本日は2019年6月22日土曜日だ。
いつも、このブログをもっと短く、もっと更新を多くと思いつつ、長々と書いてしまう悪癖。
ほんと、もっと短く頻度を上げないと。
ということで、今日は、数週間前に読んで感心した特殊詐欺、つまりオレオレ詐欺についての本を紹介する。
ものすっごく面白いです。
この本は、著者の鈴木大介氏が、オレオレ詐欺の電話をかける事務所とか詐欺師たちにインタヴューしての体当たりルポです。
鈴木大介さんは、あの『最貧困女子』の著者でもあります。
『老人喰い』を読んで感心して、これも読んでみました。
これも実に勉強になった。
話を戻す。
どういうコネで、特殊詐欺の仕掛け人たちの取材ができたのかは書いてありません。
当たり前だ。
犯罪者たちの仕事現場の取材なんだから、情報提供者たちのことを明かすわけにはいかない。
この本は2015年に発表されたものなので、書かれている手口ややり方は、すでに古くなっていると思う。
2019年現在はもっと進化していると思う。
今現在の手口を知りたいなら、新刊書を読めばいいと思う。
でも、私はこの本『老人喰い』を推薦します。
なぜならば、この本が詐欺師たちに密着して取材していて、その詐欺のシステムが実に巧妙で、詐欺師たちが実に魅力的だからだ。
これだけの巧妙さであるならば、呑気に生きてきてしまって物を考えない類の高齢者たちが騙されるのも無理はないと思える。
これだけの非常によくできたシステムならば、警察が一網打尽に逮捕するなんて無理だ。
つまり、特殊詐欺は消えない。
騙される高齢者がいる限り消えない。
私は固定電話には一切出ない。ずっと留守電だ。みな無視だ。
固定電話にかかってくる電話は、英語ではRobocallと言われる機械音声のセールスかアンケート調査だ。選挙時期は政党事務局からもかかってくる。
私は支持政党なしだけど、今度の参議院選挙は「NHKから国民を守る党」に投票することに決めている。
それはさておき。
親類友人なら携帯電話にかかってくる。
それかSNSのメッセンジャー機能を使用する。もしくはe-mailだ。
いまどき固定電話になどかけてくるのに、ろくなのはいない。
特殊詐欺など、固定電話に出なければそれですむことだ。
でも、高齢者の中には固定電話を常に留守電にするのに抵抗を感じて、つい留守電にしておくことを怠るらしい。
その理由が、「留守電ではかけてくる人に失礼だから」って。
こういう高齢者は特殊詐欺に騙されていいよ。
アホだもん。放置でいいわ。
ところで、特殊詐欺のシステムはおもろいね。
まず金主(きんしゅ)がいる。金はありあまってるけど、増やす手段がない金主さんたち。
金主さんは極道さんかもしれないし、金主さん自体が誰か富裕層のエージェントかもしれない。
彼らは、名義を売る人々の名義で事務所を借り、携帯電話を契約する。
詐欺の電話で使う携帯電話は、使ったらすぐに解約。
電話追跡できないように。
事務所の設備は、これも他人の名義でレンタルする。机と椅子だけだけど。
事務所は2週間しか借りない。近所から不審に思われたら困る。
事務所に行くためのエレベーターのボタンは指で押さない。指紋は残さない。
で、事務所運営者が、実際に電話をかける詐欺師たちを雇う。事務所運営者を使って、新人をリクルートして訓練させる。
最初は普通の企業の高給の営業職を募集しているように装って。
徹底的な過酷な訓練です。
根性なしではクリアできない訓練です。
10人中1人ぐらいも残らない訓練です。
この訓練の中身の描写が面白いです。
詐欺師たちと事務所運営者と金主の間は分断されていて直接会うことは、まずない。
だから、たとえば電話かける詐欺師たちが逮捕されても、事務所運営者も金主も逮捕されない。
何重にもエージェントがはさまれているので、人間関係を辿ってもわからない。
そもそも逮捕されるのは、金の受け渡しを担当するウケコと呼ばれるアルバイトだ。
ウケコとかダシコとか、業界用語で言われる人々を逮捕しても、金主までたどり着かない。
200万円詐取したら、半分は金主が取る。
あと半分は詐欺事務所運営者。ここからウケコへのバイト代が出る。
1割は詐欺師たちが取得する。
演技力を磨いて頑張れば、1日1件成功すれば20万円入る。税金なし。
だいたい詐取する金は200万円。
300万円だとカモさんたちがちょっと考えちゃう。
100万円だと、「なんで100万ぐらい何とかできんのかしらん?」と疑われる。
200万円が微妙に適正値らしい。
詐欺師たちに罪の意識はない。
彼らの経歴はいろいろだけれども、この社会の歪み、不公正、貧困に晒されてきたことは共通している。
自分を苦しめてきた社会を作ってきた高齢者たちに怒りを持っている。
騙されて金取られてもいいぐらいに余裕がある高齢者から、200万円を奪うことぐらい、公正なことだと思っている。
彼らの中には、必死で詐欺電話をかけまくり演技して、それで得た金を貯金して、それを元手に商売を始める者もいる。
あぶく銭を得て、もっと堕ちていく者もいる。
しかし著者の鈴木大介氏が感心するくらいに、彼らの闘争心、創意工夫する姿勢、向上心はすごい。生まれ育った環境が良かったならば、企業や役所でも、どこでも優秀な人材になれる人々だ。
彼らは自分の力で稼いでのし上がろうとしている。
フニャフニャと「引きこもり」なんてしていられる優雅な境遇じゃない。
若き詐欺師たちの描写が実にいい。
映画化されてもいいくらいに面白い題材だ。
きっと、いつか映画化されるし、TVドラマ化されるよね。
と思って調べたら、すでにNHKで「詐欺の子」ってドラマが作られていた。
https://thetv.jp/news/detail/189864/
そうか。
見逃し配信で216円出して視聴しよ。
みなさま、もし、みなさまの御宅の固定電話に、警察とか区役所とか官公庁のアンケート調査ですとかいう電話がかかってきたら、即、電話を切りましょう。
それ詐欺師の追加情報名簿作成作業ですから。
高額商品購入者名簿や、医学部卒業者名簿や、退職公務員名簿や、ゴルフ場会員権購入者名簿や、リゾート別荘地資料郵送希望者名簿は、ただの名簿。
その名簿に片端から電話して、巧妙に家族構成、家族の氏名、勤務先、学歴、住所を聞き出し、だいたいの資産内容や預金額を聞き出し、名簿に聞き出し情報を加えたものが「追加情報名簿」です。
こんなこと問われてペラペラ喋る人がいるのだろうか?
いやあ、いるらしいんです。大勢が。
自慢したい人はそうかもね。
暇すぎるのかも。
子どもの名前や孫の名前まで知られていると、これは詐欺ではないかと高齢者は思っても、子や孫に危害が加えられるかもと思って金を出してしまうらしい。
ということで、詐欺師が使う完璧なる情報名簿作成の協力者にならないように、お気をつけください。
詐欺ってのはね、犯罪の中で、唯一被害者が恥ずかしい犯罪です。
特殊詐欺の被害額は、2018年で356億円だそーだ。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_tyosa-jikenfurikome
これ、被害届が出ている分だけ。
実際は恥ずかしくて被害届けを出していない人々も多いらしいので、被害額はもっとあるらしい。
こんなこと書いたらぶっ飛ばされるだろうけれども、
被害者のみなさま、こういう富の再分配もあります。
貧しい詐欺師の若い子たちの生活を支えたと思えば、徳を積んだことになるでしょう。
特殊詐欺の被害者になっても、いいことをしたと思い直して、元気にまた騙されましょう。
しかし、なんで特殊詐欺は、息子と親のパターンですかね?
娘と親のパターンは聞いたことない。
娘は頻繁に親に連絡するから?
娘のためには親は金を出さないから?
息子だけ甘やかす類の馬鹿母親なんかそうだろうね。
アメリカにもscam phoneって同じ詐欺あるようだ。
ただし、祖父母がターゲットになる。
騙しばかりの現世ですね。
私は闘争心わいてきます。
詐欺ばかりの世界で騙されないように用心して油断せずに生きるのは、『キングダム』が舞台の乱世古代中国を生き抜くよりも面白いかもしれない。
特殊詐欺被害っていっても、年間400億円もいってない。
年金行政関連の役人があちこちにグリーンピア作ったり、投資というギャンブルに使って、何千億円や何兆円も年金原資を横領したことに比較すればさ、どーってことないね。
政府こそ官公庁こそ特殊詐欺だ!!
藤森かよこ様
先生のブログを見つけ、懐かしくて。変わらずお元気ですね。
こちらは、名古屋から離れて”毎日がノープラン”の生活を満喫(?)しています。
お時間がありましたら、ご連絡ください。お忙しい場合は必要ありませんが。
いいねいいね: 1人
櫻井のり子さま
わーー〜お久しぶりです!すみません。もう忙しくて、ご連絡も差し上げずに。その節には、いろいろお世話になりました!ありがとうございました!櫻井さんも早期退職なさったのでしたよね!私も早めに退職しました。
ちょうど、今締め切りが迫っているので、ちょっと文章書いて、家事やっての毎日です。退職しても忙しいです。まあ、賃金労働時代よりはマイペースでできますが。
よろしかったら、akirakatoh20040704@gmail.comまでご連絡ください。櫻井さんのご都合さえ良ければ、8月とか9月にお会いしてお礼を申し上げたいです。
いいねいいね