本日は2017年2月3日金曜日だ。
昨日2月2日のアイン・ランドの誕生日に決行した私の最終講義(=「アメリカ文化論」第14回)は、無事に終わった。
結果的には、昨日は、私の人生の最良の日となった。
会場の設営や進行をしてくださった同僚の方々、ありがとうございます。
いろいろお手数をおかけいたしました。
教育学部の若い先生も聴いてくださっていた。
福山市立大学にお越しくださった方々、ありがとうございます。
福山市内ばかりでなく、尾道や、なんと大阪や静岡からも来てくださった。
「アメリカ文化論」受講生以外の学生さんたちも来てくれた。ありがとうございます。
お花やお菓子や名茶をお贈りくださった方々、ありがとうございます。
このBlogやFacebookで無思慮に最終講義の宣伝をしたので、多くの方々にお気を遣わせてしまった。
私は「うわあ〜〜大講義室でワンマンショー90分できる〜〜!!」と軽薄に喜んで、書き散らしていただけだった。
が、東京在住の方や北海道在住の方が「残念ながらうかがえません」とメッセージをくださった。
そんな……来れなくて……当たり前ですがな。
来ないですよ、普通は……
無名の大学教員の最終講義に出席するのは、受講生の学生と(義理で出席する)同僚だけである。
お気を遣っていただいて申し訳なかった。
恐縮してしまった。
宣伝などせずに、こっそりと静かに「この福山の片隅で」最終講義をすべきであった。
そうすれば、みなさんにお気を遣っていただくことはなかった。
すみません、すみません。
配慮のない私であった。
加えて、美しいお花を贈ってくださった方々には、金銭的ご負担もかけてしまった。
苦楽を共にした英語教育スタッフや、学部の同僚の方々からのお花だけではなかった。
ゼミ生からのお花だけではなかった。
最終講義に出席できないからと教育学部の学生さんがお花を持ってきてくれた。
福山市内の某学習支援NPO(たまーにこちらに少額寄付を……)の方々からもお花が届いた。
2014年の大阪でのアイン・ランド講演会に来て下さった東京在住の作家志望の漫画家の女性からも、お花が届いた。いっしょにイラストも送ってくださった。
桃山学院大学時代の東京在住の教え子さんからもお花が届いた。
ちゃんとBlog読んでくれていたんだ。
その教え子さんの鳥取県在住のお母様からもお花が届いた。
お母様もBlogを読んでくださっているのか!?
南山大学の後輩の女性からは、教壇に飾る横に広がるアレンジのお花を贈っていただいた。
Facebook友だちの女性からも、ロマンチック極まりない真紅の薔薇の花束を頂戴した。
去年の3月末でご退職なさった渡邊明先生(三重大学名誉教授、埼玉大学名誉教授。福山市立大学名誉教授の称号は無用だと仰った)まで花束と「赤福」を持って来てくださった。
で、最終講義の撮影もしてくださった。
後日にYouTubeに配信してくださるそうでありますよ〜〜♫♫
ありがとうございます~~ご退職後もお世話になっている私だ。
いっぱいのお花のおかげで、殺風景な大講義室が華やかになった。
大講義室の前方あたりの席は、お花の香りに満たされた。
入試の時期で忙しいのに、夫まで、きちんとスーツを着て名古屋からやって来た。
「あんた、ヒラの教員で終わるからさあ、ヒラ教員の最終講義には教職員も来ないことが多いからさあ、可哀想だからさあ、サクラで来てやった」と言って。
同僚や友人知己にいっぱいの配慮をしていただいた。
最終講義が始まる前から、感謝感激でいっぱいになった。
風邪が治らなくて、「ユンケル皇帝液プレミアム」つー栄養剤を飲んだのだけれども、うーん……別に……
なんで皇帝液??黄帝液??肯定液??
最終講義で話したことは、主として以下の3点だった。
(1)トランプの閣僚構成やオリバー・ストーンの近作映画『スノーデン』や、2008年リーマンショック後の草の根の人々のTEA ( Tax Enough Already) Party Movement (減税運動)におけるアイン・ランドの影響について。
(2) ソ連から移民したユダヤ系の女の子がアメリカの国民作家に成り上がっていく経緯。
(3)アイン・ランドが提唱者のひとりであるリバータリアニズム(自由至上主義)の、西洋政治思想史における布置。
natural law(自然法)からnatural rights(自然権)へ、そこから人権へと移る西洋近代啓蒙思想の流れの中でのpositive law(人定法)に立脚するリバータリニズムの特異性。
このあたりについては、副島隆彦氏の超名著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』がネタでありますよ。
要するに、人間社会のことはすべて、人間に責任があるのだから、人間が考えて変えていくんだ!
これがpositive law だ。
human-made lawだ。
いるかいないかわからない神の法ではなく、あるのかないのかわからない自然の掟ではなく、人間が話し合って、その時代時代にもっとも適合していると判断して定める法が、positive lawだ。
人間中心主義だ。
『水源』の主人公のハワード・ロークは、なぜ建築家になりたいのか?と訊かれたとき、こう答える。
「僕は神を信じていないので。地上を愛しているので。地上を美しくするのは建築ですから」と。
この世を良くし美しくするために、いるのかいないのかわからない神に頼ってもしかたない。
人間が、この世を良くし美しくするんだ。
という近代の極北たる人間賛歌がアイン・ランドの世界。
もっとも言いたかったことは、この(3)であった。
けれども時間が足りず説明不足となってしまった。
ルネサンスも、宗教改革も、西洋近代啓蒙市民革命も継続中。
ずっとずっと継続中。
まだまだ未完のプロジェクト。
その流れの中のアイン・ランドについて私は話したつもりだった。
日本人は科学技術の面では西洋に負けないけれども、社会科学分野ではすっごく遅れている。政治思想なんてない。
幼稚な国粋思想があるだけ。人真似の左翼思想の雰囲気があるだけ。
そういう日本の精神風土でモノを考えることを、アイン・ランドを通じて私は根づかせたい!!
なんてね。
63歳になっても、うまく伝えられない。説明できない。
最終講義終了後に、いただいたお花やお菓子を私の研究室に運ぶのは、ゼミ生や受講生の学生さんがワラワラと手伝ってくれた。
これも嬉しかったなあ。
普段、愛想もなくクールな男子学生が、「研究室に花を運びましょーか」とクールに言ってくれた。
いい子じゃ!
彼は、「リバータリアン」なる人種は僕と似ていると言った。
わかっとんのかねえ?
2月2日の夜は、興奮さめぬままにひとりで夕食は嫌だったので、福山在住のFacebook友だちの女性と、岡山在住のFacebook友だちの女性にお願いして、夕食をご一緒していただいた。
ありがとうございました〜〜
幸せな2月2日でありました。
みなさま、ほんとうに、ありがとうございました。
終わり良ければ全て良し。
これで、感謝いっぱいで福山市立大学を去ることができる。
(後日談)
この最終講義に関する「アメリカ文化論」受講生のコメントを読んでいて笑った。
「先生は、最終講義でも、いつもの授業と同じだった」って。
違うはずないだろ!!
先生、本当に良かったですね。なぜか、私も嬉しい気持ちにならせていただきました。
これは、おめでとうございます!ですね。そんな、お幸せな、お立場は、お仕事冥利につきますね。羨ましいかぎりでございますよ!
これからの新たなるご活躍をお祈りします。又、今後を楽しみにFacebookで見させてくださいませ!
おめでとうございました❣️
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細井さん、ありがとうございます。思いもかけない展開がいくつかあったので、とっちらかってしまいました。ほんとうに幸せでした!
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