こんな講義してます(その8)キリスト教別派人間念力教について

本日は、2016年1月24日日曜日だ。

今日は、2016年1月14日の第8回「アメリカ文化論」の講義の一部を紹介する。

第7回においては、「アメリカの拝金文化」の宗教的/思想的起源のひとつとして、マックス・ヴェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」において提示した仮説について説明した。

アニミズムが紛れ込んだカトリックに対して、聖書の精神に戻れ!と始まったプロテスタンティズムの中から、カルヴィニズムが生まれた。予定説が生まれた。人間が何をしようが、神がすべてを決定しているっていう考え方。

それは、そうよ。全知全能の神様が決めたことは人間は変えられない。ただただ神の木偶(でく)として生きるだけ。

これは、唯一絶対一神教ならば、当然に論理的にいきつく考え方。

しかし、人間は自分が神に選ばれていて、救済される存在だと信じたい。

だから、勤勉に働き、人のため社会のためになる仕事する。

「こんなに、頑張っている私だもん、大丈夫!神様に選ばれているに違いない!!」

この心性が、カルヴィニズムが浸透した地域(北ヨーロッパ、英国、アメリカ合衆国)に資本主義が発展した理由だ!

これが、マックス・ヴェーバーの仮説だ。

でもさ、北ヨーロッパや英国には、アメリカほどの「拝金文化」は生まれなかった。

なんで、アメリカに?

ということで、第8回の「アメリカ文化論」では、カルヴィニズムに抵抗する心情から生まれたキリスト教別派「ニュー・ソート」(New Thought)について話した。

これはいい日本語訳ができてない。だから、そのまんま「ニュー・ソート」としておく。

このニュー・ソート的考え方は、中世ヨーロッパからあった。提唱した人物は火あぶりで処刑されたけれども。

ニュー・ソートの考え方とは何か?

ぶっちゃけて言えば、「神は全知全能なんでしょ?完璧な存在なんでしょ?ならば、わざわざ人間を不幸にするみたいなことなさるはずないでしょ?完璧な神が作った世界であり、人間なんだから、世界も私たちも祝福されているって!!だから自分が救済されているか、神に選ばれているかと悩み恐れる必要はない。みんな救済されている!!!神の子として光に向かって進もう!!」つー思想よ。

だから、「あなたが不幸なのは、あなたの思考に間違ったとこがあるからよ。だって、世界は完璧なんだもん。あなたは完璧に幸福なはずだもの。あなたが不幸なのは、あなたの信仰が不完全だからよ。神の栄光が見えないのよ。あらかじめ完璧なのに、あなたにはそれが見えないのよ」つー思想よ。

アメリカでは、19世紀にこの思想が広まった。

ポジティヴ・シンキング(positive thinking)とか「引き寄せの法則」(the law of attraction)とか、みなこの「ニュー・ソート」から派生している。

私は、「アメリカの拝金文化」の起源を調べているうちに、このことを知って、「やっぱりなあ~~~」と思った。

カトリックは、唯一絶対一神教キリスト教の伝播のために、アニミズムを利用した。十字架とか、マリア像とか、そんなもんアニミズムだろ。

物に魂なんか宿っていないのに、十字架とか首にかけたり、マリア像を拝んだり。マリアは、キリストを生んだ女性であって、神じゃない。

でもって、「ニュー・ソート」もさあ、人間の思惑が入り込んでいる。

全知全能の神のことなんか人間に想像できるはずない。そんな存在は人間の外部にある。

しかし、人間は、絶対に絶対に、自分に都合よく考えるんだ。

カルヴィニズムが生んだ(とされる)資本主義の精神だって、そうでしょう。勤勉に働き、世のため社会のために尽くすことができれば(金銭は蓄積されて)神の目にかなっている証だ、と思うのは、あくまでも救われたい人間の妄想だ。

どこまでいっても、人間のやることには、人間の思惑が入り込む。

人間は、自分の外部なんか、ほんとは理解できない。受容できない。

つまり、「ニュー・ソート」は、キリスト教別派人間念力教だ。もっとはっきり言えば、これはキリスト教じゃない。「人間教」だ。

「人間教」ならば、人間の欲しいものを崇拝することになる。

それは、ほとんどの人間にとっては金銭だ。

神のかわりに「貨幣」を崇めるようになるのは、自然の理。

「神のもとの平等」のかわりに、「貨幣のもとの平等」を選んだんだ、アメリカ人は。

という話です。

もちろん、これだけでは「アメリカの拝金文化」は説明し尽くせない。

でも、アメリカにおける「ニュー・ソート」は、「アメリカの拝金文化」の思想的背景のひとつとして、どうしても指摘しておかなければならない。

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