本日は、2021年12月22日水曜日です。冬至の日です。
ああ……時間が飛んで行きます。
いろいろありまして、ものすっごく忙しくて、Blogの更新が、また滞りがちになっています。
まずは、報告です。
12月22日冬至の夕食!
やっと、料理研究家の木村万紀子先生からzoomセミナーで教えていただいた和食の黄金比率の調味料(濃口醤油と本味醂と清酒と砂糖)で料理することができました!
ぶりと自家製ピーマンとぶりのスペースパン焼きに、キノコの炒め物!
キノコの炒め物が特に美味しくて、夫と奪い合いました。
私自身が、これは美味しい!と納得できました!
キノコの炒め物は、ちょっと調味料が多かったけど、よしとします!
木村先生ありがとうございました!
夫も、嘘っぽくなく自然にほんとに美味しいと言ってくれました!
あとは、白菜の昆布海苔まぶし。沖縄のスパムと大根と人参の中華風スープ。

やっぱ、プロに教えていただくって大事よねええええ!
和食なら何でも、この黄金比率の調味料でいいんだもん。もう、料理ごとにレシピを確認して、調味料の配合しなくていいもんね。
お前は68歳になっても、その程度かと笑わば笑え。
私が専業主婦になったのは2017年からだもんね。それまでは単身赴任で大阪や広島をウロチョロしてたしね、料理は自己流で、できにムラがあったんよ。
ああ!これで和食については安心。
夫から、「明日は、その黄金比率の調味料で肉じゃが作って」とリクエストがあったぞ。
すき焼きの割下なら、砂糖の量をちょっと増やせばいいだけ。
いやああ〜ほんとに美味しい。いつもいつも同じ比率の調味料だからといっても、味が同じになるってことはない!
食材が違うからね。味が同じになるってことはない!
ご興味ある方は、是非ともzoomセミナーに参加してね!参加費2980円ね!得るもの多いですよ!
https://science-cooking.com/?page_id=5047
でも、このzoomセミナーは12月23日が終わりなんですけどね……
でもって、本日は、KKベストセラーズのBEST T!MESっていうウェッブマガジン用の記事をひとつ書いた。
だから、ご褒美に、コンビニのショートケーキをデザートにした。エクレアもあるでよ。

ところで、一昨日に、私は36年ぶりに黒澤明監督の『乱』を観たんです。Amazon prime で300円で。

黒澤明監督の映画は好きですが、好きな映画は1940年代から60年代のものばかりで、『影武者』以降のものは、映画館では観たものの、あまり好きじゃなくて、ビデオで見直すということはなかった。
TVで放映されているときに、チラチラ見る程度だったんですねえ。
ところが、つい最近、YouTubeに、『乱』の1シーンごとのメイキングの動画をいっぱい見つけた。アーカイブにいっぱいあった。
で、そのアーカイブの動画をかたはしから観たんですねえ。
で、びっくり!!
こんなに手間暇かけて撮影とは!
黒澤明監督の頭の中には、ひとつひとつのシーンのイメージが明晰に刻み込まれている。だから、雲の形、空の色、草の生え具合、岩の集まり具合、光線の当たり具合、砂塵の舞う具合、俳優の身体の形、俳優の動きなどが自分のイメージどおりに撮影できるまで粘る。
嵐の夏野の風景が欲しいなら、台風が来るまで待つ。
草が足りないなら植える。空の色が変わるまで待つ。雲の形が変わるまで待つ。夕陽の光を待つ。岩が足りないなら作っちゃう。
なんという幻視力。イメージ力。根気に固執力!
ひとつのシーンに、こんなにリハーサルしたとは!
ひとつの台詞に30回もダメだし。
非常に細部にわたり指示し演出する黒澤明監督の集中力。
このとき黒澤監督は70代ですよ。73歳とか74歳の時ですよ。
すごい!
また、スタッフたちがすごいんだ。「黒澤組」っていうの?その人々の映画愛がすごい。
俳優たちが黒澤明監督の前ですごく緊張している。
私は、今頃気がついたんですが、あの映画のラストシーンに映っていた盲目の法師は、私の好きな狂言師の野村萬斎さんの少年時代だったんですねええ!
知らなかった。あの少年が!
野村萬斎さんって、「非常に優秀で上品なお上臈みたいな嫌味な美女」の雰囲気があるじゃないですか。
そういうの好き。同じ伝統芸能でも、歌舞伎役者とは違った権高い感じがおもろい。
やっぱ武家から生まれた狂言と、庶民から生まれた歌舞伎の違いは大きいね。
お能はお能でいいしね。私は自分が踊るなら能とか雅楽舞がいいわ。
って、何の話か。そうそう『乱』のラストシーンの話。
あのラストシーンの救済のなさよ。
盲目のまま、朽ち果てた城の天守閣跡の廃墟の石垣のそばに残された少年の哀れさよ。その孤独と絶望よ。
この映画を映画館で観た1985年当時の私は、「映画とは、自殺しようと思ってる人がその映画を見て、もう一度生き直してみようと思わせるものでないといけない!」と思い込んでいた。
しかし、『乱』は、飛び降り自殺しようとビルの屋上の縁に立っている人間の背中をグイと前に押すような映画に思えた。
それから、俳優たちが安っぽく見えた。
戦国武将なのに、他愛がなさ過ぎると思えた。これは脚本が悪い。
私は、ついつい『七人の侍』の俳優たちと比較してしまっていた。仲代達矢さんは「三船敏郎」ではなかった。
あの息子たちに裏切られた老いた戦国武将の狂乱は、三船敏郎さんが演じたら、より一層の凄みと悲劇性を帯びていたろう。
志村喬さんはいなかった。宮口精二さんもいなかった。
私は、ついつい、ヒロインの楓(かえで)の方を演じた原田美枝子さんの演技を、『蜘蛛の巣城』の山田五十鈴さんの演技と比較してしまっていた。
なんかなああ……力がないな……と思ってしまっていた。
私は、それまで原田美枝子さんのファンだったけど、『乱』を見てガッカリしてしまった。それ以降、原田さんの出演作を見なくなってしまった。
という訳で、その後ずっと『乱』を私は見なかったのだ。
でも、YouTubeの『乱』メイキングのアーカイブを全部チェックしたら、完成品の『乱』を見たくなった。
で、見た。

で、36年ぶりに観た『乱』という映画のすさまじい美しさに、あらためて気がついたのです!
無茶苦茶に美しいです!
救済のない、神も仏もいない人間の世だからこそ、それらを眺めている大自然の美しさが、冷酷に輝いてる。
空も雲も風も草も花も森も山も川も。
そして、俳優たちの精一杯の集中と緊張と役への没入を感じたのです!
1980年代において、すでにして、黒澤明監督の映画にふさわしい俳優は消えていた。これは事実。
それでも、いまどきのタレントのお芝居の緩み具合とは比較できないほどの演技力だ。
いやああ……見直して良かった!
映画って、あれぐらいのエネルギーで作るんだ。
素晴らしい作品に出会うと、「こんなことをできる人間がいたし、いるんだ!せっかく生まれたからには、私も私なりに精一杯努力しよう!」って思えるじゃないですか。
32歳の時には感じることができなかったいろいろなことが、68歳の今は感じとることができる。
やっぱ、わかったつもりでいちゃダメだよね。
死ぬまで勉強よね。
それから、一回見たぐらいで、映画もわかった気になってちゃいけないね。
ところで、一文字家を滅亡に追い込んだ楓の方を一刀両断する武将の「鉄」(くろがね)役は、黒澤明監督は「高倉健」をイメージしていた。
だから、4回も高倉健さんの家を訪問し、出演を依頼した。でも、高倉健さんは『居酒屋兆治』の撮影が予定されていて、その依頼を断った。
でも、後日、高倉健さんは、出演しなかったことを後悔した。
いやああ、あの鉄(くろがね)を高倉健さんが演じていたら、映画がいかほどに締まったことか!
俳優陣がちょっと弱かったからさ、やっぱり。映画の画面は最高に美しいけどさ。
残念。
黒澤明監督の晩年期の作品を、また見直してみよう。
って、そんな時間があるかよ、私!!