古き良き日本人としての小室直樹像を、提示されておられる。
そうなんよ。小室直樹氏はただの研究者じゃなかったから。
学問を現実に生かし、西洋の学問体系から得た知見を日本を理解するために使った方であった。
だからこそ、あれだけ多くの読者を獲得し、大きな影響力を持った。
それらについて全て言及し、村上篤直氏は、会津白虎隊の生き残り少年武士を祖先に持つ小室直樹氏の日本への愛と懸念を、よく伝える評伝をお書きになった。
快挙だ。すごい。
で、是非とも、本ブログで『評伝 小室直樹』を、紹介したいと思った。
しかし、本日は、眼精疲労で、眩暈再襲来の恐れもある。
でも、早く紹介したい。
だから、今日は、この労作力作の紹介書評がわりに、私がFacebookで、この本について投稿したものを、時系列で並べる。
その方が早いわ。
いいじゃないですか、たまには、こういう紹介の仕方も。
(Facebook投稿転載はじめ)
[2018年9月20日木曜日18時52分]
届いたよん!
小室さんが亡くなったのは2010年だったか!つい最近のような気がしていた。すでに8年が経過したんだ。
小室直樹氏の著作は、絶版になっても、またどこかの出版社が再出版する。山本七平氏と小室直樹氏の著書は、そうなんだ。
そうかーー会津のご出身でしたか……
[2018年9月20日木曜日22時53分]
小室直樹氏の大秀才ぶりがすさまじい。
数学と科学と物理学を基礎にしてから社会科学をやるべしいいい?
中学の時に、William Shakespear の原文が読めたああああ?
[2018年9月20日木曜日23時06分]
京都大学の学生の時のエピソード。種付け………^_^
(本書99より転載)
「あなた、再軍備論者だそうですね。ちょっとお話しませんか」
女を使って懐柔する気かと苛ついて、小室は怒鳴った。
「なにイ? 種付けするゾ!」
「キャーーーーッ!!」
キャンパスに悲鳴が響いた。以降、彼女は小室の姿を見かけると逃げるのであった。
(転載おわり)
[2018年9月21日金曜日08時45分]
び、びっくりだ。著者の村上篤直氏から、友だちりリクエストいただいた。ありがとうございます。
『評伝 小室直樹』を書いてくださって、ありがとうございます。
えええええ?こんなお若い方だったの!?東大法学部ご出身で、駒澤大学の法科大学院に入学なさり弁護士になられたんだ。で、こんな上下巻を書いたなんて!体力もすごいなあ。
[2018年9月21日金曜日11時52分]
ふーん、小室さんがプロポーズしたっていうアメリカ文学のフォークナー研究者の「堀江瑠璃子」さんって、知らないなあ。
私もアメリカ文学やってたことあって、フォークナーの論文書いたことあるけど、この方知らないなあ。
まあ、すごい美人だったそうだから、すぐに結婚なさって学会から離れたかなあ。日本アメリカ文学会に美人なんていなかったもんねえ。美人ぶるブスは多かったけど。
で、小室さんの初体験の相手は、マサチューセッツ工科大学に転学する前にいたミシガン大学で小室さんが英語で数学を教えてあげた女学生で、その女学生はミシガン大学学生自治会の副会長だったと……そんなことまで調べてある。
数学とかいろいろ、いろんな留学生やアメリカ人学生に教えてあげたそうだ。すごいですねえ〜〜
[2018年9月24日月曜日16時57分]
本だって、一流のものを読まないといけないとは思うけれども、
10流ぐらいの人間は、ほんとに読みやすい雑本から入って、だんだん日本語能力をつけていって、時間かけて時間かけて、やっと本物を読めるようになる。
岩波文庫の日本語が理解できるようになったのは、私は40歳過ぎてからだったもんね。
まあ優秀な人と自分を比較してもしかたないんよ。劣等感に折れてる暇があったら、勉強し続けるしかないんよ。
[2018年9月24日月曜日17時01分]
小室直樹語録
「凡人は一回しか読まない。だから頭が良くならない。いい本は10回は読まないといけない」
で、福田歓一の『政治学史』を10冊買っておけばよかったと小室氏は後悔したそーだ。一回読んでボロボロにするから。
[2018年9月24日月曜日17時59分]
読了。Amazonにレヴューを書いた。
(転載始め)
読むことができて、ほんとうに良かったです。小室直樹氏の著作を読み始めたのは、1980年代の「ソビエト帝国の崩壊」からです。ですから、私は小室氏の本当の学問的背景や業績を知りませんでした。この詳細な評伝により、小室氏が何を学び、何をめざしたのか知ることができて、ありがたかったです。
著者の村上氏の記述や構成は非常にバランスが取れています。読者をして、この稀有なユニークな人物のエピソードに何度も大笑いさせつつ、小室氏の学術的な問題意識への理解を促すように巧みに誘導してくれます。学問的な本であると同時に、読書の楽しさを味あわせてくれる本でもあります。
著者の村上氏に感謝いたします。ありがとうございました!非常に勉強になりましたし、同時に凡才の心にも火をつけてくれました。生涯学び続けようと、あらためて思いました。
(転載おわり)
[2018年9月24日月曜日20時15分]
書棚を探し物してて気がついた。
私って、山本七平さん小室直樹さんの著書は、ほとんど持ってるんだな。
読んだ形跡がちゃんとあるけど、読んでもわかっていなかったんだな。
豚に真珠だ。パンダにニーチェだな。
[2018年9月24日月曜日20時20分]
ふーん、そうなんだ。司馬遼太郎さんの奥さんは、ご主人の代筆もしていたんか。まあ、奥さんも産経新聞の記者だったから、書けるよな。
で、小室直樹さんの文も奥さんが代筆してたものもあったわけか。元が編集者だから、できるね。
研究者でも、翻訳本は奥さんが訳したとかで、その奥さんが自分の業績目録にご主人の翻訳本を載せてたケースもあるし。あれは驚いたなあ。
まあ、よくあることなんかね。
[2018年9月24日20時23分]
司馬遼太郎さんと言えば、東大阪市内の高校に入試の営業で行った時に、ついでだから、「司馬遼太郎記念館」に寄った。
なんか年配の人品卑しからぬ男性たちが、感極まったみたいにウロチョロしてたなあ。
高校や大学時代に司馬遼太郎さんの小説は読んだことあるけど、40歳過ぎてあらためて読んでみたら、文章がスカスカで、読めなかったわ。
[2018年9月25日火曜日06時45分]
ファイナンシャルアドヴァイザーの大井幸子さんも、小室直樹さんのゼミ生だったんだなあ。
すっごく意外だったわああ!
[2018年9月25日火曜日07時21分]
今まで、「小室直樹ゼミ」にいたって、自慢してた人に数人会ったけど……英文学者にもいたんですよ……
この評伝が出ましたので、そーいうホラは通用しなくなりましたね……
小室氏の体調が悪くなり、ゼミを欠席しがちになり、もう誰でも入れちゃう頃のゼミに出てたんですね。
[2018年9月25日火曜日22時13分]
この評伝の面白いところは、いろいろあるけれども、小室氏が亡くなったときからお葬式までの経緯が不謹慎ながら面白かった。小室氏がお亡くなりになったことが、なにゆえかしばらく秘せられていた事情がわかった。
小室氏が57歳で結婚した、うんと年下らしき元編集者の女性がおもろい。「この人は呼ぶな」「この人には絶対に連絡するな」と言い張り、小室氏のお弟子さんでも自分が気に入った人しか相手にしないし、どんなに世話になった編集者でも無視。告訴された編集者もいたそーだ。
小室直樹氏のお葬式なんだから、何千人と弔問客があっても不思議じゃないんだから、公的人物なんだから、盛大にお葬式をやればいいものを、ひたすら自分の世界に囲い込む。
自分と夫の区別がつかない妻。夫を私物化する妻。支配欲と愛情がゴッチャな妻。夫の友人関係を潰す妻。しかし有能な妻。こういうパワフルな女性いるよなあ……おもろい。
(Facebook投稿転載おわり)
ということで、私はついつい書棚にある小室直樹本を、かつて読んだのに、よくは理解していない本を、あらためて漁り始めてしまった。
1992年に早々と小室直樹氏の業績について対談形式で書かれたこの本も読み直してる。
やりたいこと多いなあ……
知りたいこと多いなあ……
しかし、65歳。
若い頃みたいな夜更かしとか、やってちゃダメねえ……