本日は2021年10月30日土曜日です。
KKベストセラーズのネットマガジンBEST T!MESのコラム記事の原稿5000字弱を書いていて、ほぼ完徹してしまったので、本日は眠いです。
例の『イカゲーム』について、本Blogで書いたこととは別の角度から書きました。
世界的大ブームの『イカゲーム』。政治や経済の失敗を自分の失敗だと思い込む洗脳された庶民の救いがたい健気さを描いている【藤森かよこ】
この記事を、昨晩から本日の未明の間まで、パソコンに向かいながら、時々iPadのTwitterをのぞいてると、すごかった。
小室圭さんの名前がニューヨーク州の弁護士試験合格者名簿になかったとかで、大炎上していました。
ふーん、こういう形で来たか。
天変地異や親族の死ではなく、こういう形で日本の神々からの答えが出たのかしらね。
Wake up, Grow up, Shut upってね。
でもまあ、あの2人は「ロイヤル生活保護受益者」だからいいんよ。食いっぱぐれがないから、いいんよ。
それだけで、ものすごくラッキーだもの。生活費獲得労働で、みんな、いろいろな思いをしているんだからさ。
と言っても、「ロイヤル生活保護受益者」には、わかんないよね。
私は2017年の婚約発表の時から小室圭さんは大嫌いだった。だから、今回の不合格を残念だったわねええ〜〜なんて思いません。はい。
20代であんな顔つきができた人間なんて、ろくなもんじゃない!!
みんなが褒めるけど、私だけが大嫌いで信用していなかった人間の化けの皮が、早くて5年後で、10年後や20年後くらいには確実に剥がれるってことを、私は何回も経験してきたのです。
世間は馬鹿だから(すみません、ほんとのこと言っちゃって)、軽く10年や20年は騙されるけど、私の目は誤魔化せないぞ!って、同僚や学会関係者や、政治家とか芸能人とか文化人とか、厳しく黙って査定してきた私です。
性格が悪いんよ、私。
ところで、前回のBlogで書けなかったこと書きます。
このBlogの読者の方が、コメントで、Netflixのアイスランドの連続TVドラマの『トラップ 凍える死体』がいいと教えてくださいました。
で、早速、視聴してみました。英語の題名はTrappedです。「罠にかけられて」って意味ですね。
(アイスランド語では、「行き止まり」って意味の言葉がタイトルだそうです。そういえば、雪嵐で閉鎖された道路に、その意味の標識が設置されるシーンがありました。その方が、このドラマのある種の閉塞感が出ていますね)
Season 1が2015年に発表されています。 Season 2は2018年に発表されました。

お勧めは、Season 1 です。
Season 2は、イギリスの刑事ドラマみたいなもんで、なんか退屈。
ところで、アイスランドって、どこにあるの?
こんな北にあるのか!冬は相当に寒そう。人口32万人。
このドラマの影の主人公は「冬のアイスランドの風景」です。それが、人間を拒絶する冷厳な趣でいいのです。

ハリウッド映画や韓国ドラマの派手なアクションを見慣れると、一見すっごく退屈な展開に思えるかもしれないです。
若くて脳足りんな人だと見通せないかもね。
こんなドラマを作ることができる国って、すごいわ。
知的立国だわ、アイスランドは。
さて、ちょっとドラマ内容紹介。
ある冬の日にアイスランドの漁港で、胴体だけの死体が海から引き上げられる。
おりしも、そこにデンマークのフェリー船が着く。このフェリーから死体が海に落とされた可能性がある。犯人がフェリーの乗船者の中にいるかもしれない。
フェリー船を3日間港に留めて置く必要がある。レイキャベクの本庁にフェリー船駐留許可証が出るようにデンマークと交渉してもらわないといけない。
このフェリー船の船長も機関士もなんか、嫌な感じ……
レイキャベクの本庁から派遣されるエリート警部たちは、嵐のために飛行機が飛ばず、彼らが到着するまでは、捜査は漁港の警察がするしかない。
その漁港の警察には3人のメンバーしかいない。留置場兼警察署みたいな狭いオフィス。
この3人がキャラ立ちしてます。みないい俳優だわあああ!演技力あるなあ!

そこの警察署長が主人公。彼は離婚した妻の実家で、元妻の両親と妻の妹と自分の娘2人とともに住んでいる。
なんか戦前の日本の家みたいだな。
そこに、アイスランドの首都のレイキャベクに行った元妻が、婚約者を連れて帰って来る。
ややこしく気まずい再会ではあるけど、そこは普通に元妻と彼女の男を迎える警察署長。
この主人公Chief of Policeを演じる俳優さんが、特にいい。
デブの巨漢。
彼の部下になる女性警官もすっごくいいんですよおおおおお!!
ほんとリアリティがあるわああああ!!!
ドラマは、この主人公の家庭や、彼の同僚の女性警官の家庭など、登場人物の家族や人間関係を描きつつ、胴体だけの死体の身元捜査を丁寧に描く。
胴体だけの死体は証拠品でもあるので傷めてはいけないが置き場がないので、漁村の魚加工工場の冷凍室に置かれる。
フェリーを留めたはいいけど、乗船者の食事や寝床はどうする。漁村の小学校が宿泊所として提供され、漁村の女性たちがボランティで食事作りなどに駆り出される。
漁村の市長(村長?町長?)は、急な事件の展開への対応で忙しいが、彼にはもっと大事なことがある。
「中国」が、漁港一帯を買い占めたがっている。
急に国際的地政学的問題が顔を出す。
アイスランドのこの漁港の位置は、中国の基地とアメリカ合衆国東海岸との中間地点にある。
かなりの村民というか町民は、市長mayorの説得に応じて、土地を中国に売ることに同意しているが、ひとり絶対に売らないと主張する老人がいる。
この老人の息子は市長の子分で…
と、このドラマは地味ながら、脚本が非常に丹念に丁寧に構成されているのです。
伏線がいっぱい張られ、ドラマが完結する方向に向かって、それらの伏線が回収されていくのです。
いやあああ〜〜すごいドラマです。
で、このドラマで描かれる事件の前提にあるのが、あの2008年のリーマンショックなのです。
ご存知のように、アイスランドは金融大国として、2008年まで多くの投資を受け付けていました。それが国策でした。
それは、Inside Job というリーマンショックがいかにして引き起こされたかを描くドキュメンタリー・フィルムの冒頭にも描かれています。
これもNetflixで見ることができます。面白いです。アメリカの金融マンや金融政策担当の官僚たちや大企業経営者たちが、いかに無責任かがよく描かれています。
何が新自由主義だ。アメリカのやったことは「賎民資本主義」だ、つーの。
pariah capitalismだ、つーの。ヨーロッパの食いつめもんが集まったアメリカ合衆国は基本的に賎民国家だよ。
すみません、ほんとのこと言っちゃって。

今のアイスランドは2008年の痛手から回復して、医療費も教育費も無料に戻り、自給自足できています。
しかし、当時は銀行は倒産し、アイスランドの富裕層は大打撃を受けました。
その大打撃を受けた人々の中に、ドラマで描かれる漁港エリアの市長やホテル経営者や魚加工工場経営者などがいたのです。
彼らは、自分たちの金融資産壊滅を補填するために、あのとき、何をしたか?
これも、このドラマの事件の前提にあるのです。
ということで、このドラマは、リーマンショックだの中国覇権だの若者たちの内部からの腐敗だの、大人たちの退廃だの、老人問題だの、人身売買や麻薬密売だのマフィアも関与するような現代の諸問題を絡ませつつ、展開します。
うーん、非常に知的。
うーん、知能指数高い。
こんな凝った脚本が書けるなんて!
やっぱ、寒い国の人って頭が緻密なんかしら。心の内部の深度が深いのかしら。
このドラマのすごいところは、決して単純な勧善懲悪じゃないってところです。
悪人の成した善もあれば、善人が運命の罠にかかって成した悪もある。
ほんとに悪魔みたいな人間は存在しない。
でも、善良な市民の中の殺意もある。
思いもかけない人物が犯人であることに、主人公の警察署長は悩みます。
ま、これ以上は、ネタバレになるので書きません。
是非とも、このドラマ全部10回をご視聴ください。
よく書けた小説を読むような充実した感慨を得ることができます。
視覚的にも、アイスランドの海や山々に街が美しいです。荒涼な美しさです。bleakって言うのかな。
好きだなあ……荒涼たる美しさ。

いいドラマでした…
アイスランドの言葉はドイツ語みたいなロシア語みたいな、でも近隣の北欧諸国の人々とは英語でしゃべってる。
まあ、ヨーロッパ人は英語が共通語みたいなもんだもんね。
私は、リーマンショックからアイスランドがいかに立ち直ったのか興味があるので、以下の本を注文しました。
まあ、人口32万人の国の例が、日本人の参考になるかわからないけどさ。

コトリさん、このドラマを教えてくださり、ありがとうございました!
すっごく面白かったです!
私の魂が満足しました!
人間は、ああやって生きて行くんですね。
繰り返し見たいドラマでした!!
(備考) こういう映画は「北欧ノワール」というジャンルに分離されるそうです。うおおおおーー「北欧ノワール」!!うわおーー観まくってやるぞ!!また楽しみが増えたぞ。
こんばんは。
かよこ先生に絶賛していただけて、嬉しいです。こちらこそありがとうございます。
何年か前に流行った『ミレニアム』以降北欧ノワールというジャンルが確立され、日本でも北欧のドラマが随分観られるようになりました。
まだ私はseason2が観られないでいます。1ほどは面白くないのですね。残念です。
北欧のドラマや小説は、全般に展開は地味、でも兎に角話がよくできています。登場人物も多く関係も複雑なので、きちんと観ていないとわからなくなりますよね。
美男美女の役者さんもいるのでしょうが、あまりそういう方が出てこないところも、よりリアルさを増しているのかもしれません。
アイスランドはアーナルデュル・インドリダソンという作家の小説もとても面白いです。暗いですけど。
他にはドラマですと『The bridge』、『The killing 』がオススメです。どちらもハリウッドでリメイクされていますが、前者はリメイク版は観る価値なしです。後者は私はリメイク版も結構好きでした。『ミレニアム』もスウェーデンでドラマ化され、ハリウッドで映画としてリメイクされましたが、断然本家がよかったです。
すべてのドラマを通じて、北欧は幸福度が高い国が多いのに、実際は家庭内で虐待される女性が多いなど、その幸福度は何が基準なの?と考えさせられました。
また機会がありましたら、他のドラマもご覧ください。
因みに、私も婚約内定会見の時から、小室圭は大嫌いです。気持ちの悪い男としか思えませんでした。
いいねいいね: 1人
コトリ様
コメントありがとうございます。いいドラマを観れて幸せでした。
お勧めの他の作品も見てみます。
そうかあ、北欧ノワールって呼ぶのかあ。ノワールって黒という意味ですねえ。白夜の北欧の闇って、感じでいいなあ!
ほんと、本がよくできてます!!
ありがとうございました!!
いいねいいね