本日は9月7日火曜日です。
今日は涼しい風の吹く初秋らしい日でした。
気温が下がり、湿度が下がるだけで、これほど息がしやすくなるものでしょうか。
今日読了したのは、広島市から西日本随一のデリバリーヘルス店グループ「カサブランカ」を立ち上げた長谷川華(はせがわはな)氏の半生記です。
『ママの仕事はデリヘル嬢』というタイトルにつられて、私などは「♬私の私のママは、デリヘル嬢〜〜!♬」と、左手をヒラヒラさせて歌ってしまう。
知ってます?
長谷川華さん率いるカサブランカ・グループは、いまや西日本ばかりでなく、全国に展開している。北海道にはまだないなあ。


長谷川さんが現役のデリヘル嬢として働いたのは4年で、その後はデリヘル店経営者として働き、今ではデリヘル店経営のノウハウを教えるお仕事もしておられる。
女性の経営者を増やしたいのだ、長谷川さんは。
経団連も、彼女のような経営者の話を聞けよ!!
どうでもいい役にもたたんMBA取得しましたあああってエリート女性の話じゃなくてさあ。

長谷川華さんについては、ちょっとだけ私の「馬鹿ブス貧乏本」の水色本でも言及した。セックスワーカーの女性たちのルポで知られる鈴木傾城氏のご著書の中で紹介されていたので、前から、この女性には興味があった。
つい最近、長谷川さんのご著書があることを知ったので読んでみた。

なんでかっというと。
私は、人間の世界では必要不可欠なセックスワーカーの女性に、ちゃんとした敬意と安全が確保されない今の状況はいかん!思っているから。
そのためには、女性が、経営者として決定権を持たなければダメだと思っているから。
そりゃ男性経営者でも、まともな人間はいるとは思う。
数は少ないだろうけれど。
だけど、所詮は男だから、女性の気持ちや事情はわからんよ。
で、この本は綺麗事なしで、デリヘル業界のことを教えてくれる。
デリヘルというのは無店舗型風俗店のことで、店が客の好みや希望を聞いて、客が指定した場所に女性が店の送迎車で派遣されて(デリバリー)、性交以外の性的サービスをする。
ヘルはヘルスの略だけど、性欲の処理は健康なことです。
だからDelivery Healthです。和製英語です。よく考えたなあ。
性交はしません。本番と言うそうです。
性交したら売買春で、これは犯罪です。
時間は60分から、長い場合は3時間コースもある。
料金の半分がワーカーの女性に支払われる。客がたとえば15000円現金で払えば、店に帰ってから、7000円が現金で手渡される。
きっちり半分7500円を渡して欲しいな。500円は大きいよ。
労働時間はセックスワーカーの女性の選択に任されるので、週末だけ昼間だけアルバイトで働いて家計の足しにする主婦もいる。
派遣給与じゃ暮らせないから、副業で働くOLもいる。
専従で、バンバン稼ぐ女性もいる。
長谷川さんは、お客さんからいただいたチップは、全て預金し、30代半ばで独立した。
読み始めるととまりません。よく、ここまで赤裸々に語ってくださったなあと思う。
長谷川さんは、高校在学中に出会い一目惚れした男性と高校卒業後にすぐ結婚して、二児をもうけ29歳で離婚。
そこまでの経緯も赤裸々だ。すごいなあ!と思う。
長谷川さんは実家に世話になりたくはなかったので、実家に帰らなかった。
ここあたりは、ちょっと不思議な気もする。実は、「なんで、あんな男と」と親御さんに何度も言われたことも多々あったのではないか。
まっとうな良いご家庭に生まれて育ったのに、長谷川さんは、なんでそんなクズと結婚したかなあ?
と、この点も私は不思議に思う。
離婚までのプロセスがすごい。ご興味ある方は、この本をお読みください。
ともかく、いろいろあって、長谷川さんはシングルマザーとなり、時給700円のコンビニでアルバイトしつつ、自力で2人の男の子を育てていた。
しかし、寒い冬の日に、とうとうガスも電気も止められた。
で、日銭の稼げるセックスワーカーになる。
長谷川さんは、ご本人のキャラや聡明さや気立ての良さのために、売れっ子になり、いいお客さんにも恵まれた。
なぜ売れっ子になれたか?
どんな創意工夫をしたか?
どんな危険があったか?
それはここに書きません。タダで情報を得ようとしちゃいけません。
一目惚れした男性との結婚に情熱で突き進んじゃうというのは、私にはよくわからないけど、それぐらいに長谷川さんは人間が好きで、他人の長所に敏感なんだと思う。
感受性に優れ、意気に感じる人なんだ。情の豊かな人なんだ。
経営者になってからは、自分のデリヘル店のお客さんからの電話は、すべて長谷川さんが受ける。
コントラバスや、バンドを組んでエレキギターのベースを弾いてた元音楽少女だったので、耳がいいから、お客さんの声と素性は全部記憶している。
声や話し方で、危険な人間だと判断すると、予約がいっぱいだと言って断る。
セックスワーカーの女性を見下す男は論外。自分が見下してるセックスワーカーの女性を必要としている自分は、一体なんだ?
デリヘル嬢にまっとうな敬意や礼儀を払えない男は、実社会でもダメな落ちこぼれだ。
相手の職種や地位によって態度を変える人間は掃いて捨てるほどいるが、そーいう人間はダメ!
長谷川さんは、ご自分の経営するデリヘル店で働く女性たちと、本気で関わっている。全身全霊でぶつかっている。
人間が集まると、妬み嫉み反目が起きる。
従業員の女性たちもいろいろだから、大変だ。精神的に病んでる人もいる。
新人採用は、まずは店の外のカフェかファミレスでの面接で決めるが、いろいろチェックポイントがある。
そのチェックポイントは、非常に理にかなっている。
それも、ここで書きません。
今の長谷川さんが危惧しているのは、デリヘル嬢たちの変化。
かつては、シングルマザーが生活苦を抜け出し、子どもたちに衣食住を保障するために参入した。
父親が多額の借金を作り、その返済のために働いてる女性が参入した。
みんな、それなりにデリヘル嬢になる納得できる理由があった。
しかし、21世紀に入って2010年あたりから、「将来への不安があるので、お金を貯めておきたい」女性が増えた。
彼女たちは、将来は留学したいとか、カフェを開きたいとか目標があるわけではない。
ただ将来のためにお金を貯める。お金を使うことが大嫌いで、冬になってもコートも買わない。預金が減るのがいや。
彼女たちは、昔の女性たちと違って、結婚にも希望が持てない。
結婚しても、夫がリストラされるかもしれないし、ダメ男に人生を潰される女性に関する情報は氾濫している。
現代は女性にとって辛い時代だ。
平凡でも信頼できる男と結婚して幸せになるという、一昔前の女性の普通の幸福が、贅沢なものになってしまった。
だから女性が拝金になるその気持ちはわかる。
それと長谷川さんが気になるのは、メイルはしっかりした文章書くのに、実際に会うと目を合わせようとしないこと。
しっかり長谷川さんの目を見て話せないこと。
人間恐怖症気味なのかな。
何かが変わりつつある。
人間の何かが。
セックスワークやセックスワーカーの重要性について、真面目に知っておきたい方々に、一読をお勧めします。
ただのスケベ心で読む人には向きません。